経済領土という不思議な言葉がそうですが、韓国はFTAなどを必要以上に過大評価しています。ウィン・ウィンならそれでいいですが、本当にそうなのかな、と。2000年代になってからの韓国の経済発展が、果たしてFTAなどのおかげなのでしょうか。「中国経済への依存を強めたこと」と「家計債務による不動産投資」による影響に比べると、それほどでもないのではないか、と。それはともかく、シンガポールに次いで経済領土が世界2位だとか、1位を目指すとか、尹錫悦政権でも普通に宣言していました。
私が個人的に「韓国の文化心理学関連で、もっとも現実的な見解を述べた人」だと思っている、中央大学の文化心理学者チェサンジン教授によると、「自分という個人(原文では『個人』)」は、本当は「他人と異なる私」という意味のはずなのに、「私たちは、それを『他人より優れた私』を意味するものとして認識している」、と指摘しています。なんというか、名言です。本ブログで取り上げてきた多くのテーマに当てはまることですが、この経済領土という概念も、似たようなものかもしれません。そんな状況だから、でしょうか。EUがCPTPP連帯についての動きを示唆したことで、複数のメディアが記事を載せています。特にニュース1(27日)の場合、「私たちが入れなかった経済圏が出来上がるのか(題)」と、ヒトリシリアスモードです。
ちなみに、このEU+CPTPPを、WTOの本来の役割を果たす新しい体制にしていこう、という話もあるようです。ドイツの首相も「初期アイデアだが、支持する」という趣旨を話したとのことですが・・さて、どうでしょうか。米国だけでなく、EUもまたちゃんと自分たちで作ったルールを守っていけるのか、心配なところもあります。名前はCPTPPEUになるのでしょうか(なんと読むんだろう)。ちなみに、まだ韓国は正式にはCPTPPへの加入申請をしていません。するよ~するぞ~とは言っていましたが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国が入ってないヨーロッパ・アジア太平洋貿易体制誕生か(※題) 欧州連合(EU)がアジア太平洋諸国主導の包括的・漸進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)と協力を通じた世界貿易機関(WTO)代替体制を模索している。実現した時には、米国が入っていないヨーロッパとアジア太平洋地域の39カ国が参加する、巨大な多国間貿易システムが新たに形成されることになる。韓国はCPTPPにまだ加入していない。ユーロニュース、ポリティコなどによると、ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU執行委員長は26日(現地時間)、ベルギーブリュッセルで開かれたEU首脳会議でEU27カ国とCPTPP12カ国(環太平洋11カ国とイギリス)の協力を通じた世界貿易秩序再編を提案した。
フォン・デア・ライエン委員長は「CPTPPとEUは強力だ。私たちが真に推進すべきプロジェクト」とし「ルールに基づく土台の上で、複数の国家間の自由貿易が可能であることを世界に見せるだろう」と述べた。それとともに「WTOの再設計の始まりだと見ることができる」と強調した。米国の再加入の有無については、EUとCPTPP加盟国が決定する問題だと線を引いた・・・・1995年に発足したWTOは、貿易障壁の撤廃と調整を通じて世界の自由貿易を支える役割を果たした。しかし、新型コロナ大流行とトランプ関税などを相次いで経験し、その機能ができずにいる。EU指導部は、米国の関税政策に対応して、インド太平洋諸国との協力強化に力を入れてきた。 2020年にブレグジット、EUから脱退したイギリスとも貿易協力を徐々に増やしている・・
・・CPTPPを主導する日本も、加盟国の拡大に積極的だ。石破茂日本首相は、CPTPPとEU、ASEAN(東南アジア国家連合・ASEAN)の協力強化を強調してきた。韓国ではイ・ジェミョン大統領と石破日本首相が今月首脳会談を通じて日韓協力を強調した中で、経済界からはCPTPP加入を促す声が高まっている(ニュース1)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。