韓国政府、米韓合同軍事演習を調整(縮小など)か・・北朝鮮が談話を出した9時間後に

なんか、文在寅政権のときに無数に見たパターンの記事があったので、取り上げてみます。韓国政府が、米国との合同軍事演習の調整を検討しています。南北関係の担当省庁である統一部が、李在明大統領に公式提案した、とのことです。規模縮小などを意味します。北朝鮮側が、合同軍事演習を非難する談話を出してから、なんとわずか9時間ぶりのことです。ソウル新聞(30日)などが報じています。他にも、北朝鮮は米国側と対話する可能性を示す(核保有国として認められるのが前提ですが)内容も話しましたが・・韓国政府としては、やはり文在寅政権のようなポジションを取ろうとしているのでしょうか。

文在寅政権のときには、米朝首脳会談などを文大統領が仲介する、いわゆる「運転者論」というものが主要な外交政策でした。当時も、今回のような、軍事演習の縮小、延期などがよくニュースになっていました。まだ結論は早いでしょうけど、雰囲気が当時に戻りつつあるのは間違いないようです。以下、<<~>>が引用部分ですが、そこに「通米封南」という言葉が出てきます。これ、ずいぶん前にブログにも(旧ブログだったかも)書いた記憶がありますが、北朝鮮が米国と直接話し合うことで、韓国政府の役割を封じるという意味です。結構前から、北朝鮮側の策の一つとされてきました。「朝鮮半島に政府は一つだけ」という憲法解釈に基づき、いったん韓国政府を介しての米朝会談でなければならない、というのが、米韓のスタンスだったからです。いうまでもなく、文政権の頃、むしろ政府が米朝会談を進めるような動きを見せ、この件もずいぶん弱体化しましたが。




<<・・鄭東泳 統一部長官が、8月中旬に予定されている米韓の「乙支自由の盾」(UFS、乙支フリーダムシールド)の調整を大統領に提案することにした。鄭長官の発言は金与正 北朝鮮労働党副部長が韓米連合訓練を「北朝鮮を攻めるための大規模合同軍事練習」と非難する談話を出してから、9時間ぶりのことだ。2018~2019年、南北・米朝首脳会談が開かれた時期に、韓米連合訓練が縮小されたことがある。南北・米朝関係の流れを良くするために韓米連合訓練の縮小ないし延期などの必要がある、ということが鄭長官の趣旨だと見られる。

しかし、20日余り控えたUFS練習を調整することが現実的に可能かどうかは疑問だ。米側との協議を先行しなければならないからだ。前の、ドナルド・トランプ政権1期だった頃、トランプ大統領は韓米連合訓練を「ウォーゲーム」と評価下げし、中断すると明らかにしたことがある。ところが、米国は今は、1、2ヶ月以内に米本土の安全保障と中国に対する軍事的牽制を中心とする新しい国防戦略(NDS)を発表する予定だ。在韓米軍の削減や任務の変化はもちろん、同盟として韓国軍の役割も拡大しなければならないと要求する可能性もある。このような状況で、韓米連合訓練の縮小論は、ややもすると、在韓米軍の減縮論に口実を与え、北朝鮮にも誤ったメッセージを与える可能性がある・・




・・金与正副部長は前日「ソウルがどんな提案を出してきも、私たちはそれに興味がなく、話し合うこともないだろう」と釘を打った。北朝鮮の「通米封南」戦略が、米朝の会談において私たちがかかわらない状況にならないよう、細心の管理が必要となったわけだ。南北間の信頼回復はもちろん重要だ。李在明政権が、平和定着のための努力を続けていこうとする理由も、そのためであろう。それでも、訓練のない軍隊、訓練のない連合戦力は、実戦でちゃんと稼働するという保障がない。韓米連合訓練でも米朝対話でも、韓米同盟の抑止力を揺さぶろうとする北朝鮮の戦略が通じないように、米韓の間の緊密な調整が先行されなければならないだろう(ソウル新聞)・・>>

 

引用部分にはありませんが、金与正氏は米朝関係関連の談話も出しており、そこには、核保有国としての地位を前提にして、米国大統領との個人的関係には大きな問題はないとしました。すなわち、非核化などには同意できないとしながらも、米朝会談には応じないこともない、という意味になります。今回、韓国政府が米韓合同軍事演習を調整(縮小?)しようとするのは、もちろん北朝鮮側の顔色をうかがうためのものでもありましょうけど、そうすることで、また「仲介者」になれると思っているのかもしれません。北はともかく、トランプ大統領がもうそれには応じないと思われますが。とにかく、先も書きましたけど、雰囲気というか流れというか、そんなものが、すっかり「文政権が帰ってきた」感じです。




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