韓国メディア「李政権は中国寄りだという米国側の誤解を払拭させよう」

6月5日にも紹介しましたが、共に民主党(韓国与党)が「米国側は、李在明大統領を親中だと誤解しているようだ」と話しているというニュースがいくつかありました。たとえば、「親共に民主党内では、米国側で韓国の状況を正しく理解できず、共に民主党と李大統領を親中だと誤解しているようだ、との反応を見せた。しかし重要なのは、米国側が、李大統領と共に民主党に対して実際に持っている認識だ(JIBS、4日)」などです。今回、15日の文化日報に、セジョン研究員というシンクタンクの、元国防部次官出身研究委員がまた同じ趣旨を寄稿しました。「実用主義」であり、中国寄りでもなんでもない、というのです。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・米韓首脳会談を早速に推進するという韓国政府の意志に対して、まだ米国側はちゃんと返事を出さないでいる。関税関連の交渉も大きな進展がないように見え、在韓米軍削減の声もトランプ政権周辺から出てくる。何より、新しい政権が発足するたびに、良い言葉でお互いを大事にしながら高位レベルが接触を続けていたが、そんな外交的慣行が今は止まっている。あまり見なかったことだ。




このような現状には、二つの誤解が存在する。まず、トランプ政権の誤解だ。韓国の新任大統領を親中だと誤解している。いままでの李在明大統領の中国関連発言のためだが、政府が標榜する「実用外交」の内容や、外交安保人事の面を見れば、親中ではない(※国家情報院長、統一部長官などに盧武鉉政権の核心メンバーたちが重用されています)。ただ、政府としても、そんな誤解を解くための努力を先にしなければならなかったが、そうではなかった。国家安全保障室長のような専門家を送って、安全保障や関税交渉をすることは、首脳間の信頼が積まれた後にこそ効果がある。今でもトランプ大統領が喜びそうな人を送って、誤解を解かなければならない。

次に、韓国政府の誤解だ。トランプ政権の同盟国への圧迫は、やりすぎだ。しかし、言葉と行動の違いを誤解してはならない。トランプ大統領の交渉戦略は、交渉目標よりも強く話し、譲歩を得ようとするものだ。この過程で統計や言葉を変えることが多い。これを通じて彼は国内政治的名分を得ようとする・・・・米国と対抗する前に考えなければならないのは、その影響を受け止めなければならないのが私たちだということだ。米国には韓国を代替する輸入市場が他にもある。韓国が外れたからって米国のインド太平洋戦略が崩れるわけではない。一方、韓国は年間数百億ドルの黒字を見る市場が消え、北核の脅威を一人で負担する余裕はない。日本は米国国債を1兆ドル以上保有したが、韓国はそんなカードもない。したがって、今政府が悩むべきことは、トランプ政権をよく扱い、実用に基づいて韓国の国益を「どのように」増進するかである(文化日報)・・>>




引用部分の「トランプの取り引き戦略」については、まだ結果が出ていないので、そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。急に国債の話が出るのは意外ですが。それに、親中ではないと主張しても、李大統領の言う実用というのが「いまは実用的ではない」という意味であるかぎり、結局は日米側から中朝側に近づくしかありません。ある人が、それまで立っていた場所から、急に「実用的ではない」としながら、北側に歩いていったとしましょう。その人は「北側へ移動したわけではなく、これが実用だ」と話しているかもしれませんが、周りの人たちからすると北側へ移動しただけです。それは誤解でもなんでもありません。

前にも書きましたが、そもそも「実用外交(実用主義外交)」というのが、盧武鉉大統領が主張していた、東北亜均衡者(バランサー)論から来たものです。実はあれ、正式には「均衡的実用主義」という名称でした。これは、当時の記事(政府発表を引用するもの)を見れば、すぐに分かります。盧武鉉政権では、明らかに「バランサーになる」という意味を強調し、この「東北亜均衡者論」というのが強烈すぎで均衡者(バランサー)の部分だけがクローズアップされていましたが、実はバランスを取るというのは「柔軟に対処する」という意味なので、実用主義、実用外交という呼び方をしていたわけです。




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