本ブログでは結構前から「日米韓安保協力は、すでに公式にできなくなっている」という趣旨を書いてきました。日米相互防衛援助協定が改定されるたび、韓国政府が公式に「自衛隊の朝鮮半島進入」を許可せず、「在韓米軍は韓国の専守防衛のためにある」(中国など他の理由で動かしてはいけない)という方針を固守してきたからです。最近、米国側から、関連した要求がかなり強くなっているようで、一気に関連ニュースも増えました。それでも、基本的に、「専守防衛だかんな」なものが圧倒的に多く、保守側も、意見は分かれているものの、大差ありません。「在韓米軍が別の任務で動くと、その隙に北朝鮮が動く可能性がある」などの理由で、在韓米軍の「柔軟さ(中国や台湾問題で動くこと)」には反対しないでいます。尹政権も、このスタンスでした。
そんな中、またもや「米韓同盟を無条件で支持ばかりしていては、生産的な中韓関係は難しい」という記事があったので、また取り上げてみます。韓国日報(20日)で、ここは、「どちらかというと左側」なメディアですが、ハンギョレ新聞やオーマイニュースのように完全に左にシフトしているメディアではありません。面白い(?)のは、大多数のメディアが「もう安米経中は難しい」としながらも、こんな話が出てくるとすぐに「中韓関係があるから~」を名分にします。まるで、言っている中身は同じなのに、単に「安米経中」という「単語」だけ避けて通ればそれでいい、と思っているようです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・在韓米軍の「戦略的柔軟性」に関する議論が、20年余りぶりに再び水面の上に浮上している。中心軸は明らかに今までとは異なる。前は米国の脱冷戦時代の世界戦略に対する理解が不足しており、二分法的議論に閉じ込められていた。しかし、今は米国のグローバル戦略が中国牽制・包囲に合わせられていることが明確なだけに、少なくとも国益を判断する基準線はすでに描かれているといえる。(※在韓米軍の)戦略的柔軟性は、基本的に朝鮮半島防衛は韓国軍が担当し、在韓米軍は米国のグローバル戦略により域内・外の懸案に集中する役割分担を前提とする。私たちの立場では、少なくない時間が経過した分、進展した水準の妥協点を作り出す必要が大きい。
だが、ドナルド・トランプ2期の米国行政府の人たちが、相次いで在韓米軍の迅速機動軍体制運用を既定事実化するような発言を公開的に行っており、妥協ができるような可能性は高くないようだ。ドナルド・トランプ米大統領は、公開的に在韓米軍防衛費分担金と戦略的柔軟性、戦時作戦統制権転換など、容易ではない懸案をすべて取り上げてきた。まだ明らかではないが、これらの懸案を連携するだけでなく、相互関税交渉ともつなげる可能性が高い。場合によっては、韓国社会内部の、韓米同盟に対する無条件の支持と、在韓米軍撤収に対する無条件な恐れが、政府の交渉力を弱める可能性も大きいだろう。
最も警戒しなければならない状況は、南北関係と韓中関係が同時に不安になって、「朝鮮半島リスク」が急激に上昇することだ。在韓米軍の戦略的柔軟性が可視化すれば、生産的な中韓関係を保証するのは難しくなる。米国は本土防衛とともに中国の台湾関連有事の際などを、国防分野の最優先戦略として想定することで、中国が「核心利益」と考える問題に直接介入する可能性を開けておいた。有事に在韓米軍が投入されれば、朝鮮半島は戦乱の渦に巻き込まれるだろう(韓国日報)・・>>
この前、外交部長官(候補)が「米国側が、『李在明政権は安米経中ではないと分かり、安堵した』という話を個人的に聞いた」と話し、ブログでも紹介したことがあります。詳しくどこで誰が言ったのかは、分かりませんでしたが、あの発言、ものすごく話題になって、ほぼすべてのメディアが記事を載せていました(本ブログで書いてからも、しばらく同じ趣旨の記事が続きました)。いつものことですが、各発言と、実際の流れのギャップが、半端ない今日この頃です。そして、まったく関係ありませんが「鬼滅の刃無限城編」見に行きたい今日この頃でもあります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。