さて、米国とイランの件など、中東情勢がただならぬ雰囲気です。見守るしかありませんが、とりあえずなにかの協議の希望を見出してほしい今日この頃であります。そんな中、NATO首脳会談が24日から開かれます。先週までは、李在明大統領も参加するということになっていましたが、急に参加しないという報道がありました。出発予定の前日に、急に不参加を決めたとのことです。公式ブリーフィングなどではなく記事(デジタルタイムズ、22日)の内容ではありますが、中東情勢の話がメインになりすぎで、また「国際情勢の不確実性が大きくなったため」、トランプ大統領は「他のことは気にしないでいる」可能性が高く、それで参加しないことにした、とのことです。
G7サミットで出来なかった米韓首脳会談(韓国政府関係者の話だと、時間まで決めていたけどトランプ大統領の早期帰国で出来なかった、とのことですが・・)は、今回も不発となりました。一部からは、防衛費引き上げ要求についての反発で、またはそれに関する議論を「避ける」ため、中東情勢について意見が合わない可能性などがあるから、参加しなかったのではないかという話もあります。しかし、防衛費引き上げのことなら、日本側も反発しており、日米2+2会談のキャンセル理由がこれだという推測もありますが・・それでも石破総理など他国のメンバーは参加する、とのことです。というか、「だからこそ」参加するという意味もあるのでは。関税交渉は、通商部門のトップ(通商本部長)が訪米したのでそちらに任せる、といったとことですが・・
すでに交渉チームは全員が新しい人になっていますし、間に合うのでしょうか。ここまで頻繁に開かれている日米の関税交渉でも、まだ合意の話が出てないというのに(そういえば、トランプさんが日本のことを「手強い」と話したというニュースもありましたが)。ちなみに、別記事(引用はしませんがデイリアン)によると、野党(国民の力)側からは「あれれ?実利(実用)を求めるんじゃなかったんですか?実用ならNATO会議にちゃんと参加すべきだったのではないですか?」・・な趣旨の声明が出ています(笑)。これは明らかに「問題を避ける」ための不参加であり、私たちの安保、アジアの安定のためにも、参加すべきだった、というのです。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・李在明大統領が22日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席しないことに決めた。中東事態が国際懸案を全て吸い込み、国際情勢の不確実性が大きくなったためだと解釈される。最大の懸案である「米韓首脳会談」と「関税交渉」は相変らず解決できない宿題として残った。李大統領は当初、来る24日開かれるNATO首脳会議に参加する方向に決めていた。ドナルド・トランプ米大統領との米韓首脳会談を通じて、首脳外交の復元と関税交渉での成果という二つの宿題を解決しなければならなかったからだ。李大統領が就任してから12日ぶりに行われる日程にもかかわらず、主要7カ国(G7)首脳会談に参加したのも、同じ理由だった。
引受委員会(前政権からの引継ぎ手続き)もなしで発足した新政権には無理な日程だという一角の観測にも、李大統領は「ちょっと無理であってもG7首脳会議に出席する方が良いという意見が多く、当初の考えと違って突然参加することになった」と意志を表わしたことがある。しかし、急激な中東事態にトランプ大統領が早期帰国を決定し、韓米首脳会談は不発になった。G7以後、中東情勢がさらに問題になり、米国がイランの核施設を打撃するなど、国際懸案を全て吸い込む「ブラックホール」となった。
国際情勢をめぐる世界の注目が中東に集まり、NATO会議自体がトランプ大統領の関心の外に押し出された姿だ。これに、NATO本会議は2日目に2時間30分の日程で1回開催すると、縮小された。昨年まで本会議が2~3回開かれたのとは異なる日程だ。政治関係者たちの間では、NATOで、即興的で多者会議を好まないトランプ大統領に合わせた日程だという解釈が出ている。トランプ大統領がG7の時のように「早期帰国」する可能性を最小化するという話だ。
ここに、防衛費分担金など難しい交渉も、李在明大統領には負担だった可能性が多い。最近、ショーン・パーネル米国国防部報道官は、韓国をはじめとするアジアの同盟国も、欧州のように国防費支出を国内総生産(GDP)の5%水準に上げることを提案する新しい「グローバル基準」を設けていると明らかにした。NATOも今回の首脳会議でこの基準を合わせるために努力中だ。韓国が昨年基準GDPの2.8%水準である約66兆ウォンの国防費を支出したという点を勘案すれば、2倍近い増額が要求されたわけだ。
このような状況では韓米首脳会談が開かれても、順調には流れない可能性が少ないという点が考慮された可能性が大きい。ここにウクライナ事態、中東情勢の中の北朝鮮核の立場など、不確実性の中に考慮すべき要素が山積した状況である点も、負担になる。政治関係者たちの間では、李大統領がNATO会議で出席しないことにした以上、できるだけ早速防米日程を設け、首脳外交を復元し、関税交渉を進める必要があるという指摘が出ている(デジタルタイムズ)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。