国連総会に参加した李在明大統領が、トランプ大統領と会わなかったこと、詳しくは「会う機会があったのにあえて会わなかった」ことで、多くのメディアが記事を載せています。ここで「会った」というのは、立ち話などもすべて含めてのことです。国連総会でのことだし、前に米韓首脳会談もあったので、別に会談をしなかったといっても、それは何も不思議ではありません。ただ、大統領室自ら、この件を関税交渉(交渉といってももう合意済みですが)と繋げて話しています。「現状、会ってなにがどうなるというのか」などです。ちなみに、石破総理は総理大臣としてトランプ大統領と会う最後の機会ということもあって、「トランプ夫妻が開催したレセプションに参加、トランプ大統領と挨拶を交わした」とのことです(毎日新聞、多分ソース記事の「晩餐会」と同じ行事だったと思われます)。
今回話題になっているのは、晩餐会です。別に招待制でもなく、145人の各国代表たちが参加した、とのことですが・・李大統領はこの晩餐会に参加しませんでした。一つ前のエントリーで紹介したベッセント長官と会談で「通貨スワップがないなら関税交渉はここまで」と話しましたが、関係者たちは「長官に言ったから、トランプ大統領にも伝わるだろう」と話しているそうです。朝鮮日報(26日)などによると、もともとその会談には副総理がカウンターパートとして参加する予定だった、とも。また、朝鮮日報は社説(26日)で、3500億ドルを用意することは不可能だ、日本とはそもそも比較不可だ、とも主張しています。でも静かに説得を続けるしかない、と。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米韓の関税後続交渉が、崖っぷちまで行っている。政府は7月、関税15%の合意などを引き出して「交渉は成功的だった」と自評し、続いた両国首脳会談でも「合意書が必要ないほど良い会談だった」とした。だが、3500億ドルの対米投資がほとんど貸出・保証だとしていた韓国側の説明とは異なり、トランプ政権が「現金投資」を要求するという事実が明らかになり、交渉が原点に戻っている。米側は、譲歩することはないという立場を固守しているという。私たちは、3500億ドルという現金を用意できる方法がない。投資先を米国が決定し、韓国はそれに応じて現金を出すだけということも受け入れられない。日本も同じ条件だが、日本は1兆3000億ドルの莫大な外国為替保有額と、基軸通貨国の地位(※韓国ではハードカレンシーも基軸通貨と言います)、米国と通貨スワップまで持っている国だ。私たちとは比較すらできない。
米側の頑固な姿勢で交渉が難航すると、韓国側からは強硬な発言が続いている。李在明大統領は米側の要求を受け入れれば「弾劾されるだろう」とか「金融危機が来ることもある」とした。国務総理は「ビザ問題が解決されないと、事実上、進展することができない」とし、大統領室政策室長は「米国が投資収益の90%を要求した」との話を公開した。このような話はすべて米国にも知られている。与党側の一部からは、交渉を破棄すべきだという主張まで出ているという・・・・交渉が、外部に大きな声を出してもれると、どんな突発なことがあるか分からない。自動車はもちろん半導体・医薬品などの主力輸出品が大きな影響を受ける可能性もある。最後まで静かに交渉しなければならない(朝鮮日報)・・>>
<<・・国連総会に出席するためニューヨークを訪問中の李在明大統領だが、ドナルド・トランプ大統領と対面することはなかった。李大統領は今回、トランプ大統領との会談などを用意しなかった。トランプ大統領が23日(現地時刻)主催した各国首脳の歓迎晩餐行事にも出席せず、別途の日程だった。それにもかかわらず、米韓通商交渉の膠着状態を解決するために24日、ニューヨーク国連代表部でスコット・ベッセント米国財務長官に会った。大統領室は当初、トランプ大統領とのサプライズ遭遇、対話の可能性もあるとしていた。トランプ大統領と李大統領が国連総会基調演説をした日、トランプ大統領が主催する首脳晩餐が予定されていたからだ。しかし、その時にこの大統領は米国の知韓派の人たちを招待する別の晩餐を行った・・
・・外交専門家たちは「韓国大統領も参加するのが自然な行事だった」と話した。これに対して大統領室関係者は「オピニオンリーダーのための晩餐が先に取られた日程であり、トランプ大統領の晩餐は出席対象を招待するのではなく、来ることができる人は参加してほしいという行事だった」とした。イベントで見ると、意味のある会話を交わすほどの場所ではなかったと見た、ということだ。大統領室は通商交渉状況、トランプ大統領のスタイルなど様々な戦略的な考慮をしたという。大統領室関係者は「李大統領がトランプ大統領に会ったとしても、今の状況で何を言うというのか」と話した。
李大統領はベッセント長官に会って、対米投資パッケージと通貨スワップ問題を直接説明した。ベッセント長官の交渉カウンターパートは副総理だったが、李大統領が出たのだ。金容範大統領室政策室長はブリーフィングで「大統領がベッセント長官に外国為替市場の問題を詳細に説明したという点で、以後交渉で重大な局面になるだろう」とした。与党関係者は「李大統領がベッセント長官に話したから、ベッセント長官がトランプ大統領にも伝えたのではないだろうか」と話した(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。