SKグループ会長「日本と韓国で経済共同体を作ろう。日本も他に選択肢がない」

不定期に盛り上がっては消える、「経済圏」の話。もっとも盛り上がったのが、やはり文在明政権の「南北鉄道連結」のときではないでしょうか。釜山からユーラシアまで鉄道で行けるようになるから、日本もきっとこの経済圏の一部になりたがるだろうし、海底トンネルなどで「つながる」ことを強く望んでいるはずだ・・そんな話がものすごく盛り上がっていました。中には、「じゃ、トンネル工事費や統一関連費用を日本が負担するだろう」という主張もありました。それからは尹錫悦政権になって、日本と関係改善したからという理由で、すぐにでも「経済圏」が出来上がりそうな話になっていました。

日中韓で一つの経済圏を作ろうとかの話も結構あったものの、結局、その理由はよくわからないものばかりでした。中でも印象的だったのが、毎日経済(2024年1月21日)の記事で、「日中韓合わせての人口が、世界人口比で20%台を割り込みました。急いで協力しないと」を理由に、日中韓の「経済圏域」協力拡大を主張しており、さすがにちょっと笑ってしまいました。CPTPPに加入するという話もあったものの、結局、いまだ正式に加入申請はしていません。そんな中、朝鮮日報(朝鮮BIZ)によると、SKグループの総帥で韓国の商工会長でもある崔泰源会長が、「日本との経済共同体」を主張しました。韓国も潜在成長率が0%代に入ることになるので他に手がないし、日本も他にこれといって選択肢がない、という主張です。




この話が出るといつも不思議なのが、日本にとってどんなメリットがあるのかがまったく示されていない点です。全体的に日本のほうが黒字を出しているのに、なんのメリットがあるのか。結局は、中国とFTAを強化することで、日韓ではなく日中韓経済共同体を作ろうとしているだけではないのか、個人的にはそう思っています。なんというか、中華を思想的に見ている人たちなら、確かにそのほうが「正しい」かもしれません。ただ、これは全般的に私がそう思っているという話で、今回の崔会長がそこまで話していたという意味ではありません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・崔泰源SKグループ会長は、「日本と経済協力をしようとかそんなレベルではなく、経済共同体を作らなければならない」と16日明らかにした。崔会長はこの日、YouTubeチャンネル「キム・ジユンの知識PLAY」に出演し、「大韓民国の成長がほぼ止まる段階まで来ている」と述べた。崔会長は「今は、潜在成長率が0%台に入るようになっており、これまでやってきたのと同じ方法では、私たちが生存できるのかという疑問を持たなければならない」とし「欧州連合(EU)のようになれる、そんな共同体を作る必要性があると考えている。この話を日本でも多くの方々と分かち合ってきたが、日本側も同様の考えだ」と話した・・




・・崔会長は現状況を保護貿易時代に規定した。彼は「トランプ政権1期の時の関税政策などが、バイデン政権でも変わったところはほとんどない。保護貿易主義基調をこれからも捨てないだろう」と話した。中国と日本の間に位置する韓国の地政学的状況を考慮すると、最も境遇が似ており、協力による効果を共有できる国でも日本が唯一だと言及した・・・・崔会長は両国が経済共同体を形成する場合、その効果としては「自然に市場がより大きくなり、低コスト社会を作ることができる」とし「韓国の中にすべてのオプションをすべて作る理由もなくなる」と話した。

崔会長は「今のように、輸出して引き続き黒字を出していけば、貿易摩擦、外交問題になってしまう」とし「リスクが大きすぎるだけに、そういうモデルを変えなければならない」とし「海外に投資して収益が返ってくる方法を使うべきだ。これは、日本がすでにかなり多く使う方法でもある」と強調した(朝鮮BIZ)・・>> 発言全文を見たわけではありませんが、ここまで言いながらなんで「CPTPP加入を目指そう」など既存の経済協力方法についての話がまったく出てこないのか、それもよくわかりません。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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