20日に、李鍾奭(イジョンソク)さんについて書いたことがありま。詳しくは6月20日「黄金期」エントリーを参考にしてください。昔は安企部と呼ばれていた国家情報院の長に選ばれた(※記事は19日のものなのでまだ人事聴聞会中ですが、すでに正式に国家情報院長になりました。国家情報院長は長官、すなわち大臣クラスです)李鍾奭さんですが、実は盧武鉉政権からかなりの「北寄り」な人で、よりによって国家情報院かよ、と個人的に驚いています。当時の統一部(南北関係の主務省庁)でしたから、長い説明も要らないかもしれません。
北朝鮮拉致問題関連で日本から横田めぐみさんのお父さんが訪韓すると報じられたとき、「(横田めぐみさんのお父さんとは)会う予定もないし、会う必要もない」、「日本は金正日委員長が告白、決断したことを過小評価している。この問題を外交ではなくキャンペーンで解決しようとしている」と話したりしました。で、いまはすでに国家情報院長になっていますが、19日、人事聴聞会にて、「安米経中についてどう思っているのか」という質問がありました。もう本ブログでは有名な単語ですが、安保は米国に、経済は中国に依存するという意味です。保守側は「それはもう成立しない」というふうにこの単語を用いることが多いですが、まだまだ「もっとも実用的なこと」として、守るべきスタンスと認識されています。そこで李候補は、なんと「安米経中には同意しない(キリッ)」と答えました。
19日にはタイトルしか見なかったので(多くの記事がヒットして出てきましたが、クリックして読んだりはしませんでした)、へーそんなこと言うんだ・・としか思いませんでしたが、今日、午前の(一つ前の)記事を書いた後に、発言というか国家情報院長としてのスタンスがちょっとおかしいなと思って、19日のニュース1の記事をちゃんと読んでみたら、「同意はしないけど、それは『経済的に近い国と安保は連動するものだから』、同意しない」という意味で、「色んな場所の草を食べるようにしないと(放牧などで、1箇所だけでなくいろんな場所の草を食べたほうがいい)」とも話していました。
別の意味で草です。読み方によっては、経済で近い中国と安保も連動する・・というふうに見えますが・・あ、やっぱりそうか、な気がして、ちょっと遅れて取り上げてみます。また、6月3日の韓国日報の記事ですが、米国側からはすでに関連したメッセージが出ている、とのことです。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・イ・ジョンソク国家情報院長候補者が19日、「安保は米国、経済は中国」を意味する安米経中に対して「同意しない」という所信を明らかにした。候補者はこの日、ソウル汝矣島(ヨイド)国会で開かれた人事聴聞会で、イ・ソンクォン国民の力議員が「安米経中」に対する意見を尋ねる質問に、「経済的に密接な交流があれば安保的理解も一緒に付くしかないと見ているため、論理的には(※安米経中という単語は)合ってないと思う」と述べた。
李候補者は引き続き、米国がこれと関連して韓国政府に公開的に要求している状況ではなく、「米国が今中国とのデカップリング(脱同調化)に対して緊張感が高く、韓国政府が中国に近づくことに強く反応している」と説明した。それとともに「米国との関係が崩れないようにしながらも、私たちは通常国家であるため、この草は草を全部食べて生きなければならない」とし「私たちが片方の草だけを食べて生きられないと思う」と話した。これに質疑をした李議員は「良い視点だと思う」と打ち合わせ、場は笑いに包まれた(ニュース1)・・>>
<<・・ピート・ヘグセス米国国防長官が「安保は米国、経済は中国」というアジア諸国のいわゆる「安米経中」式の外交戦略について警告メッセージを投げた。事実上、米国と中国のどちらに立つのか両者選択する圧迫だった。ヘグセス長官は先月(※5月)31日、シンガポールで開かれたアジア安保会議で、「中国はアジアを支配、統制しようとしている」とし「安米経中は罠に引っ掛かるものにすぎない」と批判した・・・・台湾有事の可能性を既定事実化しながら「中国を阻止する方に戦略方向をリセットしている」とも強調した。そのためには、事実上、在韓米軍の規模や作戦範囲なども柔軟に調整できるという意味を表わしたわけだ。在韓米軍4,500人減縮説を公式否認した米国防総省もまた、「減縮の可能性も排除しない」と、ハッキリしないスタンスだ(韓国日報)・・>>
明日は1日休みをいただきます。次の更新は29日(日曜日)の11時頃になります。また、公開の仕方までははっきりわかりませんが(私は当日メールをいただくことになっています)、明日(6月28日土曜日)、西日本新聞の韓国関連記事に、シンシアリーのインタビュー内容が載ることになりました。興味をお持ちの方々は、ぜひお読みください。ちょうど休み(出かける予定です)の日で、直接URLなどをお教えできなくて、申し訳ございません。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。