韓国ガス・油田「大王クジラ」、初めて試錐結果公開・・各メディア「消えた産油国の夢」など

一時、チェコ原発受注とともに「尹錫悦政権の2大業績」とされていた、「大王クジラプロジェクト」。迎日湾(朝鮮半島の南東、日本海の方)にあるとされるガス・油田開発計画のことで、当初から大統領が緊急会見を開いたり、産油国になれるとか、そんな話が盛り上がっていました。しかし、世界的大手企業がすでに調査、撤収済みの海域であること、報告書を出した会社が無名で、ほぼ個人で運営していたこと、などなどの問題が指摘されるようになりました。それでもボーリング(試錐)まではやりましたが・・この前、政権交代もあって「可能性が低い」と予算がゼロになりました。この件が盛り上がっていた時、世界各国の企業が「強い興味を示した」というニュースもありましたが・・それからどうなったのでしょうか。海外企業相手に政府レベルで参加を呼びかけていたとのことで、日本企業が関わってないならいいですが。

プロジェクトそのものはまだあるので、もし続けるなら民間投資を集めるしかありませんが、試錐結果などの精密分析結果が、まだ公開されていないとのことでして。そんなところですが、毎日経済(18日)によると、与党国会議員が関連機関に資料を要求、初めてその結果が公開されました。公開せずにいたことからも「お察し」ですが、記事から直訳しますと、ガス飽和度が40%は必要なのに、6%だけだったそうです。チェコ原発も、米国企業ウェスティングハウスとのいわゆる裏面合意(非公開合意)によって収益性に大きな問題が指摘されているし、UAEバラカ原子力発電所も累積で赤字になりました。大王クジラプロジェクトも、右派政権に不利な内容ということもあってか、色んな意味で話題になっています。といっても、明らかに尹政権の自業自得ですが。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・大王クジラ(8鉱区・6-1鉱区北部)探査のボーリング(※試錐)に対する最終精密分析でも、経済性が低いという結論が出たことが確認された。経済性を左右する核心指標であるガス飽和度が6%で基準値である40%に大きく及ばなかったためだ。資源開発業界では、着実な試錐を通じて探査成功率を高めなければならないという声を出しているが、適切な民間投資を確保できなければ、プロジェクト自体が座礁する可能性があるという懸念が出ている。18日、ホソンム共に民主党議員が韓国石油公社から受け取った資料によると、大王クジラのガス飽和度は平均約6%であることが確認された。しかも、ガスは、熱的起源(根源岩層が熱的に成熟して生成するガス)ではなく、生物体が腐敗して発生するガスであった。ガス飽和度は通常40%以上の場合、経済性があると判断する。

しかし、試錐前にはガス飽和度が50~70%に達すると推定されていた。大王クジラのガス飽和度が公開されたのは今回が初めてだ。産業通商資源部は2月、探査終了直後「ガスの兆候は発見されたが経済性は低い」と発表したが、具体的な数値を明らかにしなかった。精密分析結果に基づき、韓国石油公社側は「試錐結果、貯留層および岩層など石油システム要素は試錐前の予想とかなり一致したが、深部根の源岩から生成された熱的起源ガスが大王クジラ有望構造まで移動できなかったと結論づけた」とし、「探査試錐を通じて取得した結果を分析した。探査成功率向上のために努力する予定だ」と説明した。




大王クジラ試錐は、東海深海ガス田開発事業の最初の試錐の試みだった(※120億円使ったそうです)。6つの有望構造があるだけに、資源開発業界では少なくとも5回以上の試錐が必要だという声を出している・・・・しかし、プロジェクトが座礁する可能性が高いという懸念は、さらに大きくなった状態だ。当該プロジェクトが尹錫悦政権の核心国政課題として推進されてきただけに、政権交代とかみ合って事業の動力を相当部分失うしかないという声が出ている。実際、来年度の試錐関連政府予算も編成されておらず、現在としては国内外の民間企業の投資を受けて事業を続けるしかない状況だ(毎日経済)・・>>

今回のデータ公開で、民間投資も、事実上、できなくなったと見たほうがいいでしょう。去年6月、支持率的に完全にレームダック決定だと言われていた尹大統領が、急に緊急記者会見を開き、「国民の皆様にご報告します」としながら、最大140億バレルの石油が~とか、サムスン電子時価総額の5倍の2200兆ウォンに匹敵するとか、発表当時の盛り上がりを(多くのニュースで)振り返ってみると、いったいなんだったんだ・・としか思えません。これも「いつものこと」と言ってしまえば一気に「ああ、そうか普通なんだ」と納得できますが。明日は1日、休みをいただきます。次の更新は21日(日曜日)の11時頃になります。

 




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・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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