はてさて、日米関税交渉が妥結、石破茂首相も8月いっぱいで退陣するというニュースもありました。次の自民党総裁が誰になるのかも気になりますが、今回の参議院選挙で躍進した野党側が、ちゃんと公約で掲げていた内容の実現のために動いてくれるのか、自民・公明はその動きにどういうスタンスを示すのか。いろいろ気になる今日この頃です。で、先も「じゃ、うちも15%よりは低くないとね」という記事を紹介しましたが、韓国メディアにも米韓関税交渉関連記事が増えてきました。その中で、ヘラルド経済(23日)が、韓国代表団が用意した「カード」をいくつか分析しています。題などで特に強調しているのは、「原発」、「LNG」、「非課税」です。そして、記事によると、「原産地」関連が議題になっている、とのことでして。国名までは明記していないものの、中国の(韓国を経由しての)迂回輸出のことではないのか、とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・相互関税猶予期限(8月1日)を控え、韓国政府の高官たちが総出動し、米国と関税交渉に乗り出す中、ドナルド・トランプ大統領が日本との貿易合意を公式発表した。日本がアラスカ液化天然ガス(LNG)投資、自動車・農産物市場開放、大規模投資という3大カードを米国に提示し、関税率を25%から15%に下げたことで、韓国のパッケージ戦略に圧迫が大きくなっている。相互関税猶予期限を一週間ほど残して、経済・外交・産業・通商長官など韓国政府の長官(※大臣)レベルを含む出張団約50人が、今週米国を訪れる・・
・・金長官(※産業通商資源部の金正官金長官)はワシントンDCに到着するとすぐにクリス・ライト エネルギー部長官と面談を行う予定だ。ライト長官との面談では、原発協力が主要な議題になるとみられる。金長官の出張には、原発産業政策局長と原発輸出振興課長などが同行した。ドナルド・トランプ米大統領が、最近、原発容量を2050年まで現在の4倍水準(400GW・ギガワット)に拡大することにした。金長官は米国訪問期間中にハワード・ラトニック常務長官と、ダグ・バーガム ホワイトハウス国家エネルギー委員長兼内務省長官に次々と会う。
ラトニック商務長官との面談では、韓国側がこれまで提案してきた「製造業ルネッサンス・パートナーシップ」をもとに関税交渉の進展方案を模索し、造船・半導体・バッテリーなど戦略産業分野およびエネルギー分野での協力強化方案も幅広く議論する計画だ。しかし今回の出張団には産業担当者は含まれていない・・・・ダグ・バーカム長官との面談では、アラスカLNGなど米国産エネルギー購買拡大及びエネルギー協力案を提案したと伝えられる。これと関連、ガス・LNG導入担当者なども金長官の出張に同行した。金長官の出張団は17人ほどで構成された。
前日、米国に出発した呂翰九 産業部通商交渉本部長は、非関税障壁改善などを持ちだし、米国と終盤の交渉を行うものと見られる。ここに防衛費など安保関連協議まで進め、安保・通商交渉を結ぶ「ワンストップパッケージ妥結」を目指している。本部長は来る25日に予定された「2+2経済・通商長官協議」に先立ち、グーグル、米国畜産協会などと面談日程を調整中だ。これは、米国が要求する非関税障壁改善関連で現地の当事者の意見を聴取するためのものと解釈される。Googleは高精度地図データ搬出を、米畜産業では牛肉30ヶ月以上の輸入拡大などを求めている。本部長の米国出張には、非関税障壁担当の韓米自由貿易協定(FTA)履行チームが同行しているという点で、その交渉で米側が非関税障壁改善を重要な議題として掲げていることを推測することができる。
本部長の出張団には、原産地基準担当者も同行した。米国政府が懸念している、中国迂回輸出関連で、原産地基準を明確にするためのものだと思われる。韓米FTA首席代表を務めたウェンディ・カトラーアジアソサエティ政策研究所(ASPI)副会長は14日、韓米経済研究所(KEI)主催のセミナーで「貿易協定に『中国』という単語が明示されることはないだろうが、実質的には、中国の経済的影響力に対する懸念がかなり存在する」とし、「原産地問題が、伏兵になるだろう」と指摘したことがある(ヘラルド経済)・・>>
韓国の場合、まだ発表されていない半導体関連の関税をどうするのか、というのも問題でしょう。前々から発表するとか言って、まだ税率などが出ていませんが・・全般的な関税率とは別に、自動車みたいに「個別品目」関税になると言われていますが。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。