米シンクタンク「ワシントンにおいて、アジアでの最優先課題が中国なので、韓国は核心同盟国とされていない」

結構前から、本ブログでは「日米韓3角同盟」(3国同盟ではありません)というのは、いざというときに機能しないとして、その自分なりの論拠として2つの「政府公式立場」について書いてきました。一つは、韓国政府が「有事の際でも自衛隊の朝鮮半島進入を認めない(韓国側の許可または要請が必要)」としていること。もう一つは、「北朝鮮以外の問題で在韓米軍を動かしてはいけないとしている」ことです。前者についても何度か書いてきましたが、最近は後者のほうに関する話題が増えてきました。簡単に言うと、在韓米軍が国外の問題に関わると、その隙に北朝鮮が動くかもしれないから、在韓米軍は動いてはいけないということですが・・いろいろ言っていますが、ただ中国に対する配慮なのでしょう。

そんな中、5月24日にもお伝えしましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルが「在韓米軍4500人の減縮案」について報じるなど(朝鮮日報、5月24日)、韓国政府としてはかなり不利な展開になっています。また、在韓米軍司令官がハワイで開かれた会議で、「衛星写真でみると、朝鮮半島は中国と日本の間の空母のように見える」と話したりして、総合してみると、「在韓米軍が中国問題でも動くということを、そろそろ認めてほしい。でないと減縮するかもしれない」というメッセージだと言えるでしょう。そんな中、聯合ニュース(6月27日)が、米国企業研究所のアジア安保担当にインタビューしましたが、すでにワシントンでは、アジアでの最大の課題を中国関連としているので、韓国を核心同盟として見ていない、という発言が出てきました。柔軟さ(中国関連でも動くこと)を認めないかぎり、この流れは変わらない、在韓米軍の減縮もありえるというのです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・韓国が在韓米軍撤退問題に対応するためには、米国と在韓米軍の戦略的柔軟性問題を議論する必要があるという米国専門家の提言が出た。米国のアジア安保専門家であるジャック・クーパー米国企業研究所先任研究院は26日、ソウルでの連合ニュースとのインタビューで、「朝鮮半島から(駐韓米軍の)兵力撤退の可能性を管理する一つの方法は、(米国と)戦略的柔軟性を議論することだ」と話した。戦略的柔軟性は、在韓米軍の役割範囲を「北朝鮮に対抗して同盟国である韓国を守ること」からさらに広げて、台湾問題の対応など域内に拡大することをいう。

つまり、彼の発言は、在韓米軍を中国牽制にも活用するという米国の意志を受け入れなければ、在韓米軍が韓国に駐留し続けることはできないという意味だと解釈される。クーパー研究員は聯合ニュースと統一部・国家安保戦略研究院・連合ニュース東北アセンターがソウル中区新羅ホテルで共同開催した「2025朝鮮半島シンポジウム」に参加するために訪韓した。彼はトランプ政権が在韓米軍地上軍の核心戦力で韓国に循環配置される戦闘部隊であるストライカー旅団を撤収対象にする可能性があると見た。

クーパー研究員は「私が話をした(トランプ政権の)人たちは、ストライカー旅団がここ(韓国)にいてはならないと思っていた」と話した。彼はまた、韓米同盟の根本的な問題として、「ワシントンでは、アジア内の最優先課題を中国問題にしており、韓国を核心同盟国として考えていないという点だ」とし「トランプ政権は韓国より日本、フィリピン、オーストラリア、さらにはインドとの関係を優先視している」と主張した。それとともにトランプ政権が「自国優先順位で、韓国が重要だと思わなければ在韓米軍を撤収することもありえる」と話した(聯合ニュース)・・>>




<<・・(※5月24日の記事です)トランプ政権が、韓国に駐在している米軍2万8500人のうち4500人を韓国から撤収させる案を検討していると、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が米国国防当局者を引用して報道した。在韓米軍4500人をグアムなどインド・太平洋内の他の地域に移動配置するということだ。米国防総省はこの報道について「事実ではない」と明らかにした。米国防総省はそう言っているが、米国はトランプ以前から駐韓米軍の活動領域と役割拡大を公言してきた。こうした「戦略的柔軟性」は在韓米軍だけでなく、すべての海外駐留軍に適用される。米軍は「中国牽制」に集中し、核を除いた在来式の脅威は該当同盟国が自ら防御するようにする、としている。国防部政策担当次官は昨年「駐韓米軍を中国に集中するよう再編し、韓国が北朝鮮の相手として在来式防御の負担を増やさなければならない」とした。「4500人削減検討」は、予告されていたものなのだ(朝鮮日報)・・>>

ちなみに、朝鮮戦争75周年だった6月25日、親韓派とされる議員たちが中心になって、米上院で決議案が採択されました。ですが、そこで韓国を「インド太平洋」の核心同盟とし、朝鮮戦争の相手を「北朝鮮、ソ連、中国」と明記していました。米韓同盟などを続けていくという、親善の意味も含めての決議案でしょうけど、個人的に、「これ、李在明大統領はあまり喜ばないかも」と思いました。




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。