韓国では、与党や大統領の支持率はかなり好調ですが、保守政党である国民の力(前与党)の支持率は日々下がりつつあります。さらに、与党は国民の力そのものを完全に消滅させようとしています。どういうことかと言いますと、国民の力を「違憲政党」とし、そのまま政党を解散させようとしています。ソース記事「文化日報」(16日)の引用部分にもありますが、すでに関連法案を発議しました。ただ、最終的に、政党の解散は憲法裁判所が判断することになっていますので、もし与党の思ったとおりに事が進んでも、結構な時間が必要になります。もし政党が尹錫悦大統領の違憲行為に同調、その罷免を妨害したとなると、解散までいく可能性もあります。
いまのところ、見解は分かれていて、可能性としてはほぼ無いという意見もあれば、十分行けるという意見もあります。与党側は、国民の力が違憲政党と判断された場合、国民の力を解散させるだけでなく、国民の力の国会議員全員が議員資格を失うようにする法律改正案を進めています。いまの法律のままだと、別に政党が解散されても、国会議員まで全員が議員の座を失うわけではありません。前に解散された政党「統合進歩党」の場合は、国会議員も全員が議員資格を失いましたが、それは憲法裁判所の判断であり、法律にそう既定されているわけではありません。
もう何度も同じ趣旨を書いてきましたが、政権が変わるたび、「統合」「和解」という言葉はかならず重視されました。しかし、それが実現されたことはありません。政権が変わっても、「上」と「下」の立場が入れ替わるだけで、なにも変わることはありませんでした。そもそも、「統合」や「和解」「和合」などの言葉を、「相手が自分の言う通りにすること」と同一視する風潮が強すぎるので、無理があります。今回の件、結果がどうなるのかまでは分かりませんが、「そういう意味での統合」としては、ウルティメイトな形かもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・イ・ソンユン共に民主党議員が、憲法裁判所の違憲政党解散決定直後、該当所属国会議員の資格を自動喪失するようにする憲法裁判所法改正案を準備中だと、16日把握された。前日、同じく共に民主党の鄭清来議員が違憲政党解散審判請求権者を国会に拡大する同法改正案を発議したことと、連動しているものであり、共に民主党が国民の力の解散を念頭に置いた関連法作りを本格的に始めたと思われる。このような動きに国民の力は「独裁体制を作るための前哨作業だ」と反発した。イ・ソンユン議員室関係者はこの日の通話で、「今週中に発議を目標に憲法改正案を準備している」とし「(憲法裁の)違憲政党解散決定があれば、自動的に議員資格を失うという内容だ」と明らかにした。
イ議員が前日、国会立案支援システムに上げた改正案を見ると、「解散決定を受けた政党の所属国会議員は、その資格が失われる」という条項を新設することになっている。現行法上、政党が解散された場合、所属議員全員が議員資格を失うという規定はない。ただし、憲政思想初の憲法政党事例である2015年統合進歩党の場合、憲裁がイ・ソクギ元議員を含め~~(※人名省略)~~など進歩党所属議員の資格喪失を決定した。イ議員が準備する改正案は、憲法裁判所の決定がなくても、このように全員が議員資格を失うように法で決めておくものだ。
共に民主党は事実上、国民の力を「違憲政党」と仮定しており、関連法案に手を出している。前日、鄭清来議員は国会本会議の議決を通じて違憲政党解散審判を請求できるよう、憲法改正案を代表発議した。鄭議員と、党代表の席をめぐって競争中のパクチャンデ議員も、「内乱特別法」を発議した。当該法案は、内乱者を排出した政党に対して、国庫補助金を打ち切る内容を含んでいる。
祖国革新党は、共に民主党と補助を合わせて国民の力を圧迫している。キム・ソンミン祖国革新党代表権限代行はこの日午前、国会記者会見で「政党解散でなければ、国民の力が憲政秩序を毀損する行動を止めることができない」とし、国民の力解散審判請求を政府に要求した。金権限代行はこのような内容の陳情書を法務部に追加受付するとも明らかにした(文化日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。