韓国各方面の専門家から「CPTPP加入を」という話が出ている・・溢れているということは、本ブログでも何度か取り上げたことがあります。一時盛り上がっていた「日韓経済共同体」「日韓FTA」主張はちょっと大人しくなりました(それでもまだ記事は出ていますが)。産業研究院など一部の研究機関から、「日韓FTAを締結した場合、輸出品目、たとえば石油化学製品などはすでに関税が低いので、全体的には対日本貿易赤字が増加する」という研究結果が出ていますが・・それでも「じゃ、CPTPPに加入すればいいじゃん」と考えているのか、最近、さらにCPTPP主張が増えました。
ちなみに、報告書とか読んでみると、産業研究院がいう日韓FTAというのが「CPTPPレベルを想定してのもの」で、韓国はすでに多くの国とFTA、いわゆる経済領土(?)というものを広げているので、CPTPP加入でそこまで大きく変わるのかというと、微妙な気もします。なんというか、中韓の経済圏に日本をまきこむこと、たとえば日中韓FTAとか、日韓FTAを中韓FTAに繋げるとか、本音はそんなところではないでしょうか。よく言われる日韓海底トンネルとか、文在寅政権のときに「超」盛り上がった南北鉄道・道路連結とか、そんなのもすべて同じです。
そんな中、韓国政府が、「CPTPP加入を肯定的に推進している」と話して、複数のメディアが大きく取り上げています。ソース記事は国民日報(12日)です。「李在明政権で初めて公式に加入を認めた」ということですが、尹錫悦政権のときにも「加入する」という路線は決まっていました。ただ、正式に加入申請をしたわけではありません。いまのまた、加入申請が行われたわけではないので、私には「現状から何も変わっていない」にしか見えませんが・・それでもここまで多くのメディアが記事にするとは、そんなに待ち遠しいのでしょうか。ひょっとすると、石破茂政権が終わる前に、公式に日本となにかの合意でもする(強力するよ、とか)気かもしれません。米国に行く前に日本にも寄るそうですし、その場で似たような話が出る可能性もあります。韓国では、「日本が韓国の~加入を望んでいない(G8とか、CPTPPとか、クアッドとか)」ということになっていますので。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・CPTPPは米国、中国のいない、日本中心の多国間通商秩序だ。関税撤廃を超え、デジタル、知識財産、環境、労働など貿易全般で透明性基準や開放程度(90%台以上)を高く設定したのが特徴だ。日本・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・メキシコ・チリ・ペルー・マレーシア・ベトナム・シンガポール・ブルネイ・イギリスなど12カ国が参加している。CPTPPはもともと米国が参加するTPP(環太平洋経済同伴者協定)として考案されたが、ドナルド・トランプ1期当時、米国が不参加でCPTPPに再編された。韓国は文在寅、尹錫悦政権で参加意思を明らかにしたが、実現できなかった。 CPTPPを主導する日本との関係が梗塞され、農・漁民の反発が強く、積極的な推進が難しかった。
CPTPPが再び注目されるのは、トランプ2期政権が米国中心の両者間の通商協定を多発的に推進し、世界的な保護貿易主義で通商秩序を再編しているためだ。韓国のように対米輸出比重が高い国では、米国発の保護主義の拡散とサプライチェーンの再編など危機に対処するために、輸出市場を多様化する戦略が必要だとの指摘が強い。CPTPPに加入すれば、加入国間の輸出と輸入を通じて米国発の通商の揺れを軽減できる評価だ。
李在明政権に入って韓日関係は善循環に入っている。李在明大統領は6月の主要7カ国(G7)首脳会議で、石破茂首相と初首脳会談開いた席で「国際通商環境や国際関係の困難が加重されている」とし「近い、補完的関係にある韓日が、多い部分で協力すればお互いに大いに役立つだろう」と話した。石破首相は「国際情勢は本当に大変厳重になっている。ウクライナでも、中東でも、アジアでもそうだ。このような地域で起こる事に(韓国と)共通の要素があると認識している」と答えた。両首脳はシャトル外交復元も約束した。李大統領は今月中に訪日して韓日首脳会談を進行するとみられ、CPTPP加入の前向きな結果が導出されるかどうかが注目されている。韓国加入の可否が包括的に言及されれば、サプライチェーンの安定化はもちろん、梗塞危機である輸出の活路に対する期待も上昇すると評価される(国民日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。