更新がまた遅くなってしまいました。申し訳ございません。で、本題は、タイトル通りの内容です。李明博政権で、まさに世界をひっくり返すほどの偉業と(いうふうに)報じられていた、UAE原発事業。工事遅延などで、追加で費用がどんどんかかって、一時は数百億円になっていた累積収益もどんどん減って、赤字になりました。電力公社側は「たとえ赤字でも評価されるべき」「追加費用がUAEからもらう」としていますが、ソース記事の聯合ニュース(19日)は「受注も重要だけど、収益性にもっと気をつけるべきではないのか」と当たり前のことを主張しています。「これからもらう(もらえるかはわからない)」ので、まだ赤字は確定ではない、とも。ちなみに、4基すべての最終竣工はまだで、記念式などを準備中だそうです。
今回チェコ原発もそうですが、このUAEも、受注直後は専門家などから「収益予測がおかしい」という話がありました。でも、よく使われる表現として「大当たり(デバック)」とされ、「政権の業績」としての側面だけが残りました。そういうことだから、個人的に、「あ、これ、データとしては何があっても黒字(笑)ということになりつづけるだろうな」とも思っていました。そう考えると、赤字というデータが出ーただけでも、まだ良いほうかもしれません。ちなみに、受注金額は22兆ウォンを超えていましたが、それでも赤字になったというから、本当に単純に工事遅延などが理由なのかどうか、それは気になりますが、関連記事などを読んでみると、それ以外はちゃんと指摘していないようです。そもそも公式発表ではなく、業界関係者たちへの取材によるもののようです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国の初の海外原発輸出の成功事例として記録されたアラブ首長国連邦(UAE)バラカ原発事業が、赤字に転換された。当初の計画より工事期間が遅れて費用が増加し、これにより収益性が下がった結果だ。韓国が今年チェコに2番目に原発を輸出することなって、政策的に原発輸出を継続して推進中のうち、受注だけでなく収益性の管理の重要性も大きくなったという評価が出ている。19日、連合ニュースが韓国電力公社の今年上半期の財務諸表を分析した結果、バラカ原発事業が大部分を占める「UAE原発事業など」項目の累積損益は349億ウォンの赤字を記録した。累積収益率もマイナス0.2%に下がった。UAE原発事業の累積損益が赤字を記録したのは今回が初めてだ。
この事業の累積損益は2023年末に4350億ウォンから、昨年末722億ウォンに急減した後、今年上半期に赤字になった。累積収益率も2023年末の2.0%から2024年末には0.3%に下がった後、結局マイナスになった。計4基で構成されたバラカ原発は、李明博大統領在任時期の2009年、初めて海外で受注した原発だ。受注金額は約22兆6千億ウォンだった。021年1号機を皮切りに昨年4号機まで順次商業運転に入り、現在発注先と主契約者の韓電が総合竣工を宣言するための最終精算作業を進行中だ。業界によると、収益性がここまで下がった主な原因としては、工事期間の延長が挙げられている。当初、2020年に完工を目指したが、実際には2024年には最後の4号機が完成した。
この過程で追加で入った費用をめぐって、親企業と子会社の「韓電」と「韓国水力原子力」が、異例の裁判沙汰まで繰り広げている。試運転に該当する運営支援サービス(OSS)を引き受けた韓水原は、発注会社であるUAEと韓電の帰責による工事期間遅延と追加作業指示などで、10億ドル、約1兆4千億ウォンの追加費用が発生したとし、これを精算してほしいと要求する「クレーム」を韓電に提起した。去る5月にはロンドン国際仲裁裁判所(LCIA)に、韓電を相手に10億ドルの追加工事代金を精算してほしいという仲裁申請まで出した。
韓電側は、「チーム・コリア」レベルでで、UAEから追加で入った工事費を受け取ることが優先だという立場を固守し、両側の見解は対立している(※子会社は親会社に、親会社はUAEに追加の代金を要求している)・・・・韓水原が主張する通り、追加工事費を発注先から受け取ることができなかった場合は、韓電がほとんど浮かぶことになれば、バラカ原発の累積損失規模はさらに大きくなる可能性がある・・
・・韓電は聯合ニュースの関連質疑に、「UAE原発建設事業は商業運転以後、発注先と事業終結のための精算業務が進行中で、最終決済結果はすべての作業を完了し、契約的な異見が解消されないと、質疑への確実な返事はできない」と答えた。また「韓電は発注先に契約変更を要請し、費用を補償するための努力を続けている」と付け加えた。韓電は「赤字事業になっても、韓国原発輸出の基盤を磨いた事業であるという点、国内原発業界全てに大量の仕事を供給した点などを総合的に評価されなければならない」という立場だ(聯合ニュース)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(20日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。