韓国メディア「なんで公式文書が出てこないのか・・日本・EUのようなファクト・シートも無し」

米韓首脳会談のことで、「よくやった」という評価が溢れています。昨日紹介したように「会談(非公開部分まで含めての後、かなり異例の雰囲気だった」と指摘するメディアもありますが、そういうのは少数です。在韓米軍に関しても、「議題になかった」「かなり進展した」など、各メディアの報道がズレていたりします。そんな中、朝鮮日報が、「なんで公式文書がないのか」という記事を載せました。日本でも関税交渉が妥結したとき、「文書化」のことが話題になりましたが、そういうものじゃなく、いわゆるファクト・シート(どういうことがあったかを書いておいたもので、この場合は公式文書になります)なども存在しない、とのことでして。

よく北朝鮮関連で「完全な非核化」というフレーズを用いますが、実は(トランプ政権になってから)米韓首脳名義で出来ている外交文書が1つも存在しない、とのことでして。このことは、他のメディアも気にしていたようで、会談の前には、複数のメディアが「米韓首脳が合同で合意文書を出す」と報じていました。首脳会談が終了した時刻には、速報として「もうすぐ合意文を発表するだろう」という短い記事がいくつもヒットします。しかし、そういうのはありませんでした。文化日報(26日)なとによると、この件について、大統領室は「合意文書が必要ないほど、良い会談だったということだ」と説明しています。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・米韓両国は、今回の会談でこれまでの慣例と異なり、共同声明や共同宣言文を発表しなかった。先月30日、韓米が締結した貿易合意も、欧州連合(EU)、日本などと違って、「ファクトシート(Fact Sheet)」のような公式文書が存在しない。外交・安保、通常分野で拘束力ある準拠がなく、トランプの一言、またはソーシャルメディアのポストによって、いつでも不確実さが再び大きくなる可能性があるという話だ。トランプがいままでの米大統領とは異なり、状況や周辺環境によって言葉が変わる場合が相対的に多いこともある・・・・トランプは再集権以後、主要国リーダーと両者会談を持った後、「共同声明(Joint Statement)」を発表した。今年2月、石破茂日本首相と会談を行った後に発表した声明を見ると、日米同盟を「インド・太平洋地域の平和、安保、繁栄のための柱石(cornerstone)」として表現し、軍事、宇宙、経済、貿易など多様な分野での協力案を明示した。

北朝鮮の核・ミサイル問題においても、懸念を示して、「北朝鮮の完全な非核化を追求する」とされているが、韓国は朝鮮半島問題の当事国であるにもかかわらず、この問題を明示した韓米首脳名義の外交文書はない状況だ。トランプが25日、李大統領のアジア・太平洋経済協力体(APEC)首脳会議の招待に口頭で応じたが、日米の声明には「トランプが石破総理の公式招待を受け入れた」とされている。それから、トランプは1週間後、ナレンドラ・モディーインド首相との会談でも共同声明を発表し、「米国・インドの21世紀のための軍事協力機会促進、加速化された商業及び技術協力(COMPACT)」という名の下、合計33項目にわたって協力事項を細かく明記した。韓米首脳が初の量子会談をした後、共同声明や宣言文を別に発表しなかったのは異例のことに挙げられる・・




・・米韓首脳の間に拘束力のある文書が存在しないため、3500億ドル対米投資、米や牛肉を含む農産物市場開放の有無などをめぐって、不確実さは続く見通しだ。韓国政府は半導体・医薬品などと関連して「品目別関税は最恵国待遇(MFN)を約束された」と主張しているが、米国側がこれを公信力ある文書として明示したことはない。また、3500億ドルの投資ファンドの性格と構成などの後続措置をめぐっても、韓米間で認識が異なり、今回の会談を控えても、ここに対する異見の差が問題になったと言われている。

在韓米軍の役割と責任再調整、韓国の防衛費分担拡大などを含む「同盟現代化」のテーマも、国防部の新しい国防戦略文書(NDS)発表を前後して、再点火されるとみられる。米国国防部は在韓米軍を含む海外駐留米軍態勢の調整を考えているが、これは中国牽制のためのものだ。トランプ政府が要求する在韓米軍の「戦略的柔軟さ」問題は、今回の会談でほとんど議論にならず、実務交渉でかなりの駆け引きが予想される(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・大統領室がイ・ジェミョン大統領とドナルド・トランプ米大統領との首脳会談の共同合意文が出ていない理由について、「あえて必要ないほど」会談がよかったためだと説明した・・・・実質的な成果と評価される「共同合意文」まではできなかったことと関連して、大統領室スポークスマンは、「共同合意文を話し合う必要がなくなるほど、ただ気持ちよく仕上げられた会談だった」とし「合意文があえて必要なくなるほどお互いに話し合った会談である」と伝えた。農産物追加開放の有無や在韓米軍減縮問題など争点事案に対する言及もなかったと伝えられた。スポークスマンは「『米国と韓国の関係って、あまりに良い関係ではないか』という程度の話が出てきたが、そんな(在韓米軍縮小問題)の話は出なかった」と話した(文化日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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