1つ前の「通(痛)算」問題もそうですし、CPTPPもそうですが、日本関連で「協力」「共同」「運命」と、単語だけで見ると何かのファンタジーRPGみたいな話が続いています。今度はファイナンシャルニュース(13日)の記事ですが、日本が「経済運動場」を広げている、韓国も合流するのか(記事の趣旨的に「参加すべきか、独自で行くのか」という選択)、そんな内容です。WTOが力を失い、新しい時代になったというのは珍しい話でもありませんが、日本がその「ポストWTO」になるために、アジア太平洋での経済圏を強化、拡大しつつあるという話です。
CPTPPなどで、韓国も参加するのか、でもそれは日本主導に便乗することにならないか、と。CPTPPに参加すると、日本が設計した「新しい規範と標準の設計に韓国も合わせなければならなくなる」としています。参加するのか、それとも独自路線で行くのか、と。まず気になるのが、運動場という表現です。なにか経済関連で、たとえばFTAとかの話になると「経済領土」という言葉を使いますが、なんで主語が日本だと「経済運動場」になるのでしょうか(笑)。活動範囲(場所)という意味では、領土よりプレイグラウンドのほうが合ってる気もしますが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・世界貿易機構(WTO)体制が弱まる中、アジアでは日本が「ポストWTO」時代の新たな貿易秩序再編を主導している。米国と欧州、中国の間の通商葛藤が長期化し、既存の多国間貿易規範が力を失うと、日本は包括的・漸進的環太平洋経済同伴者協定(CPTPP)、インド太平洋経済フレームワーク(IPEF)、域内包括的経済同伴者協定(RCEP)・・(※各協定の漢字表記はすべて韓国側の表記の直訳です)・・など地域のアジア太平洋地域の新しい規範と標準の設計、実行に速度を出している。日本の戦略は、単純な市場開放ではなく、技術・標準・認証まで包括する「日本中心」のルールを拡大させることにある。韓国はこのような流れの中でCPTPP加入など日本主導の規範体系に便乗するのか、それとも私たちだけのの貿易・産業戦略を推進するのか、その選択の気路に立っている。
日本は2018年、米国が脱退したCPTPPを11カ国協定で発効させるのに主導的な役割を果たした。 CPTPPは商品・サービス貿易自由化だけでなく、電子商取引、投資、知識財産権、国家補助金など非関税障壁まで規律する「包括型協定」だ。現在、CPTPP加入国はイギリスを含む12カ国だ。中国と台湾、インドネシアなども加入を打診中だ。日本はこれを21世紀型の貿易規範の基準点とし、今後のグローバル標準競争で優位を占めようとしている。
IPEFでは、米国、オーストラリア、インドなどとともに経済安全保障・サプライチェーンの回復力強化を名分に、半導体、バッテリー、核心鉱物など戦略品目のサプライチェーン規範を設計した。日本経済産業省は、技術標準、認証手続き、データ移動規則などをパッケージ化し、日本式モデルを参加国に拡散させる戦略を駆使している。半導体製造装置の技術仕様、バッテリー素材の品質認証、希土類精製・リサイクル工程の環境基準などに日本産業規格(JIS)を反映して、域内規範の事実上の設計者となるわけだ。
またRCEPでは、中国・ASEANを含む15カ国と共に世界最大の自由貿易圏を発足させた。日本は特に原産地規定と通関手続きの簡素化で自国産業のサプライチェーン連携を有利にする基準を貫いている。CPTPPが高度な規範・市場開放を、RCEPが広範な地理的範囲を、IPEFが戦略産業サプライチェーンルールを担当し、日本は3つの枠組みを互いに補完する多層構造を完成させているのだ。
日本の貿易戦略の核心は単なる市場開放ではなく、戦略品目の規範化だ。半導体、バッテリー、希土類といった核心鉱物などを活用した先端技術を経済安全保障カテゴリーに含め、技術仕様・標準・認証手続きを一つのセットにまとめる。これにより技術サプライチェーン全体を日本規格を中心に再編し、これを採用する国家が増えるほど日本の国際標準競争力が強化される仕組みだ。この標準化戦略は日本の産業基盤に直結している。日本は半導体素材・設備、バッテリー前駆体、希土類磁石などで世界的な競争力を保有しており、自国規格が採択されると自然に自国企業の輸出競争力も高まる。例えば日本式バッテリー安全性テスト規格が域内標準に確定すれば、その認証を満たさない韓国・中国企業にとっては進入のためのハードルが高くなるしかない。
韓国はまだCPTPPに加入していない。農業・水産業開放による国内反発、日本との通商摩擦の可能性などが問題だ。しかし、CPTPPが今後アジア太平洋貿易の基本規範になる可能性が大きいという点で、韓国企業が日本主導の基準に適応しなければならない状況になる可能性がある。特に半導体や二次電池など主力産業で日本の規格が拡散すると、韓国企業の後続投資・研究開発(R&D)も影響を受けることになる(ファイナンシャルニュース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。