久しぶりに特使団という単語が出てきたので、取り上げてみます。李在明大統領が、米国に関税関連で特使団の派遣を計画している、とのことでして。ソース記事はノーカットニュース(14日)で、コラムニストの寄稿文です。記事は、特使団の派遣が成功した3つの事例として、「文在寅政権のいわゆる運転者論」、「韓流ソフトパワー」、「HYUNDAI車の大規模投資」です。この3つがあるので、「私たちには使える牌(カード)が少なくない」と主張しています。大規模投資なら、日米交渉が停滞している時点であまり役に立ちそうにない、というのもありますが、これはまだわかります。ソフトパワーは、バイデン政権のときにホワイトハウスにBTSが招待されたときのことを書いていますが、これと何の関係があるのかわかりません。
よく言われる「両国間で交流があるから~」という話かもしれませんが、これもまた、韓国より多くの文化交流をしている国があるでしょうに。文在寅政権の事例は、もはや「何の冗談だ」としか思えません。急に夏風邪をひいた人のような気分です(リアル)。2018年5月22日、中央日報がこんな記事を載せました。「ワシントンが文在寅大統領の仲介外交に疑いを示している」というニューヨーク・タイムズの記事を引用したもので、「トランプは文在寅大統領に電話をかけ、『なぜ(文大統領側の特使、当時リーダーの鄭義溶氏などが)金正恩と会った後に、私に『間違いないというふうに話したこと(assurance)と、北朝鮮の公式談話の内容が、ここまで相反するのか』と尋ねた」という内容です。
電話をかけたのは土曜日(19日)の夜、とのことですが、NYTによれば、これは文大統領が訪米するわずか三日前のことです。「これは、文大統領がワシントンに来るまで待てないという、トランプ大統領の不快な心気(discomfort)を示したものだ」としていました。その翌月、シンガポールで米朝首脳会談が開かれたものの、あまり進展はなく、その次の2次(ハノイ米朝首脳会談)で決裂となり、文在寅政権の「運転者論(米朝を仲介する外交)」は完全に国内政治ショーに転落してしまいます。これをいまさら「成功した事例」「カードは多い」とするのは、さすがにどうかな・・としか思えません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・反転のきっかけを設けるなにか必要な時点だ。韓米首脳会談ができればいいだろうが、すぐには容易ではないように見える。それだけに、イ・ジェミョン大統領が推進中の特使団派遣がその役割を果たさなければならない。問題は、トランプ2期ホワイトハウスのしきい値がさらに高くなったという点だ。ややもすると「あなたにはカード(※交渉できそうなもの)がないじゃないですか」といわれるかもしれない。ホワイトハウスの関心を集める「メッセンジャー」や「メッセージ」が必要だ。「ホワイトハウスで歓迎された人たち」を通じて、今回の特使団の成功条件を探そう。結局これは米国を相手に私たちが取り出すことができる有効なカードが何なのかについての話だ。3つの事例があった。
最初はトランプ1期だった2018年3月、文在寅政権の特使団だ。彼らは北朝鮮の金正恩委員長のメッセージを持ってホワイトハウスを訪れた。「非核化意志があり、核とミサイル実験を中断する。トランプ大統領と直接会いたい」という内容だった。これに鼓舞されたトランプは即座に米朝首脳会談の開催を受け入れ、韓国特使団がこれを直接発表できるようホワイトハウスに席まで設けてくれた。韓国が米朝首脳会談を仲裁した前例のない場面だった。北核という共同の悩みを「トップダウン」方式で解いてみようというアプローチだった。首脳間の直取引と破格の歩みを好むトランプ・スタイルを正確に読み取ったオーダーメイドの提案だった。米朝首脳会談は未完で止まったが、当時高まった朝鮮半島の緊張を和らげるのに決定的な役割を果たした・・
・・私たちにはカードがないわけではない・・・・それらをレゴ(Lego)のように組み立てなければならない。私たちが握っているブロックの一部をどこに入れるのか、創造的で立体的に考えなければならない。固定された枠から外れた発想の転換が必要である。変わった米国と共に、私たちは「家」を建てることも、「宇宙船」を作ることもできる。今回の特使団は、私たちが持っているこのブロックをホワイトハウスが望んでいる何かと見せるようにしなければならない。そしてそれをどこに合わせなければ真の「ウィン・ウィン」ゲームになるのか探索しなければならない。繰り返しになるが、私たちは使えるカードがある(ノーカットニュース)・・>>
申し訳ございませんが、今日も更新はこれだけです。もうちょっとだけ休みます。実は8月に、東北地方にねぶた祭を見に行く計画で、3~4日間留守にすることになります。それで7月の中旬あたりからはできるかぎり休まずに更新するつもりでしたが、こうなってしましました。愛と根性で治して、明日こそは平常更新再開します。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。