韓国政府、対米投資額を用意するため米国に通貨スワップ要請・・現状、米国は応じず

韓国が米国に投資するとし、貿易関連合意に至るおおきなきっかけになった、「対米投資3500億ドル」。本ブログだけでなく韓国メディアからは毎日のように記事が出ていますが、今朝、ついに(その3500億ドルを用意するための)米韓通貨スワップを要請した、という報道がありました。YTNMBN、KBSなどです。米国側は応じないでいて、消極的である、とも。いままで、米国側は日本と同じ形の一般的な意味での投資(官民による直接投資メイン)を要求していますが、韓国政府は、95%はローンと保証などで、直接投資と呼べるのは約5%だと主張してきました。通貨スワップを要請したということは、さすがに既存の主張(5%だけ)では通りそうにない、ということでしょうか。各メディアは「そんな大金、用意できるはずがない」というふうに報じるところも多いですが・・じゃ、最初からなんでその金額を持ち出したのか、よくわかりません。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・大統領室は「国益が貫徹されるように韓米関税交渉を進行中」と明らかにしましたが、取材の結果、韓国政府は対米投資過程で発生する可能性のある為替市場の不安を最小限に抑えるために、米国にウォンとドルを交換できる通貨スワップを提案したものの、米国が反対の意思を示したことがわかりました・・・・対米投資ファンドの資金運用と執行、投資分野と収益分配など、各問題ごとに米韓の間の見解の差が大きいですが、その中でも韓国政府が最もなやんでいるのは3,500億ドルを外国為替市場からどのように調達して運営するのか、です。3,500億ドルは、先月基準で4,163億ドルの外国為替保有額の80%を超える額です・・




・・韓国は、基軸通貨国である日本とは異なり(※韓国ではハードカレンシー国も基軸通貨国と言います)、米国と無制限の通貨スワップが締結されていません。1年に外国為替市場で調達できるドル規模も、最大で300億ドルに過ぎません・・・・(※インタビュー)【金容範 大統領室政策室長(9日)「韓国が1年に調達できる、輸出入銀行や産業銀行側で調達できる金額は、200~300億ドルを超えるのは難しく・・」】。韓国はウォン債を発行して資金を調達した後、ドルに両替して米国に投資しなければなりませんが、この過程でウォン価値の急落が起こり得るというのが、政府が懸念している点です。

韓国政府が米国に通貨スワップ協定を要請したのは、外貨枯渇の安全装置を設けてほしいという要求だと思われますで解決されます。両国がそれぞれの通貨を定められた為替レートで交換する通貨スワップを米国と締結できれば、米国連邦準備制度が韓国のウォンを引き受け、為替レートに合ったドルを韓国側が受けて、不足した外貨保有高を埋めて資金難をなくすことができます。通貨スワップが必ず必要だというのが韓国政府の立場ですが、米国は万が一にも発生する可能性のある為替レートの変動性と信用リスクなどを負担と考えて、通貨スワップには否定的な立場です(MBN)・・>>




<<・・(※YTNに載っている専門家の見解の部分です。3500億ドルを投資するとなると、こうなる可能性があるという話として)まず、外国為替調達の側面から問題が生じる可能性が大きいです。しばらく前に政策室長も話しましたが、韓国が年間為替レートに影響を与えずに調達できるドルが200~300億ドル程度になるといいます。だから1取引日に1億ドル程度になるようです。そんな側面から、(※3500億ドル投資となると)もしそれより多くのドルを調達しなければならなくなります。今、対米投資が3500億ドル、それをトランプ任期内に入れるとすると、1年にほぼ1000億ドル以上が動かなければならないのに、金容範政策室長が話した200~300億ドルという金額とは、あまりにも大きな差があります。

この話は、どういう意味なのか。このように無理に資金を調達してみると、他のところで問題が生じるでしょう。金融市場で考えてみると韓国が今後、これほど多くのドルが必要になるわけですが、、それを国際投資家たちがほうっておくわけがないでしょう。明らかに、それらの投資について、何かが突っ込んでくるでしょうし、そうなれば、我が国の為替レートが短期的に過渡の通貨安になる可能性があるため、そんな面では、無理があるのではないか、と見ているわけです(YTN)・・>>

 

先も書きましたが、安全装置とか、無理があるとか、そんなことを言う前に、ある程度は合意する前に考えるものじゃないでしょうか。当時、期限が近かった(確か、前日でしたっけ)こともあるけど、日米が妥結できたことで、「日本と力を合わせて米国を動かそう」といういつもの意見が一気に消えたのも、影響したかもしれません。ある程度の見解の相違ならわかるし、どこの国にも(日本にもEUにも)ありますが、ここまで話が合わない合意は初めてみた気がします。内容を非公開にするとかそんなものは見たことありますけど。そもそも、どうやって合意までできたのかが不思議です。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
プレジデントオンラインに、記事が載りました。よろしければお読みください。新刊の内容の一部です。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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