韓国大手メディア「政府は、無制限通貨スワップを要求し、『米国側に責任がある』という名分を作ろうとしている」

例の「3500億ドル」、エンディングの気配が見えません。多くの記事が「長期化は確実」「強硬な意見が増えている」などと報じており、与党国会議員が「(3500億ドルを直接投資するのではなく)むしろ米国の製造業のために働いしているわけだから、ロイヤルティーをもらうべきだ」と主張したりもしました。李在明大統領も「タイムズ」紙とのインタビューで、「米国側の要求をそのまま受け入れたら、私が弾劾されただろう(まだ受け入れていないという趣旨で)」と話すなど、雰囲気になにか反転が見えません。昨日取り上げましたが、産業通商部長官など少数の人たちだけが、「私見」として、そういう問題ではないと、日本も国益のために合意したわけだとか、そんな話をしています。ぜんぜん響いていないようですが。

そんな中、韓国政府が米国側に無制限通貨スワップを要求したことで、「実は韓国政府も、米国側が受け入れないだろうと分かっていながら、『米国側に責任がある(相応のシステムを用意してくれなかった)』とするために、わざと無制限通貨スワップを仕掛けたのではないか」という分析が出ています。朝鮮日報(朝鮮BIZ、17日)です。それで交渉の主導権を握るため、または、いざとなれば交渉を原点に戻すためである、と。いわゆるトランプ関税のことで、私は関税そのものより、やり方に大きな問題があると見ています。しかし、それとは別に、「合意」をしておいていまなにを言っているのか、としか思えません。そもそも合意の際、通貨スワップなどは条件に入ってなかったはず。まるで、協定以外のものを持ち込んで責任回避を試みる、「道徳的優位」という言葉とも通じる部分があるのではないか・・そんな気もします。というか、これはあくまで「分析」で、そこまで考えずに普通に提案しただけかもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・最近、米国ニューヨークでハワード・ラトニック米商務長官と高位級通商交渉を終えて帰ってきた金正官 産業通商資源部長官が、現在交渉進行状況について「まだ多くのものが流動的な状況」と話した。金長官は16日、世宗市のある食堂で行った記者懇談会で「話にもならない案件を米側が出す。私たちが提案する中にも(米側から見たときは)不合理な案がある」と話した。金長官が言及した「米側が見たときに不合理な案」は、最近、韓国が米側に提案した「無制限の通貨スワップ」を指すものと見られる。政府は3500億ドル規模の大型投資を進める過程で発生しうる、為替危機を予防する安全装置として「無制限の通貨スワップ」を提案したが、米側が収容する可能性はとても低いというのが主な見解だ。

専門家たちは、韓国政府の無制限通貨スワップ提案を「米国政府が受け入れにくい条件を提示し、交渉主導権を確保し、投資条件を調整しようとする戦略的カード」と分析した。17日、企画財政部などに対する取材を総合すれば、韓国と米国が通貨スワップを締結するためには4者間協議が必要だ。韓国では企画財政部と韓国銀行が、米国では財務部と連邦準備制度(Fed)が合意をしなければならない。米連盟は現在、欧州連合(ユーロ)と英国、日本、スイス、カナダなど5カ国を除く残りの国家に対しては、経済危機など非常時に限定して通貨スワップ契約を締結している。




基軸通貨国ではない国との通貨スワップは、ドルの流動性不足により金融危機が発生する可能性があり、このような波及効果で米国経済が影響を受ける可能性があるという診断が出たときにだけ、行われる・・・・今回、韓国政府が提案した案は、経済危機と関係がなく、規模は無限大の「無制限通貨スワップ」だ。円滑な産業投資を目的に両国の中央銀行が通貨スワップを締結する可能性は低いというのが、一般的な見解だ。

最近、トランプ政権と(FRB連邦準備制度理事会)との対立も、通貨スワップ締結の可能性を下げる要因とされている。ドナルド・トランプ大統領は、国債利子負担緩和と景気対策として基準金利の引き下げを強く要求しているが、FRBは物価上昇を懸念して慎重に対応している・・・・トランプ政権とFRBが強く衝突する状況で、韓国政府が提案した無制限通貨スワップが締結される可能性はほとんどないというのが専門家たちの評価だ。ソク・ビョンフン梨花女子大学経済学部教授は、「米国が韓国と無制限の通貨スワップを締結する可能性はとても低い」とし「トランプ政権が受けるといっても、FRBの同意を求める手続きが必要だ。

現在の米国政治・経済状況を見たとき、FRBが同意しないだろう」と話した。ヤン・ジュンソク カトリック大学経済学科教授は「大規模なスワップはインフレに影響を与えることができ、FRBが反対する可能性が大きい」とした。一部では、政府が米国が収容しにくい案を提案し、交渉主導権を握るための戦略だという解釈も出ている。韓国の外国為替保有高の85%水準である3500億ドルを短時間で投資することは現実的に難しいという事実を米側に周知させ、現金投資規模を減らす戦略だ、ということだ。いざとなれば、米国が制度を設けてくれなかったという名分で関税交渉を原点に戻すこともできる、という観測も出ている(朝鮮日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。