マンション大国(?)韓国建設社に渦巻く「連帯保証」の影

まず、本題の前に、ユンたん(懐かしい)関連のことを少し、お伝えします。本当はこの件をお伝えしたくて待っていましたが、夜遅くにならないと結果はわからない、とのことでして、概要だけに致します。今日、尹錫悦前大統領の妻である金建希女史の逮捕状審査が行われます。大統領(というか、権力者)関連で実にいろいろあった韓国でも「初めて」となる、大統領夫妻がともに逮捕されることになるだろう、と報じられています。いままで、大統領夫人まで逮捕されることはありませんでした。株価操作の疑いなどなど、です。もちろん、問題があるなら相応の結果になるのは仕方ないでしょうけど・・やはりこういうのが、韓国でいう「正しい統合の姿」であろう、と改めて思う今日この頃であります。今日の更新は午前だけなので、もしこの件をエントリーするとしても明日になると思われます。

で、本題は、久しぶりに韓国建設業界関連です。最近はそれほどでもありませんが、一時、本ブログだけでなく韓国の経済メディアの間でも「経済最大の問題」とされてきた、不動産のプロジェクト・ファイナンス(PF)。自己資本はほとんど無しに、「ここにマンションを建てます!」というプロジェクトだけで融資を受ける形で、海外とはまた異なる、特有の制度になっているとも言われています。しかし、金を貸す側にも考えがないわけではありません。どうしても利子が高くなるし、相応の「保証」を要求することになります。だから、プロジェクト総括会社(一般的に施行社と言います)と、建設社(施工社)、その工事、たとえば再開発などにかかわる組合、などなどが、お互いに連帯保証を取る形で、プロジェクトを手伝います。




いままで何度もこのPFを取り上げましたが、この側面に関してはあまりニュースがありませんでしたが、ちょうどソウル、江南のど真ん中で、この保証関連で問題が発生、朝鮮日報(朝鮮BIZ)が記事にしました。この件で、いますぐなにか大きなことが起きるとかそんなわけではありませんが、「事例」としてかなりの典型例なので、紹介します。現代建設という大手が施工したマンションですが、リファイナンス(ローンの乗り換え)に問題が発生、施行社はなにも払えず、工事費ももらえないでいる建設会社などが債務を返済するはめになった、とのことでして。

現代建設はそれでも大手だから、まだいいかもしれません。地方、首都圏(ソウル、仁川、京畿)以外の地域の中小建設社の場合、このように施行社(プロジェクト主体)が「こんなときだからこそ、私たちの友情パワーを見せるときだよ(保証したよね?)」と言い出した場合、それを乗り越えることができるのでしょうか。李在明政権は住宅価格を下げるために、ローンの限度を下げるなどの政策を続けていますが・・これが、逆に自転車操業を止めることになるのではないか、という話もあります。以下、<<~>>で引用してみます。

 




<<・・ソウル江南大治洞のある再建築アパート(日本で言うマンション)が、プロジェクトファイナンシング(PF)ローンを返済できず、建設会社にも工事費を支給できなかったことが確認された。10月満期が来るPFローンを返済するお金がないからだ。建設会社は1700億ウォンを連帯保証し、工事費も受けられない状態で、入居が始まった。再建築組合はPFローン1700億ウォンと、組合員の追加分担金の資金などを合わせて2300億ウォンのリファイナンシング(再融資)を受け、商店街に分譲しようとした空間をフィットネス施設に変え、その会員権の分譲を通じてこれを返済する計画だ。マンション全体を丸ごと担保に出さなければならず、個人ローンはすべて詰まる見通しだ。リファイナンシングがきちんと成し遂げられなければ、組合員1世帯当たり返済しなければならないお金は11億ウォンに達すると整備業界は予想する。

12日、整備業界によると、ソウル江南区大知洞の「大治区村3地区住宅再建築整備事業組合」は、10月27日満期のPFローン返済などのために緊急公告を出して2300億ウォン規模のリファイナンスを推進している。ここは大知洞・・(※場所は省略します)・・1万4833.7㎡の大地に地下4階、地上16階、8棟282世帯を造成した所だ。施工社は現代建設で、団地名は・・・・11日から入居を始めた。組合関係者は「PFローン満期が来る前に商業用地を用途変更してフィットネスセンターに売却しようとしたが、これが遅れて金融費用が増え、PFローンを返済するお金がなく、リファイナンスを推進中」と話した。

組合は、運営のための事業費と工事費などのために農協中央会に1700億ウォンのPFローンを受けた。現代建設はこの融資に連帯保証を提供した。組合が融資を返済できないと、現代建設に返済義務があり、現代建設は「返済資金を設けなければ入居できない」という立場を組合員に伝えた。現代建設は工事費残金である740億ウォンも受け取れないでいる状態だ(朝鮮日報)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。