カナダへの関税35%など、世界中がトランプ関税で騒ぎになっている中、記事の内容より「えっ、そこですか?」な側面が強い記事がありました。中央日報(10日)です。ベッセント財務長官が、大阪万博「アメリカ・デー」参加のために来日することになりました。そうですかーゆっくりしていってね、といったところですが・・実はこれ、G20財務長官会議を急にキャンセルして作った日程だ、とのことでして。いくら大きなイベントでも、文化関連イベントのためにG20財務長官会議をキャンセルするのはちょっとありえないということで、記事は「これ、ひょっとして日米関税交渉が進むのではないか」と記事を載せたわけです。
ちなみに、個人的に「もはや、早めに合意してそれがいいことなのかどうかも微妙」だと思っているので、別に気になる案件ではありません。これが6月時点だったら、まだ気になったかもしれませんが。しかし、記事は、「もし日本と米国の関税交渉が進むと、韓国『だけ』が交渉が遅れたまま取り残されることになる」という趣旨を書いています。どうみても、いまうまく進んでいる国などありませんが。また、停滞しているのは間違いありませんが、日米交渉が別に他国に比べて大幅に遅れているとも思えません。7月中の米韓首脳会談は難しいという指摘も出ている中、記事によっては「米国側は、米韓首脳会談をやってもいいしやらなくてもいいと思っている」という(8日、韓国経済)話まで出ている昨今。繰り返しになりますが「気にするところ、そこですか?」としか。記事は、8月まで他の国との交渉を終え、それからは中国との交渉を本格化する、トランプ大統領としてはそれが本番になるという見解も書いています。本当にそうなら、今回は中国に「タコ」しないでほしいところですが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・「日本の選挙に合わせてベッセント派遣、中国との戦いのための事前布石か」(※見出し)こうした中、トランプ大統領はこの日、スコット・ベセント財務長官が率いる使節団を、来る19日、日本大阪エキスポ(EXPO)に派遣すると明らかにした。訪日名目は、この日、EXPO会場で開かれる「米国の日」行事に出席するためだ。しかし、関税交渉を導くベセント長官が、南アフリカ共和国で開かれる主要20カ国(G20)財務長官会議の日程を急挙取り消してまで、文化行事に参加するからには、他の理由があるという観測が出ている。これと関連して、外交情報筋は「20日、参議院選挙を控え、世論を気にするしかない石破茂日本首相は、これまで米国の要求を受け入れることができない状況だった」とし「選挙に合わせたベセント長官の訪日は、選挙まで引き伸ばしていた談判を、急ぐことにしたという布石だ」と話した・・
・・「EU・インド・台湾合意が近い」・・韓国だけが取り残されるのか(※見出し)。もし日本と米国の交渉がスピードを出した場合、韓国だけが交渉を妥結できないまま、米国を一人で相手する状況になる可能性があるという懸念も出ている(※いまなら、交渉が遅れている日本といっしょに力を合わせるという主張が出ており、多分、そのことだと思われます)。トランプ大統領はこれまで10大赤字国のうち別途交渉を進める中国、交渉を終えたベトナム、相互関税例外国であるメキシコ・カナダを除き、欧州連合(EU)・台湾・インドには書簡を送らなかった。
これと関連して、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「ベセント長官が(トランプに)「インドとEUなどとの交渉はほぼできているが、まだまだ時間が必要だ」という意見を伝えた後、(トランプが)関税を延期した」と伝えた(※インドもEUも、米国へ高率の関税をかけるというニュースが出るなど、そこまでスムーズに進んでいるとは思えないという見解もあり、本当はどんな状況なのか分かりません)外交情報筋は「トランプ大統領は『大きくて美しい法案』通過後に、延期されていた関税交渉を終えようとしている」とし「タコ」という言葉まで受けた立場で、主要国との交渉を終えて8月からは力量を中国に集中する可能性がある。ハワードラトニック米商務長官もCNBCインタビューで「8月初め、中国とより大きな貿易会話を始める」と公言した状態だ。
「品目関税に安保まで全方位圧迫」(※見出し)。トランプ大統領は、中国との全面対立に先立って、品目関税に力を入れている。すぐに銅に対する50%の関税を8月1日からかけると明らかにした。銅は、韓国企業が大規模に投資したバッテリーの主原料だ。近いうちに主力輸出品である半導体の関税が発表される可能性もある。すでに自動車(25%)と鉄鋼(50%)に対する関税が施行された状況で、追加品目関税は韓国の交渉力を弱める要因として挙げられる(中央日報)・・>> 告知を書き忘れました(テヘッ)。申し訳ございません。明日は1日休みをいただきます。次の更新は日曜日(13日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。