複数の韓国メディア、社説などで「3500億ドル対米投資に応じてはならない」「日本とは経済状況そのものが違う」

「3500億ドルの男」、まだまだ話題になっています。前から「国内で強硬論が強くなっている」とお伝えしましたが、韓国日報韓国経済など、超大手とまではいえないものの大手メディアも「(現条件だと)応じてはならない」という社説を載せるようになりました。これ、見方にもよりますが、政権に合わせるという動きでもあります。大統領自ら「通貨スワップ無しだと金融危機が来る」などと話し、今回の国連総会でも、李在明大統領は政治家または民間(メディアなど)関係者たちに、同じ趣旨の話を続けている、とのことでして。多くのメディアの論調に共通しているのは、「日本とは状況が異なる」という話です。なんというか、韓国メディアがここまで日本を高く評価する流れもめずらしい気がします(本ブログとしては、この手のひら光速回転スタンスが本題だったりします)。以下、<<~>>で引用してみます。どちらも23日の社説です。

<<・・安全装置のない3,500億ドルの対米現金投資、拒むべきだ(※題)・・・・李在明大統領が22日報道されたロイター通信とのインタビューで、トランプ政権の「3,500億ドル現金投資」要求を、通貨スワップなしで受け入れれば金融危機のような状況に直面するだろうと話した。李大統領が表わした憂慮は誇張されたものではない。客観的な経済指標に基づく指摘だ。危機の際に、安全装置になる無制限の通貨スワップなしで米国の要求どおりに米韓貿易合意を文書化した場合、IMF危機を乗り越えて立ち直った韓国の金融安全性は一晩で崩れるだろう。米国が関税拡大の可能性と安全保障を前面に出して、圧力の水位を高めても、安全装置が設けられていない3,500億ドルの現金投資は、経済安全保障のリスクが高すぎる。




米国が望む投資額は現在、韓国の外国為替保有額(約4,163億ドル)の84%に相当する。これを米国の意図に応じて数ヶ月以内に入金すれば、外国為替保有庫はすぐに600億ドル台まで下がることになる(※日本と比べて、報じられる内容が少ないのでなんとも言えませんが、基本的に『日本と似たような条件』と言われています。日本の対米投資の場合は、両国が投資先について話し合って、それらのなかでトランプ大統領が決めると報じられています。この条件なども同じなら、一気に全額を振り込むという話ではないと思われます)。すぐに韓国対外支給能力は急激に下がり、ウォンの価値も下がるだろう。日本は同じ条件で5,500億ドルを投資しても、外国為替保有高(1兆3,000億ドル以上)が韓国より3倍多く、基軸通貨国(※韓国ではハードカレンシーも基軸通貨と言います)として米国と通貨スワップが締結されている。一言で、日本と私たちとでは、経済状況そのものが違う。

米国が望む水準で対米投資が行われるためには、李大統領の指摘どおり、信頼できる「マイナス通帳(※限度額内で現金を引き出せるローンの一種)になってくれる米韓間の無制限通貨スワップ協定を結ぶのが最善だ。しかし、これは現実的に困難が少なくないという評価だ。非基軸通貨国である韓国との協定を、米連邦準備制度が承認する可能性は低いからだ。交渉力を引き上げるために、最後まで無制限の通貨スワップを主張するのは意味があるだろうが、ここだけにぶら下がることもできない。私たちの現実的な選択肢は、投資方法を変えることだ。現金の割合を最小限に抑え、保証とローン中心に切り替える方式だ。そんなこともせずに米国の要求をそのまま受け入れるのは、国益の放棄と変わらない(韓国日報)・・>>




 

<<・・米国の要求をそのまま受け入れた場合、韓国の外国為替・金融市場が根本的に揺れることがあるという李大統領の言葉は、決して誇張ではない。韓国企業・政府・公共機関などが最近5年間、全世界に直接投資した金額が3489億ドルだ。韓国の外国為替保有額の80%を超える金額だ。当初、政府が話した保証・貸出形式といっても余裕がない規模なのに、日本のように現金中心に投資金を出すという米国の要求はそのまま受け入れるのは難しいのが事実だ。日本の外国為替保有額は韓国の3倍程度の1兆3000億ドルだ。さらに、日本は米国と無制限の通貨スワップを結んでいる。日本銀行が米国中央銀行(Fed)に円を預け、ドルを必要なだけ引き出すことができる。外国為替保有額が短期間で減っても市場の影響を減らすことができるという話だ。しかし、私たちは違う。外国為替保有額が大幅に減ったり、市場でドルを大規模に調達すれば、通貨価値の急落で金融市場が一気に危機状況に直面する可能性がある。

韓国側がこのような事情であることを説明し、無制限の通貨スワップ締結を要求しているが、米国は応じないでいる。しかし、最小限の安全装置であるウォン・ドル通貨スワップ締結は、我々が必ず得なければならない最低限のものであるだけに、交渉の妥結だけを急ぐことはできない。難しい状況だ。やっとの思い妥結できた関税交渉がズレてしまうと、対米輸出が大きな影響を受けることが明らかだ。だからといって米国側の要求をそのまま受け入れるわけにもいかない状況だ。今は、最大限に耐え、最後まで米国を説得するしかない。 「第2のMASGA(※造船協力プロジェクト)」のように知恵を発揮し、難関を突破してほしい(韓国経済)・・>>

ここで急な告知ですが、今週は明日(木曜日)に1日休みをいただくことになりました。いつも週末辺りに1日休むことにしていますが、今週はちょっとスケジュール変更となります。次の更新は26日(金曜日)の11時頃になります。土曜日も普通に更新いたします。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

おかげさまで、「日刊SPA!」にも、4日から3回連続でシンシアリーの記事が載ることになりました。新刊の内容の抜粋となります。
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。