風邪、治りました。今日こそいつもどおり行きます。6月、韓国の求人倍数(求人倍率を韓国では求人倍数と言います)が0.39まで下ったことで、各メディアが多くの記事を載せています。求職する1人あたりに、仕事が0.39個しかないという意味です。去年同月は0.49でした。当時も低すぎると言われていましたが、さらに下ったことになります。また、失業給与(失業手当)関連ニュースも増えました。合わせて紹介できればと思います。社会安全網として失業手当などを重視した文在寅政権の影響で、もはや失業手当が最低賃金労働者の所得を超えてしまいました。金額としては最低賃金のほうが多いけど、給料からは税金や社会保険などが引かれるので、実際に手に取る金額では、失業手当のほうが多くなるわけです。
韓国の失業給与は、最低賃金の80%が下限です(勤務期間などで異なる)。最低賃金が上がれば、失業手当も上がります。無条件出てくるものではないし、支給期間も決まっています。だからずっと休むことはできないでしょうけど、ある程度働いて条件を満たしては仕事をやめて、また受給期間が終わったら就職しようとする、そんな人たちが増えました。「どうせ最低賃金以上の給料がもらえる仕事には就けない」と思っている人たちが多くなったという意味でもありましょう。今月になってから複数のメディアが報じていますので、SBS(14日)、東亜日報(15日)、韓国経済(11日)、ソウル経済(11日)から必要な部分を引用してみます。特にソウル経済、韓国経済の記事は、本文や題などで「働くよりいいね」と書いており(問題だとする趣旨で)、なかなかのインパクトです。<<~>>が引用部分です。
<<・・対内外で経済の不確実性が拡大し、雇用を求める人は増えていますが、雇用は減る状況が続いています。求人人員を求職人数で割った求人倍数が先月0.39で、0.49だった1年前よりも大幅に低くなりました・・・・来年度の最低賃金が引き上げられたことで、最低賃金と連動した失業給与も上がります。問題はやはり財政ですが、状況がこうだから、早ければ来年あたりから失業給与の積立金が枯渇する可能性があるという懸念が出てきます・・・・「働きながら最低賃金を受けるよりも、仕事をしないで失業給与もらったほうがいい」。最近オンラインで共有されている言葉ですが、これは嘘ではありません。来年の月失業給与は198万ウォン、税後最低賃金186万ウォンより12万ウォンほど多いです(SBS)・・>>
<<・・先月、政府雇用サービスプラットフォーム「雇用24」を通じた求人人員は15万1000人で、昨年同期と比較して1万9000人(11.2%)減った。一方、求職人員はこの期間38万7000人で4万1000人(11.9%)増えた。この統計で計算できる求人倍数は0.39で、IMF危機直後の1999年6月以降最低値を記録した。求人倍数とは、人材需給状況を示す指標で、1に近いほど求職と求人がバランスをとり、1より低い場合は就職難を、高い場合は求人難を意味する。ジョンギョンギ雇用部未来雇用分析課長は、「トランプ関税交渉などで不確実性が大きくなった各企業が、新規採用をしていない。
求人倍数も引き続き下落している」と話した。求職(失業)給与申請者と支給額も増加している。求職給与新規申請者は8万6000人で、前年同月比2000人(2.4%)増加した。支給者も65万4000人で3万1000人(5%)増え、支給額は1兆516億ウォンで1036億ウォン(10.9%)増加した。5カ月連続で求職給与支給額が1兆ウォンを超えた(東亜日報)・・>>
<<・・現行雇用保険法上、失業給与下限額は最低賃金の80%だ。前日最低賃金委員会が決定した2026年最低賃金1万320ウォンだと、来年に適用される失業給与下限額は時間当たり8256ウォン、1日6万6048ウォンだ。現行失業給与上限額6万6000ウォンを上回る金額だ。これにより来年に失業給与受給者は事実上すべて同じ給与を支給される見通しだ。問題は、「失業給与を受けるのが、働くよりも良い」という勤労意欲低下が発生する可能性があるという点だ。失業給与では税金と4大保険料が控除されない。実収令額基準で最低賃金労働者よりも多くのお金を持っていくことになる(韓国経済「失業給与のほうが働くよりいいという、初めての事態」)・・>>
<<・・失業給与上下限額の解決法も、各政権ごとに異なっていた。尹錫悦政権は失業給与財源である雇用保険基金の財政健全性を高めるために、失業給与下限額を下げる方案を検討した。実際、雇用保険基金は約4兆ウォン規模の赤字だ。文在寅政権は、失業給与が社会安全網であるだけに雇用保険基金の赤字は当然だと判断した。李在明政権も、文政権の全国民雇用保険対策を受け継ぐなど、雇用保険の公的役割を強調している(ソウル経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。