機能はUAEバラカ原子力発電所関連でしたが、今日はチェコ原発受注関連です。本ブログでも何度かお伝えしたことがありますが、チェコ原発受注の際、韓国側、すなわち韓国電力とその子会社である韓国水力原子力と、米国のウェスティングハウスとの間に、技術の権利に関する問題がありました。UAEのときには素直にWH側に相応の代価を支払ったので問題になりませんでしたが、今回は「もう自力でできるようになった」とし、代価を支払いませんでした。でも、WH側は、明らかに技術の権利に関する問題だとしながら、問題を提起していました。
結局、チェコ原発受注は成功しましたが、このWH社との問題がどうなったのかははっきりしませんでしたが・・昨日、ソウル経済など複数のメディアが、その内容を報じるようになりました。前任政権の話(メディアによって、「去年」とも、「今年1月」とも報じられています)でもあるためか、かなり大きく報じられています。その合意内容というのが、「欧米、EU(チェコは例外)、ウクライナ、日本、イギリスなどでは原発受注に参加しない」「原発1基あたり約1兆ウォンずつをWH社に支給する」などで、50年間有効、などなどです。昨日もお伝えしましたがUAEバラカ原発も累積収益が赤字になったこともあり、すべてを調査すべきだという主張が強くなっています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・尹錫悦政権がチェコ原子力発電所を受注するために、米国ウェスティングハウス(WEC)と秘密の合意を結び、輸出原発1基当たり5000億ウォン以上の「保証信用状」をWEC側に発行することにしたことが確認された。当時の政権は、また、WEC側と全世界の原発市場を分割し、北米・ヨーロッパ・日本などに対する進出権限も事実上放棄した。大統領室は、韓国電力・韓国水力原子力とWECの協定締結過程に問題がなかったか真相調査するよう、関係省庁に命令した。19日、ソウル経済新聞が取材した「韓水原・韓電・WEC間妥協協定書」によると、韓水原と韓電は海外に韓国型原発を輸出するたびにWECに1基当たり4億ドル(約5600億ウォン)規模の保証信用状を発行することに合意した。保証信用状は、契約内容が履行されなかった場合、銀行が支給を保障するものだと見ることができる。
両側は、協定書から韓国型原発1基を輸出する度にWECに6億5000万ドル(約9000億ウォン)の物品・サービスを義務提供することを約束した(※MBCの報道によると、他にも技術使用料などがあって、合わせると軽く1兆ウォンは超えるそうです。これは韓国の原発1基建設費用の約10%、とも)。この信用状は、義務提供の約束が履行されない場合に備えて、WECが私たち側に要求した「安全装置」である。韓国側が約束したお金を適時に支給しない場合、いつでも銀行からお金を引き出すことができるようにしたわけだ。海外企業間の取引を何度も進めた経験を持つ国内大企業のある役員は、「韓水原というと、国家に準拠する水準の信用等級と地位を持っているはずなのに、海外民間企業が常識外の要求をしたものと見られる」と話した。
原発市場を分割したのも、問題になっている。今回の合意により、韓電・韓水原は、チェコを除く欧州、米国やカナダなど北米、日本などで(の原発受注を)、WECに先順位に譲らなければならない。いずれも中国・ロシアなどの影響力から自由に、安定的に原発を受注できる地域だ・・・・国内原発業界は、韓国側とウェスティングハウス(WEC)が結んだ合意の最大の問題がこの市場分割だと見ている。国内原発企業が数十年間の努力の末に、やっとグローバル競争力を備えた原発技術とノウハウを確保したのに、今回の協定により、米国・欧州・日本など先進市場では原発受注に参加する機会が、事実上、なくなったためだ。実際、韓国水力原子力は、両側が合意を成した昨年末以降、スウェーデン、スロベニア、オランダなど既存の原発発注国から突然撤収した。
19日、ソウル経済新聞が取材した「韓水原・韓国電力公社・WEC間妥協協定書」には、「韓電・韓水原は推進国以外の顧客を対象に新規原発受注活動をしてはならない」と明示されている。ここでいう「推進国家」とは、チェコ・中東・中央アジア・東南アジア・アフリカ・南米地域だ。一方、WECはチェコを除くヨーロッパ全域と、イギリス、日本、ウクライナ、米国・カナダ・メキシコなど北米市場を占めた。事実上、原発輸出が不可能な中国とロシア・インドなどは合意に入っていない。実際、韓水原社長はこの日の国会で「(ポーランド原発事業で)いったん撤収した状態」と明らかにした。スウェーデン、スロベニア、オランダに続いて有望な追加輸出地域とみなされたポーランドでも事業を折りたたむと公式化したのは、このWECとの合意のためだという解釈が出ている。
地図だけで見ると、韓国が占める市場の面積がより広い用に見える。しかし、各国の原発建設計画を考えると、事情は変わる。世界原子力協会(WNA)によると、今年6月基準で、全世界で入札がまとまった、または入札を準備中の原発は計414基だ。このうち韓国が進出可能な市場で計画された原発は38基(9.2%)に過ぎない。WECが進出可能な地域で建設される予定の原子炉は103基(24.9%)であることを考慮すると、WECの市場が2.7倍も大きい・・・・ほかに、協定文には、市場分割に関連してWECが許可しない限り、米国エネルギー省と直接会ったり疎通してはならないという内容まで含まれた(ソウル経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。