韓国、「青年の働き口」問題・・大卒者の就業率64.6%、大卒者405万人が経済活動せず

韓国社会を語るにおいて、「大学」は人の身分そのものだと言ってもいいでしょう。大勢の人たちが、大学に入れた人だけがあまりにも優待されると、嘆いてきました。盧武鉉政権がこの問題を解決するために「大学を増やして進学しやすくすればいいじゃないか」と、大学を大幅に増やし、韓国の大学進学率は大幅に上がりました。しかし、それまで嘆いていた人たちが、いざ大学に入れるようになると急に手のひらを返し、様々な理由で大学に進学しなかった人たちを「あらまぁ大学にも入れないなんてあらまぁあらまぁ」と見下してしまう、新しい社会問題が起きてしまいました。いまでも韓国で大学は、いわゆる「スペック」の最高位の存在として、君臨しています。ですが、そんな話になる度に、「要はそこを出てなにをするかが重要ではないのか」という話になります。

そして、その指摘が「的確」だったことが、大卒者のデータからも確認できます。前から何度もニュースになっていた、「大学まで出て経済活動をしない」人たち。最新データがあったので、取り上げてみます。いろいろと理由はあるのでしょうが、「自分に合う職場がない」という理由で経済活動をしなくなった人が多いとされています。ニュース1(9月1日)、デジタルタイムズ(8月31日)、ソウル新聞(7月23日)によると、大卒者の就職率は64.6%、非経済活動人口の405万人が、大卒者(専門大学含め)です。求人倍率0.4とか、20代の賃金勤労の働き口は大幅に減少しつつあるとか、そんなニュースがあふれる今日この頃、「対米投資だけが重要ではない」などの話もあります。以下、<<~>>で引用してみます。いつものことですが、すべての引用の最後の部分、「それができるならなんの問題もない」としか思えません。




<<・・働かず、求職活動もしない大学(専門大学を含む)卒業以上学歴の非経済活動人口が、今年上半期405万8000人と把握された。昨年同じ期間より7万2000人が増えた数値で、統計庁が関連統計を集計してから最大値だ。青年層で生産可能人口がそれだけ減ったということで、本人はもちろん社会的にも大きなマイナスでしかない。大卒就職難は、労働市場が必要とする人材の量と質が、求職者の「目の高さ」に合わなくて生じる。企業は人工知能(AI)技術の活用など効率性を中心に人材運用を行う。景気不振で採用規模を減らしている上に、採用するとしても、現業に投入できるキャリア職を中心に、必要に応じて採用する方式を好む。今年初めの「インクルート」資料によると、採用計画を定めた大企業の割合は昨年72%から今年67%に下がった。

高価な授業料を出してやっと大学を出たものの、就職できる機会はさらに狭くなったのだ・・・・「スペック」より「スキル」優遇など多様な職業に対する社会的認識改善も必要だ。5月基準で20~35歳就業者の「平均・初就職所要期間」(※学校を卒業してから就職できるまでにかかる平均期間)は14ヶ月で、1年前より1.7ヶ月も増えた。それだけ青年就職が難しいという意味だ。大卒就職難は、当事者はもちろん社会の不安要因で、放置すれば経済活力向上は期待できないだろう(ソウル新聞)・・>>




 

<<・・20代の雇用が、17万個余り減少し、60代の雇用は20万個近く増加したことが分かった。製造・建設業など伝統主力産業で青年層の雇用が減り、雇用市場内の「高齢化」現象が深化しているという分析が出ている。1日、統計庁国家統計ポータル(KOSIS)によると、1~3月期の20代賃金労働雇用は291万9000個で、前年同期比16万8000個減少し、四半期基準で10連続減少となる(ニュース1)・・>>

 

<<・・青年雇用の現実は冷酷だ。「大学お知らせ」によると、2024年に大学卒業者32万人のうち約17万人だけが就業に成功した。就職率は64.6%。これは前年度に比べて1.9%ポイント下落した数値だ。大卒者20人のうち7人は、卒業後にも仕事を見つけることができなかった。非経済活動の人口のうち、大卒者が405万人に達するのが事実だ。これは、単純に「就職難」と言える統計上の問題を超えている。社会進入に失敗した青年たちは、結婚と出産を遅らせるなど、社会構造的不安全性を育てる・・・・特に未来世代の青年たちの雇用は重要だ。短期アルバイトや公共勤労のような臨時方便ではなく、青年たちが長期的に安定した生活を設計できる仕事の場を作るのは国家の責務だ。

国内企業の海外投資はさらに増える見通しだ。企業の売上総額は増えるけど、国内雇用が減る状況は、すでに現実になっている。さらに、中国の低価格競争に押され、企業もピンチに直面して、リストラも頻繁に発生するだろう。だから今必要なのは実効性ある雇用政策の樹立だ。青年たちの労働市場への参入を助け、外国企業を捕まえ、国内産業に活力を吹き込む信頼回復戦略が緊急だ。現在の国内産業と雇用をどのように守るかについて真剣に考える必要がある(デジタルタイムズ)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
プレジデントオンラインに、記事が載りました。よろしければお読みください。新刊の内容の一部です。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。