李在明大統領が、G7サミットで外交デビューを果たしました。石破総理とも会談でき、複数の国の首脳とも会談・略式会談を行ったとのことです。ただ、G7サミットのような多国会議では、事前に各国首脳が同時に参加する会議などがセッティングされているため、両国間の会談はその隙間にやらないといけません。よって、30分位の短い会談にしかなりません(既存の内容を再確認する場合が多い)。日米間の税交渉において、事前にできる限りのことを交渉し、今回のG7で「発表」する形になるのではないかと期待されていましたが、まだそこまでは出来ませんでした。一部、今回のG7サミットで石破総理とトランプ大統領が「直談判」するという予想もありましたが、そこまで時間的な余裕はなかっただろうと思われます。
で、その後、トランプ大統領は中東情勢を理由に早期帰国しました。李大統領側は、「2日目にトランプ大統領との会談の時間まで決めていたのに、残念だ」「米国側が、ちゃんと事前に了解を求めた」というふうに話していますが(「毎日経済」17日夕方の記事)、実はその数時間前には、「どうなっているのか把握しているところ」という政府関係者のコメントが記事になっていました(同じ「毎日経済」17日午前の記事)。本当に会談時間を決めていたのかどうか、ちょっとハッキリしないくだり・・とも言えるでしょう。でも、トランプ大統領にも事情があるし物事には優先順位というのがありますから、普通に「仕方なかった」でいいじゃないでしょうか。今回米韓首脳会談ができなかったのは。
ただ、記事(記事で引用している人たちの意見)によっては、「トランプ大統領、なんで石破総理には会ったのに李大統領には会わなかったのか(韓国日報、記事の題)」と疑問を提起するものもあります。中には、カナダ側の対応を問題とする主張もあります。今回、韓国以外にも複数の国の首脳が招待され、参加しましたが、会員国(G7)とゲスト参加国のそれぞれの日程が、100km離れた場所にあった、とのことでして。1日目の日程においては、ゲスト参加国が会員国となにかの会談を行うには、距離が離れすぎていた、というのです。読み方にもよりますが、同じ場所にいたから、石破総理はトランプ大統領と会談できただけだ、という見解にもなります。
ただ、これには反論もあって、これは確かに異例のことではあるが(ここまで遠く離れることはめったにない)、いままでも、1日目は会員国だけ会談を行い、それ以外の参加国の首脳は、2日目になってから会員国との会談など行ってきたというのです。韓国の場合、前の大統領たちもずっとそうだった、と。というか、そこまで難しく考える理由があるのでしょうか。先も優先順位の話をしましたが、日本との関税交渉、中東情勢などのほうが、どう見ても優先順位が上でしょう。同じ場所にいたとしても、日本との会談と早期帰国を優先したはずです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領は主要7カ国(G7)首脳会議の途中、緊急帰国する前に、石破茂日本首相とは約30分間首脳会談を行った。日米首脳会談が初日早くなされたのは、招待国である韓国とは異なり、「会員国」である米国と日本が同じ場所で行事日程を進行したことによるものだ、と伝えられた。大統領室の高位関係者によると、16日(現地時間)カナダのアルバータ州カルガリーで開かれたG7首脳会議で、李大統領とトランプ大統領は、晩餐会などでの出会い、対話などはなかった。同関係者は「(李大統領が出席した)ダニエル・スミス カナダ・アルバータ州首相主宰の晩餐は、(会員国ではない)招待国を対象に進行された」とし「(トランプ大統領は)G7加盟国と他の宴会場にいたので、(動線が)重ならなかった」と説明した。
李大統領はカルガリーで初日の日程を消化し、トランプ大統領とG7加盟国は約100キロほど離れたカナダのリゾート地「カナナスキス」というところで日程を始めた。各国首脳が乗り降りする専用機が着陸する大型空港がカルガリーにあるためだが、加盟国と招待国のイベント場がこのように遠く離れた場合は多少異例ではある。李大統領は2日目の翌日、ロッキー山脈中心部に位置するカナナスキスに移動し、招待国公式歓迎式に続き、業務昼食を兼ねた拡大セッションに参加する予定だ。
韓国としては、首脳会談まで軽くできた石破首相とは異なり、李大統領がトランプ大統領とレセプション晩餐などでの出会いすらなされていない点は、物足りなさが残る。ただし専門家たちは、これまで開かれたG7首脳会議でも、韓国首脳は「拡大会議」にだけ参加してきたと説明した(※ゲスト参加国は、すべての会議に参加できるわけではありません)。他の時間は、招待国として他の参加国の首脳との別の日程を定め、出会いを持つのが普通だった、ということだ(韓国日報)・・>>
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