韓国紙「G9(G7+2)になるための外交が始まった」・・トランプ大統領は日米首脳会談の後に早期帰国

G7サミットが始まり、日米首脳会談がありました。注目するほどの内容はなく、どうやら今まで交渉してきた内容を首脳が認め合う形になったのではないか、と思われます。大枠に合意したのではないか、という話もあるようですが、テレ朝newsによると、政府関係者は「下手な合意をすれば、その税率が永遠に続き、企業の経営に大きな影響が生じる」と慎重な姿勢であり、大枠で合意したのかどうかは今のところ不透明だ、ということです。そして、トランプ大統領は中東情勢などを理由に、早期帰国すると発表しました。個人的に、雰囲気的にちょっと居づらかったのではないか、そんな気もします。多くの韓国メディアはこの件で「G7サミットで開かれると思われていた李在明大統領との米韓首脳会談も難しくなった」としていますが、本当に開催できただろうか(予定があったのか?)、ちょっと疑問です。

で、早期帰国などの話が出る前の、今日になったばかり(01時)あたりの記事ですが・・またもやG9(G7にオーストラリアと韓国を入れたもの)についての記事がありました。朝鮮日報ですが、さらに驚きなのは、あの「パワー6位」をまだ根拠にしていることです。これ、13日にも、某大学教授の寄稿文で同じ主張があったので紹介しましたが、「USNews&Worldreport」というメディアの『世界でもっとも強力な(Powerがある)』国のランキングを発表したけど、韓国が6位だった、日本が8位だったという内容です。2023年、これが多くのメディアから1週間以上も同じ内容の記事が溢れて、本当に大きな話題になりました。




しかし、これ、実は、「世界最高(Best)の国」というランキングにおいて、総合順位ではなく項目の一つです。2023年当時も、聯合ニュースなど一部のメディアは総合順位までちゃんと報じていましたが、圧倒的多数のメディアが総合順位は報じず、「パワー6位!日本は8位!」としていました(USNWRの原文ページ)。当時、総合順位だと、日本が6位、韓国は20位でした。いまはデータが更新されて最新のものになっていますが、再確認したら、なんと総合順位で日本が2位、韓国が18位です。韓国が8位、日本が6位(今も同じ順位)だった「パワー」は、経済的影響力、輸出、政治的影響力、国際同盟、軍事力、指導者などで評価されるそうですが、実は日本が8位になったのは、軍事力評価によるものです。

米国が1位なのはともかく、中国が2位、ロシアが3位であることからも分かるように、これは軍事力が高く関わっている項目です。当時、ほぼ唯一、総合順位も報じていた聯合ニュースの(2023年1月2日、当時のデータです)記事によると、「パワー」でも、日本は別に評価が低いわけではありません。たとえば日本の場合、「経済的影響力」が100点満点で95.4点だったりします。しかし、軍事力で25.3点になり(韓国は79.1点)、パワーで8位になりました。すなわち、ここで6位と8位になったのは、ほとんどが軍事力評価によるものです。この話を、2年以上が経つのにいまでも総合順位には触れず、G9の根拠とするとは、さすがに驚きです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・イ・ジェミョン大統領はカナダで16~17日(現地時刻)開かれるG7首脳会議に出席するため16日出国した。李大統領はキム・ヘギョン夫人と1泊3日の日程を行って、18日帰国する予定だ。李大統領の首脳外交デビューステージでは、G7に韓国とオーストラリアを入れて拡大する「G9外交戦」も繰り広げられることが分かった・・・・韓国とオーストラリアのG7加入のための外交も予想される。政府関係者は「G7の影響力が以前より減少し、新興中堅国合流でG9に拡大改編しようという議論がG7内外で行われている」と話した(※「内外」という書き方になっていますが、G7拡大について正式の議論は行われたことがなく、すべて民間シンクタンクによるものです)。 G7加入は尹政権の時から本格的に推進したものだ。李在明政権はG7加入は国益のための超党的事案と見て、継承することに方針を定めたという。

イ・シンファ高麗大教授は「国連と世界貿易機構(WTO)の機能が最近弱まり、西方先進国の多国間プラットフォームで国際秩序をリードするG7の重要性がさらに大きくなった」とし「韓国がG7の正会員になれば、お金に換算できない無形グローバル資産を得ることになる」と話した。G7の正会員になるには、既存の加盟国の全会一致の承認が必要である。加入を希望する国は韓国・オーストラリアの他にもインド・ブラジル・チュルキエ・サウジアラビアなどがある。こうした中、韓国はオーストラリアを「ランニングメイト」として「G7+2(G9)」案を主張している。

G7のうちイタリアは韓国の加入に賛成していない。イタリアはG7で経済・軍事力など総合国力順位が下位だから、(※例の6位データを画像で貼りながら)国力順位が世界6位圏の韓国など新興中堅国の編入に賛成しないという。日本もアジアの唯一のG7として持つ特殊性を享受するため、韓国加入に積極的ではないという。オーストラリアの加入についてはイタリア・カナダなどが賛成していないと知られた。政府情報筋は「カナダが1976年にG6に新規加入してG7になる時、既存の会員が反対したが、米国が積極的に成就した」とし「韓国も米国の全幅支持が重要だ」と述べた(朝鮮日報)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(18日)11時頃になります。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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