トランプ政権での関税金額増加率、日本8.2倍、メキシコ17.8倍、韓国47倍

前にも「関税25%で4年間耐えたほうがいい」とする主張などを紹介しましたが、韓国では、例の対米投資のことで、いわゆる強硬論が広がっています。中には「国際関係を優先すべし」とする意見もありますが、ほとんど目立ちません。そういう流れとともに、「やられている」という趣旨の主張が広がっています。なにかあればすぐ「だから、もっと何かをもらうべきだ」とか、「だから、もっと反発すべきだ」とか、そんな世論になりやすいのは、いつものことですが。そんな趣旨の分析、と言いましょうか。中央日報聯合ニュースなど(共に21日)大手メディアが、去年10~12月期(トランプ政権になる前)と、最新のデータ(4月~6月期)を比べてみたところ、米国関税金額が47倍も増えた、と報じています。日本の場合は8倍増えた、とも。メキシコは17.8倍、カナダが19.5倍、などです。どうせなら去年の同期間のデータと比べてほしかったところですが。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・大韓商工会議所は21日、対米輸出上位10カ国を対象に米国ITC(国際貿易委員会)関税の統計を分析した結果を発表した。それによると、今年4~6月期、韓国の対米輸出関税額は合計33億ドルと集計された。中国259.3億ドル、メキシコ55.2億ドル、日本47.8億ドル、ドイツ35.7億ドル、ベトナム33.4億ドルに次いで、6位だった。トランプ2期発足より前の、昨年10~12月期の関税額と比較した場合、韓国の関税増加額は32.3億ドルと集計された。中国(141.8億ドル)、メキシコ(52.1億ドル)、日本(42億ドル)に次いで4番目に高かった。関税増加率でみると、韓国が4千614%(47.1倍)で、10カ国の中で最も高かった。




続いてカナダ1千850%(19.5倍)、メキシコ1千681%(17.8倍)、日本724%(8.2倍)、ドイツ526%(6.3倍)、台湾377%(4.8倍)などの順だった。韓国の場合、1~3月期までも、米韓FTAが適用され、関税がほとんど発生しなかったが、4~6月期に入って、普遍関税10%、自動車及び部品、鉄鋼・アルミニウムなどに品目関税が適用され、増加幅が大きくなった。逆に中国は、関税増加額は最も大きいが、バイデン政府の時でも電気自動車、バッテリー、半導体、太陽電池などの品目に高率の関税が適用されていたため、関税増加率の面では10カ国のうち最も低い水準を見せた。

今年4~6月期、韓国の対米輸出関税額を品目別にみると、自動車・自動車部品が19億ドルで全体関税額の57.5%を占めた。4月に完成車、5月に自動車部品に対して、それぞれ25%の品目関税がかけられた影響が大きかった。韓国にかけられた関税額を輸出額で割った実効関税率の場合、4~6月期基準で10%で、中国(39.5%)、日本(12.5%)に続き、対米輸出上位10カ国のうち3位を記録した。同期間の対米輸出額が、世界8位であることを考慮すると、輸出規模に比べて関税負担が相対的に大きいことを意味する(聯合ニュース)・・>>




<<・・ゴールドマンサックスが先月発表した報告書によると、6月基準で、米国の輸入企業が関税の64%を、消費者が22%を、輸出企業が14%をそれぞれ負担したと推定される。しかし、来る10月以降は、消費者が67%、輸出企業が25%、輸入企業は8%だけ負担することになると見通した。関税措置初期には輸入企業の負担が大きいが、時間が経つほど輸出企業の負担が大きくなると見たのだ。

商工会議所は、韓国の輸出企業の負担を緩和するための政策と、立法による支援が緊急だと強調した・・・・会議所の調査本部長は「15%の相互関税のうち、輸出企業が4分の1を負担すると仮定すれば、対米輸出の3.75%を関税で負担するわけだが、昨年の韓国製造企業の売上高において、営業利益率は5.6%だったという点を考えると、企業の負担要因がものすごく増加したことになる」とし、「企業経営を難しくするための政策よりは、企業が競争で遅れないように支援する方案を模索しなければならない」と話した(中央日報)・・>>

 

企業経営を難しくする政策というのは、あの「黄色い封筒法」のことでしょうか。しかし、記事が引用したゴールドマン・サックスの分析が正しいなら、「関税は輸入する国内企業(だけ)が負担する」という話も事実ではないということになりますね。最近、米国が基準金利を0.25%p下げましたが、それは雇用情勢もそうですが、物価が思ったほど高騰しないなどが理由(根拠?)だったはずです。実際、年間統計で91万人以上の就業データが修正された(就業者数が下げられた)ときには、私もちょっと驚きました。これだと確かに利下げが必要かもしれませんが・・いままで22%負担だった関税負担が、10月から67%になるなら、消費者の負担額が一気に跳ね上がったりしないのでしょうか。品目にもよるとは思いますが。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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