韓国政府、米国側に「負担の大きい投資には、国会の同意が必要だ。それでもいいのか」と交渉

昨日の3500億ドルの件、昨日、今日も多くの記事が出ています。個人的に気になるのは、医薬品・半導体関税です。トランプ大統領はこれらについて「収益性が良いので、自動車より高い関税にできる」という趣旨を話しています。日本とEU、そして韓国には(これも公式文書があるのかとうかは分かりませんが)「相応の恵沢を約束している」ということになっていますが・・もし今回の3500億ドル関連の話し合いがうまく進まないと、韓国の半導体関税で米国側の態度に変化があるのではないか、そんなところです。自動車だけでなく半導体(無関税でした)にも関税がかかるなら、その影響は実に大きいでしょう。ただ、いまのところ具体的な動きがあるわけではありません。

いまのところ、「3500億ドル投資問題で、半導体・医薬品関税でなにか問題が生じるのではないか」という側面を書いた記事は、不思議なほど見当たりません。私が読んでないだけかもしれませんが、いままでのトランプ大統領のパターン(決して褒めているわけではありませんが)を振り返ると、十分ありえると思われますが。ファイナンシャルニュース(16日)は「次は半導体、スピードを出す日本、急がないという政府」という記事で、日本はこの件が共同声明にはあるけど大統領令にないので、日本は総力戦モードだとしています(でも、本文には韓国政府の態度に関する批判はなく、それっぽいのは題だけです)。




他にもいろいろ記事が出ていますが、半導体以外で気になったのは、韓国の金民錫 国務総理が「多額の投資が国民負担になると判断された場合、国会批准が必要になる」と話しました。対政府質疑(国会議員たちが各省庁に対して行う監査)でのことです。そして、これを「米国との交渉において、カードとして使っている」とも。韓国日報(16日)です。すなわち、米国側に対して、「負担のある投資だと、国会批准が必要になる。それでもいいのか」というふうに話している、ということですが・・野党側は反対するでしょうし、結局は与党のやり次第で結果が決まります。言い換えれば、「国会で止められるとどうしようもないですけど、いいですか?」というふうに話している、ということになります。何度も書いていますが、そもそもどうやって合意できたのか、よくわかりません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・金民錫国務総理が16日、対米投資問題と関連し、「最終交渉が進み、結論が出る時点で、国会の同意が必要になる可能性がある」と明らかにした。米韓の間の3,500億ドル規模の対米投資交渉が難航している中で、政府が「国会同意」の手続きを交渉のためのカードとして活用しているという意味だと思われる。国務総理はこの日、国会の対政府の質問で、3,500億ドルの対米投資に国会批准同意が必要だと思うかという議員の質問に「一律的に申し上げるのは難しい」としながらも「財政的負担を減らせる部分について、国会の同意を受けることができる、そんな内容が憲法にあるので、相応の手続きを踏むべきだと、そう思っている」と話した。




趙顕 外交部長官も、同じ内容の質問に「国民に負担をかける内容があれば、当然、国会に来てそれを説明し、同意を求めなければならないというのが政府の立場だ」と説明した。また「この点を、米国にも明らかに話している」と長官は強調した。これは、米国側の無理な要求を受け入れた場合、今後の国会同意が難しい可能性があるというふうに、米国側を説得中だという話だ・・・・(※なんで米韓首脳会談のときに文書化しなかったのかという指摘に対しては)長官は「(米韓首脳会談の結果を)文書化したら、韓国経済にかなり大きな問題になる可能性がある、そんな内容が入っていた」と説明した。続いて「国益を守るためには、当時に合意するよりも、さらに交渉を続けていく方が良いと考え、今もそんな状況だ」と長官は付け加えた(韓国日報)・・>>

8月27日にもブログに書きましたが、当時大統領室は「文書化が必要ないほど、良い会談だったからだ」と説明していましたが・・今度は外交部(外務省)から「大きな問題になるような内容が含まれていた」と話しています。いつものこと、会談の内容より、こういうところが問題ではないでしょうか。ちなみに、外交部長官は、「無制限通貨スワップを要請したのか」という質問には、「そんな内容があった」と、認めました。それでは、ちょっと短いので、半導体関連記事を引用します。主に日本の話です。題は韓国政府のスタンスを批判するようなものでしたが、本文には「『急がない』と話した」という内容だけです。

 

<<・・日経新聞によると・・・・「米日政府が今月4日に発表した共同声明で、半導体と医薬品に最恵国待遇を適用すると明記したが、米国大統領令に記載されていないため予断できない」とのことだ。米商務省は4月、半導体と医薬品に分野別関税導入のための調査を始めた。安保の懸念などを調査した後、270日以内に大統領に報告しなければならないが、内容はまだ明らかにされていない。日本財務省の貿易統計によると、昨年の日本半導体製造装置の対米輸出額は5116億円、医薬品は4071億円だった。米国と欧州連合(EU)は先月発表した貿易協議に関する共同声明で、半導体と医薬品に対する関税率の上限を15%とすると明記した。この内容が発効される場合、日本もEUと同じ15%の税率となる(ファイナンシャルニュース)・・>>

 




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おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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