米国「日本レベルの投資を」・韓国「私たちのGDPは日本よりずっと小さい」

2日間にわたって行われた米国と中国の関税交渉で、関税猶予期間の延長が決まりました。大統領の承認待ち、とも。やはり、中国相手だと妥結は難しいのでしょうか。インド関連の話がまったく出なくなったのも気になるところですが。そんな中、明日、米国と韓国が(8月1日までの猶予期間を考えると)最後の関税交渉を行います。多くのメディアから様々なニュースが出ています。アジア経済(30日)によると、米国側は韓国代表団に対し、「大統領に報告するための案にすべてを注ぐべきだ」と話した、とのことでして。その中でも話題になっているのが、投資額です。東亜日報(29日)によると、米国側は韓国側に4000億ドルを提示しています。しかし、韓国側は(記事によって数字が異なりますが)「1000億ドル+α」、「2000億ドル規模」を提示し、「私たちのGDPは日本の半分にもならない」と話している、とのことでして。

ちなみに、エネルギー輸入以外だと、大まかな数字として日本とEUの投資金額は5500億~6000億ドルでした。当然ですが、これを一気に投資するという話ではありませんけど。米国側は、GDPの問題ではなく、対米貿易で大きな黒字を出しているから、4000億ドル投資は必要だという立場です。個人的に、何かの形で合意できるのではないか、と思っています。いつものことですが、韓国としては、日本が合意できたから、なんとしても15%で合意「しないといけない」ことになりましたから。ただ、一部のメディアはまだ「急いで合意するより、いっそのこと猶予期間が終わった後にも交渉を続けたほうがいいのではないか」という記事も出しています。どうせ近いうちに半導体関連の関税なども発表されるとのことなので、もっと見守ったほうがいい、というのです。以下、<<~>>で引用してみます。




 

<<・・「私たちの経済規模が(日本より)小さいことを考慮してほしい」(韓国)、「韓国の対米貿易黒字規模が重要だ」(米国)。来月1日(現地時間)米国の相互関税適用を控え、韓国と米国が貿易交渉を進行する中、ドナルド・トランプ米行政府が交易相手国の対米貿易黒字規模を重要な交渉基準として出していることが分かった。一方、韓国政府は日本と比較して韓国の経済規模がずっと小さいという点を強調し、米国側の理解を求めたという・・・・日本が米国に約束した5500億ドルの投資などを我々が同じ規模で推進するのは現実的に難しい。これに、政府は最近ハワード・ラトニック米商務長官との協議の時も、これを説明したと伝えられた。

これに先立ち政府は米国に2000億ドル規模の投資パッケージの提案を考慮したとされていたが、当時この金額も日韓間の現実的な経済規模の差などを基準に策定したものと見られる。しかし、米国は自国の貿易赤字(韓国の貿易黒字)規模を理由に、韓国にも日本水準の譲歩を求める雰囲気だ。米国アラスカ州液化天然ガス(LNG)合作事業参加、大規模航空機の購入など、日本と合意した内容を韓国にもそのまま適用しようとする可能性があるという意味だ(東亜日報)・・>>




<<・・ハワード・ラトニック米商務部長官が、最近、スコットランドで金正官産業通商資源部長官など韓国代表団と会って、最高で最後の貿易提案をももってくるよう促したと29日(現地時間)ウォールストリートジャーナル(WSJ)が報道した。8月1日、相互関税猶予措置終了を控え、米国が韓国を相手に追加譲歩を要求し、圧迫水位を最高潮に引き上げているのだ・・・・世界最大の市場である米国で韓国企業が不利益を受けないためには、関税を15%以下まで下げることが交渉の最低ラインだと考えられるが、トランプ大統領が事実上15%を関税の下限にしている状況で、これさえも、こちらから大規模な投資と市場開放を出さなければならない。

しかし、投資規模の面で米韓の間で意見が大いに異なる。先に韓国政府は1000億ドル+α規模の対米投資計画を提示したが、これは米国が当初要求した4000億ドルはもちろん、日本(5000億ドル)の水準に大きく及ばない。25%に達する関税を15%水準に下げるため、対米投資拡大はもちろん農産物など市場開放、造船業協力など多様なカードを総動員して交渉を行っている。ただし、ラトニック長官が韓国側との協議を続けているという点は、交渉妥結の可能性を示唆する肯定的なことだと思われる(アジア経済)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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