さて、米韓関税交渉関連でまた多くのニュースが出ています。この前、韓国との2+2(財務・通商)協議に参加せず、副総理の出国直前に会談をキャンセルしたベッセント財務長官ですが、朝鮮日報の報道によると、これといったスケージュールが確認できなかったそうです。スコットランドを訪問中のトランプ大統領に同行したのではないかと思われていましたが、同行もせず、これといったイベント(たとえば他国の高官と会談したとか)も確認できず、SNS投稿だけしていた、とのことでして。いわば、なにか急な用事があって会談をキャンセルしたわけではない、そんな可能性が高いというのです。EUとの関税交渉は合意が近い、うまくいけば27日頃に合意できる、日本と同じく15%、外国メディアからはそんな話も出ていますが・・もし本当なら、米韓関税交渉は本当に時間があまり残されていないことになります。さて、どうなるのでしょうか。
今朝の本題は、また中国関連です。関税交渉のサポートという目的もあって、というか主な目的がそれでしょうけど、韓国の与党(共に民主党)と野党(国民の力など)の国会議員たちが、米国を訪問しました。で、彼らが帰ってきたわけですが・・チャンネルA(26日)によると、与党と野党で強調する部分がずいぶん異なります。与党が強調しているのは、あいかわらず「パッケージ交渉(いろいろ一つのセットにしての交渉)」で関税交渉を成功させるという話で、いままでと大して変わりません。ただ、野党側、国民の力と改革新党(大統領候補だった李俊錫氏の政党で、尹錫悦前大統領関連で国民の力とは仲がよくありませんが、どちらかというと右側の政党です)の議員たちの話だと、米国側は『中国』関連の話をしていて、李在明政権が中韓関係をどうするのかが、要求事項の一つだと思われる、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米韓の貿易交渉を支援するために米国を訪問した与・野党国会議員たちが、少し前に帰国しました。野党は、中韓関係の設定が重要なキーワードだったと口をそろえました。与党は、パッケージ交渉を強調しました・・・・5泊6日の訪米日程を終え、与・野党国会議員たちが仁川空港入国場を通過しました。羅卿瑗 国民の力議員は、米国は韓国が対中国の牽制に確実に参加することを願っていると強調しました。【羅卿瑗・国民の力議員「(アメリカの)対中国に関する立場と、韓国が同じ立場を取って欲しいというのが、アメリカの要求条件の一つだと感じられました」】。李俊錫 改革新党議員も、同様の趣旨で話しました。【李俊錫・改革新党議員「交渉の条件は、決して容易ではないように見えました。(訪米中に出会った米国側の人の)多くは、韓国と中国との関係が、新政権の下でどのように進行するのかを疑問に思っていました」】・・
・・ある訪米議員団の一人は、「米側からも、延期されるばかりの米韓首脳会談について懸念する声があった」と伝えました。趙正湜 共に民主党議員は、「関税と非関税障壁、造船・エネルギー・安全保障・追加投資拡大などを一つのパッケージにまとめなければならないと、米国側に提案した」と明らかにしました。【趙正湜・共に民主党議員「李在明政権と韓国国会は、米韓同盟関係と米韓関係を最も重視しているので、今回の交渉が米韓同盟関係をさらに発展させる方向に・・」】・・
・・大統領室は昨日に続き、今日も通商対策会議を開き、「米韓商務長官会談で、米国の造船分野に対する高い関心を確認した」と明らかにしました。出国直前2+2会談が取り消された具潤哲 経済副首相は、来週米国を訪れ、スコット・ベセント米財務長官と会う予定です。趙顯 外交部長官も来週に出国し、マルコ・ルビオ米国務長官と会うことにしました(チャンネルA)・・>>
政党の路線的に、野党が中国の話を強調しただけかもしれません。しかし、関税交渉「だけ」ではなく、たとえばいつか(いつ?)米韓首脳会談が開かれても、結局は中韓関係についての話が議題にされるでしょう。李政権が始まってから、政権関係者や与党重鎮たちから何度も「米国側は、李在明大統領が中国寄りだと誤解しているようだ」「誤解を払拭させよう」などの発言がありました。それは、実は「誤解を払拭させよう」という意味ではなく、「なんとかして誤解だったということにしよう」という意味だったかもしれません。個人的に特に気になるのは、25日にお伝えした「米国政府が直接、在韓米軍は韓国専守防衛(実は韓国側が条約をそう解釈していただけの話でもありますが)ではなく、その役割を拡大すべきと要求してきた」ことです。これについてはもう一度、早ければ午後にでも取り上げてみようかと。さて、李大統領はどうするのでしょうか。シェシェすればいいのでしょうか。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。