韓国メディア「安倍総理とトランプ大統領の『ゴルフ外交』、今度は李在明大統領が挑む」

韓国では、在韓米軍は「朝鮮半島の専守防衛」ということになっています。6月19日にも紹介したことがありますが、たとえばイサムスン・ハンリム大名誉教授の「私たちが放棄してはならない原則は韓米同盟、在韓米軍の韓国専守防衛の原則である」、「台湾や南シナ海などで米国が介入する軍事行動を、韓国軍が助けるべき軍事的義務はない」、「自ら中立的な平和地帯に転換し、核武装を控える条件で米・日・中・ロとの関係を新たに経営して活用しなければ平和体制構築に進めるヴィジョンを作り、実践できるようにならなければならない」などの発言がそうです(聯合ニュース、6月18日)。しかし、安保のことで「インド太平洋」という単語が出てから久しい今日この頃。こんな話が通じるはずはありません。

この話が出てくると、ほぼ例外なく、安倍元総理のエピソードも出てきます。トランプ大統領は、前(1期のとき)にも在韓米軍の減縮及び撤収を検討していた、と言われています。当時、特に1次米朝首脳会談の前に、それを止めたのが安倍総理だったという話もあります。今回、6月12日のものなので取り上げるのが遅くなりましたが、中央日報が在韓米軍の件も含めて「安倍元総理の国益外交」という記事を載せましたので、引用してみたいと思います。徹底した国益メインの外交を繰り広げた安倍元総理を、李在明大統領も見習ってほしいという趣旨ですが・・別に主張として成立しない話をしているわけではありません。しかし、いままで韓国側のメディアが安倍総理のことをどう書いてきたのか考えてみると、李在明大統領やトランプ大統領や在韓米軍専門家よりも、メディアのスタンスこそがいちばん問題ではないのか、そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・2024年に出版された安倍元総理の回顧録によると、当時の訪問目的の1つがゴルフの約束をとることだったという。実際、2017年2月初のワシントン首脳会談の後、両首脳はエアフォース・ワンに乗ってフロリダに飛んでゴルフをした。トランプは、ワシントンの天気が氷点下なので、とてもゴルフをすることができないので、フロリダにある自分の別荘の近くでやろうと提案したという・・・・トランプの参謀たちは、なにか問題があればトランプを説得するために、安倍元総理にお願いするほどだった。シンガポール米朝首脳会談(※1次)を控えて、在韓米軍撤退カードを止めたのも、安倍元総理だった・・

・・二人の関係について、安倍元総理の言葉が印象的だ。「電話通話をすればトランプは一気に1時間は話します。長ければ1時間半にもなります。途中でこちらが疲れるほどです。何の話をするかというと、本題は前半15分で終わり、残りの70~80%はゴルフの話や他の国の首脳への批判などです」。もちろん、「無料のランチ」はなかった。安倍元総理はトヨタ自動車の大規模な米国投資、米国産トウモロコシの大量輸入などトランプの数多くの要請を受け入れなければならなかった。ニューヨークタイムズ(NYT)など海外メディアから低姿勢外交について、数多くの批判を受けなければならなかった。しかし安倍元総理は「日本の首相が最大同盟国指導者と親しく過ごすのは当然の義務」と、淡々と対応した。




「日本が常識を越えるトランプの標的から抜け出して、国全体が困難な状況になるのを防いだ」と述べたくだりから考えると、トランプとのゴルフ外交がただ楽しいだけのものではなかった、という点もわかる。安倍晋三元総理のゴルフ外交は、トランプ1期、日本の国益を守ったという点で成功的だったというのが、全般的な評価だ。2期行政府に入って、トランプとゴルフをした外国首脳は、3月アレクサンデル・ストゥッブ フィンランド大統領だけだ。以後、ストゥーブ大統領は一躍首脳たちの間で人気者になった。最近ホワイトハウスを訪れたフリードリヒ・メルツ ドイツ首相などを含め、数多くの首脳が「安倍効果」を得るためにゴルフロビーをしたが、まだ成就したというニュースはない。

そんなトランプとゴルフ。バディになることに、李大統領が挑戦している。李大統領の初めての米国訪問の時、いやそれ以降でも、成就すれば、トランプ2期韓国の国益を守ることができる実用外交にGOサインが出ることだろう。安倍は回顧録でこう言った。「外交の基本は現実主義です。イデオロギーに基づく外交には誰もついてきてくれません。世界各国はどれだけ国益を確保するかをめぐって激しく争っています。硬直な考え方にとらわれれば、結局、国は衰退することになります」新たに発足した李在明政権が、参考にしてほしい(中央日報)・・>>




会員記事で恐縮ですが、西日本新聞に記事が載りました。ありがとうございます。

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。