WSJ「トランプ大統領は、貿易交渉は簡単だというが、そうではないと日本が証明している」

ウォール・ストリート・ジャーナルが、「トランプ大統領は、貿易交渉を簡単に思っていたが、いまのところ、その成績表は大した事ない」としながら、「日本がそれを証明している」という記事を載せました。記事そのものより、記事に引用されているUSTR(米通商代表部)元代表の「私たちは、度々、他国にも政治があるという事実を忘れてしまう」というコメントが印象的で、紹介します。オリジナル記事(ウォール・ストリート・ジャーナル)は会員記事で、「Trump Said Trade Deals Would Come Easy. Japan Is Proving Him Wrong.」というタイトルです。韓国ではニュース1が紹介しているので、そちらを引用します。「米国は、日本との交渉を楽観していたけど、大いに失敗している。他国にも政治がある」という題です。

昨日も米国車関連で「珍しい」としながら日本側の意見に同調する(部分的に)記事を紹介しましたが、今回も、オリジナル記事の引用ではあるものの、どちらかというとトランプ大統領のスタンスを批判する趣旨の記事です。少数ではありますが、協議の対象が重複すると思っているからか、こういうのが(他の案件よりは)結構目につきます。ただ、「おもねる外交でもだめだった」など、大喜びしている記事のほうが多いので、全体的には平常運転だと言えます。以下、<<~>>が引用部分となります。




<<・・ドナルド・トランプ米行政府が4月9日、相互関税猶予を発表し、猶予期間90日間で90個の交渉を妥結できると言ったが、時限を6日残した2日(現地時間)までで、交渉妥結国はイギリスとベトナムだけだ。ウォールストリートジャーナル(WSJ)はこの日、米政権が最初は貿易交渉を簡単にできると考えていたが、いま、ぼろぼろの成績表を手にしている経緯を、日本との交渉過程を振り返りながら説明した。報道によると、米国は5月8日、英国と制限的貿易合意を成し遂げた後、トランプは「現在真剣な交渉段階にある他の多くの合意も続くだろう」と楽観した。以後、行政府の高官たちは、日本に注目した。石破茂首相の少数与党は、米国との友好的な協定締結により、政治的基盤が強化されるだろうと思って、米国との交渉に積極的に出るだろうと見ていたのだ。

関税猶予の前、日本にかけられた相互関税は24%だ。これは、既存の平均関税である約1.5%よりはるかに高い数値だった。日本側は、相互関税引き下げ以外に、品目別関税も引き下げないかぎり、いかなる協定にも同意できないという立場を何度も明らかにした。イギリスが自動車や鉄鋼から関税引き下げを受け、日本の立場は明らかになった。交渉が進展しなくなると、米国側は5月末時点で、近いうちに合意を導き出せなければ対話の主題が関税緩和から追加関税に切り替えられる可能性があると警告した。

 




一方、日本が米国に輸出する車両の数に上限を要求する可能性もあると憤慨した。「自発的輸出制限(VER)」措置を導入することもできるという脅しだった。しかし、日本政府の高官たちは、自分たちの立場を固守した。 25%の自動車関税が維持されるかぎり、どんな協定にも同意しないということだ。米国は6月3日、何の警告もなくグローバル鉄鋼関税を2倍引き上げた。すると、日本の立場は複雑になった。木材と半導体、銅などに対する品目関税も予告された状況であり、彼らは品目関税が公開される前の協定締結を躊躇した。米国の好戦的アプローチは、一部の国で政治問題にもなった。マイケル・プロマン元米国貿易代表部(USTR)代表は、「私たちはしばしば、他の国にも政治があることを忘れてしまう」と話した。

日本政府関係者たちは、相互関税と品目別関税を共に減らしたり、取り除いたりせずに協定に同意すれば、7月20日に参議院選挙で大敗することもあると懸念している。また、米市場への介入は、選挙によい影響にはならないだろう・・・・日本の自民党の高官は、石破の一部の側近たちは、時限が近づいて金融市場が不安になればトランプが退く可能性があると見て、日本が立場を守らなければならないという主張を広げている、と言う。一方、トランプ政権のハイレベルたちは、トランプの参謀は、合意に達しない場合に備えて日本に追加関税をかける可能性を議論したと述べた(ニュース1)・・>>

 




会員記事で恐縮ですが、西日本新聞に記事が載りました。ありがとうございます。

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。