韓国で旧統一教会(韓国側の記事などでは「旧」は付けません)関連の検察捜査が進んでいます。こればかりは韓国検察を応援しているところであります。で、そんな中、約500万人とされる野党「国民の力」の党員(韓国は政党の党員が多いことで有名ですが、この500万人が実際に活動している党員なのかどうかは確かではありません)のうち、旧統一教会信徒名簿と「名前が一致する(同名異人の可能性あり)」人が、12万人も確認できた・・というニュースがありました。信徒名簿と思われるデータベースを管理する会社を特定し、捜査を進めていた、とのことでして(18日、ニュース1)。まだ結果が出ていないし、政治的な攻勢の可能性もありますが、気になるニュースですので、本題の前にちょっと記しておきます。
本ブログでは(新刊でもそうですが)李在明政権が始まった頃から、「実用外交というのは、実は盧武鉉政権の『実用均衡外交(バランス外交)』と同じもので、米国を気にして均衡の部分を言わなくなっただけ』と書いてきました。いまもこの考えに変わりはありません。実際、韓国が米中を仲裁するという話は前から結構出ていて、これまた文在寅政権の運転者論(仲介外交)と同じにしか見えませんでしたが・・今回、李在明大統領とタイムズ紙のインタビュー、そしてハロウィン・・じゃなくAPEC会議(10月29日韓国で開かれます)にトランプ大統領・習近平主席が参加するという話で、また同じ論調が盛り上がっています。文化日報(18日)、韓国日報(19日)などがソース記事となります。「新・安米経中で米国も中国も管理する」とか、「トランプ大統領も習近平主席も来る、韓国が中心に立つ」などですが・・中国側から習近平主席が訪韓するとなにか公式の通知があったわけではなく、「外交部長と話してみて、そう確信できた」とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明大統領が18日、強固な米韓同盟構築に対する意志を改めて強調した背景には、既存の「安米経中」路線から脱皮しなければ、揺れているグローバル安保地形で国益を図ることが難しいという判断がある。李大統領は米国と足並みを揃えるが、対中関係も管理して、「協力の架橋」の役割を果たすと明らかにした。「実用外交」に基づいた「新・安米経中」宣言だという分析が出ている(※いわばそういうものだ、という文化日報の解釈で、タイムズ紙インタビュー、その他演説などで、李大統領が新・安米経中という単語を話したわけではありません)・・・・ただし、李大統領は中国との円満な関係を維持する必要も述べた。李大統領は「中国と対立関係にならないように、うまく管理しなければならない」とし「そうでなければ、韓国が両陣営の対立の最前線になるおそれがある」と見通した。
「実用外交」という基調の下、米中両国の間で仲裁者の役割をするという「架橋論」を掲げたものと解釈される・・・・李大統領は、10月末に慶尚北道の慶州で開かれるアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議を「仲裁外交」として具現する舞台として認識している。ジョセフ・ユン駐韓米国大使代理は前日(17日)「米韓同盟カンファレンス」基調演説で「先月、米韓両大統領が成功した首脳会談を持ったと言いたい。そして慶州APECでも会うだろう」と話した。 APEC出席のためのドナルド・トランプ米大統領の訪韓を事実上公式化したのだ。米中韓3国首脳がAPEC首脳会議をきっかけに出会うことになると、難航を重ねている貿易交渉と北朝鮮核問題の突破口が開かれる可能性がある・・
・・李大統領は北朝鮮の非核化と関連し、1994年に北朝鮮が重油・軽水炉支援を対価として核凍結に合意した事例を取り上げた。李大統領は「段階的交渉(凍結・削減・非核化)を通じて制裁緩和が必要だ」とし「トランプ大統領も共感するだろう」と話した。続いて「選択肢を『北朝鮮の核を容認するか、完全な非核化を成し遂げるか』のどちらかだと考える事が多いが、中間地点があると信じている」と話した(文化日報)・・>>
李大統領は米韓貿易(関税)合意についても、「トランプ大統領の要求をそのまま受け入れると自分が弾劾されるだろう」と話すなど、現状のまま受け入れるつもりはないと明らかにしています。また、この段階的非核化というものは、結局は「まず対北朝鮮制裁を解除、または例外措置として、支援を先に行う」という話になります。文在寅政権のときによく出ていました。
<<・・「トランプも習近平も来る、韓国が中心に立つ慶州APEC」(※題) 来月29日、慶州で開かれるアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議にドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席が参加する見通しだ。ジョセフ・ユン駐韓米国大使代理は、米韓首脳が慶州で会うだろうと予告した。趙顕 外交部長官も、王毅中国外交部長と会談後、習近平主席の訪韓について「確実だと感じた」と話した。米中の競争が激しい中、トランプ2期発足後、両首脳が初めて会う舞台が慶州になるわけだ。議長国として真ん中に立つ私たちは、精巧な戦略と繊細な調律で国際「ビッグイベント」をきちんと準備、国益を最大化する機会としなければならないだろう。
米中首脳が同時に韓国を訪れるのは13年ぶりだ。李在明大統領がインタビューで「米国と一緒に行くだろうが、中国との関係もよく管理する必要がある」と明らかにしたように、韓国にとって両国は共に重要だ。世界経済で米中の比重は大きいし、北朝鮮の核・ミサイル問題を防ぎ、朝鮮半島の平和を図るためにも両国の役割を欠かせない。米国と同盟を維持しながらも中国との関係も無視できない立場を十分に説明し、誤解を払拭させるのが基本だ(韓国日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。