米韓関税(合意の後の)交渉、また進展なし・・代表団「日本ほどの外貨がありません」

米国と韓国の、いわゆるトランプ関税(合意の後の)交渉が、また進展なしで終わりました。いままで何回も「長官が訪米して話し合ったけど進展なし」という趣旨の記事を紹介しましたし、ついこの前も産業通商部長官が、めずらしく日米関税合意を高く評価し、ちゃんと国益のためのものだったと話したという内容も書きましたが、今回「進展なし」というのは、それとはまた別の件、その後のことです。今度は呂翰九 通商本部長で、次官(副大臣)クラスですが、対外交渉では長官事実上のクラスとされる職位の人です。時事ジャーナル(20日)、毎日経済(20日)によると、またもや例の3500億ドル対米投資関連で、「手ぶら帰国」で、「日本ほどの外貨がない」と米国側を説得した、とのことです。

個人的に、会談そのものより、この話のほうが気になります。「外貨保有高世界◯位」もそうですが、いつもなら日本と比較してどうしても優位を主張することが多い(というか、そればかり)ですが、こんなときに限っては「日本とは異なる(外貨がない)という『客観的資料』を見せながら説得している」、「円市場は、ウォンとは比べ物にならないほど広く、深い」などと記事を載せています。言い換えれば、日本は大金持ちだけど私たちにはそんなお金はありませんという涙の説得作戦でしかありませんが、メディアもまた相応の説明を書いている、そんな「話」の部分です。




2022年あたりから、韓国メディアは円が安くなるとすぐに「金融危機」「国力の問題」とし、大騒ぎでした。ドル円為替レートが150円になったときにはKBS(2022年10月21日)は「(韓国にも影響するので)日本の国運があまりにも早く衰退しないことを願うばかりです」とまで報じました。一部、「日本国内で物価が心配されているだけで、世界の金融市場にそんな話はない」とちゃんと報じる特派員もいましたが。この手のひら返しが華麗すぎで、手首関節の衰退が懸念されるところです。で、ソース記事によると、ロイター通信、ブルームバーグもこの件で記事を載せていて、「日本は特例措置を、中国は関税適用までの猶予期間を延長できたけど、韓国は実質的な出口が見つけられずにいる」と指摘した、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・米韓関税交渉の後続協議のために米国を訪れた呂翰九 産業通商資源部通商交渉本部長が19日明け方、事実上「手ぶら」で帰国した。金正官 産業部長官に続き、本部長まで出て米国通商当局と相次いで会談をしたが、米韓両国の合意点を見つけることができなかった。米韓交渉が長期化する兆しに、国内輸出企業の不安感も加重されている。この日、通商当局によると、今回の会談でも米韓両国は3500億ドル規模の金融パッケージ構成と運営方式を置いて接点を見つけることができなかった。米国は、日本のように韓国が直接出資する形でファンドを造成しなければならないという立場であるが、韓国側は、融資・保険・保証などで構成される金融パッケージ形態を固守している。




韓国政府は、日本のように米国が望む形に必要なだけ資金を調達しなければならなくなった場合、韓国の外国為替市場は耐えられないという立場を伝えたという。この日、本部長は記者たちと会って「日本と韓国は異なるという部分を、様々な客観的資料と分析を提示して最大限説得している」と説明した。政府は米国側に、無制限の通貨スワップを要請するなど交渉の詳細を一つ一つ調整していることが分かった。また、米国が韓国の無制限のスワップ要求に応じなかった場合、通貨スワップの範囲を調整する可能性まで開いている、と伝えられた(毎日経済)・・>>

 

<<・・ロイターは、日本と韓国の対照的な状況を浮き彫りにした。日本は米国との合意を通じて自動車産業の不確実性を和らげ、企業が息を吹き返すようにできたが、韓国は「交渉テーブルに座りながらも、事実上、動かない状態にある」とした。ブルームバーグも「日本は特恵を、中国は休戦を延長したが、韓国は実質的な出口を確保できずに高率関税に耐えなければならない難しい状況にある」と伝えた。実際、日本の円貨市場は、ウォン市場と比較できないほど広く、深い。1日平均取引規模だけ約1兆2500億ドルに達し、大規模な資金移動にも、市場がこれを吸収できる。一方、ウォンは1日取引規模が1420億ドル水準に過ぎない。海外市場もまだ十分に発達していないため、大規模なドル需要が発生すれば、為替レートが急激に停滞する可能性が高い。国内年金と金融機関の海外投資需要が毎年400億ドル水準だが、米国が要求するファンドが本格稼働すると、年間1000億ドル以上の追加ドル需要が発生する可能性があるという分析も提起されている・・

・・いままでの経験だってそうだ。1997年の為替危機以後、韓国は通貨市場の管理に慎重な態度を維持してきた。最近、外国為替市場を外国人に一部開放したが、政策決定者に外国為替危機トラウマは依然として強力に作用している。問題は、米国が日本との合意を前例として、韓国にも同じ条件を要求している点だ。ロイターは「今回の米韓交渉は、表では自動車をはじめとする関税交渉だが、実際には為替・外国為替政策による新しい形態の通商圧迫」と指摘した。ハワード・ラトニック米商務長官の「日本は契約をした。韓国も合意案を受け入れるか、あるいは関税を払うか、どちらかを選択すべきだ」とした発言は、これを端的に見せている(時事ジャーナル)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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