政府公式というわけではありませんが、「米国債権を担保にしてドルを調達しよう」という話まで出ている、例の「3500億ドル対米投資」。まず本題に入る前に、複数のメディアから、米国と韓国で「外国為替関連で合意し、近い内に発表する」というニュースがありました。一部では、これが例の通貨スワップ関連での合意ではないのか、と速報として報じたりしましたが、(まだ発表前なので推測ですが)そういうものではなく、この前、日米が共同声明を出したように「為替レートは市場に任せることにします」という内容のものになるだろう、とのことです。似たような内容で日本と発表があったから、今度は韓国の番、ということでしょうか。
で、本題・・というか、関連したニュースの中で個人的に気になった内容ですが、トランプ政権が韓国を「貿易協定妥結国」としてカウントしていないという記事を紹介します。「どうやって合意できたのか」ということがずっと疑問でしたが、米国からすると、そもそも「本当に合意した」状態だとは見ていないのかもしれません。韓国経済(韓経ビジネス)の、「日本は15%なのに・・医薬品関税100%」という、謎の哀愁が漂う題の記事(27日)によると、トランプ政権は日本、EUだけでなく「貿易協定が妥結した国」に対しては、医薬品も15%にする(どうやらこの15%がトランプさんの最低限ラインのようです)としていますが、その中に韓国は入っていない、とのことでして。
ロイターなどが、「貿易協定妥結国は100%じゃない」と報道したことで、一部の韓国メディアがそれを引用しましたが、中には「じゃ、韓国も15%になるのでは」なニュアンスの記事もありました。でも、やはり100%だった、とのことでして。そういえば、日本の場合も具体的な話がまとまるまで関税(例えば車の15%関税)が適用されなかったし、EUの場合も、自動車関税の15%適用は日本より遅く、つい最近からでした。トランプ政権の言う合意というのは、単に「期限内にこれだけ実績があったんだ」とアピールするためのものかもしれません。これだけだとちょっと短いので、先の米国債権担保などについての記事(ソウル経済、27日)も合わせて紹介してみます。引用部分にはありませんが、相変わらず「日本は外貨が豊かで~」な話で盛り上がって(?)います。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領が発表した、輸入医薬品に対する「100%」関税方針から、欧州連合(EU)と日本は例外となった。しかし韓国は交渉が妥結していないということで、適用対象に含まれていないことが確認された。26日(現地時間)ロイター・ブルームバーグによると、交渉を妥結した貿易相手国にも医薬品関税が適用されるかという質問に、ホワイトハウス関係者は「協定の一部として15%上限を遵守するだろう」と話した。すでに15%の関税を約束されたEUと日本は該当しないという話だ。先月、米・EU共同声明でEU産医薬品関税が15%を超えないように保障すると発表された。日本も最恵国待遇を確保し、同じ水準の関税だけが適用される。一方、韓国は去る7月30日、米国と大枠の貿易協定には合意したが、まだ最終署名と文案確定がなされていない状況だ(韓経ビジネス)・・>>
<<・・通商専門家たちはもちろん、外国為替専門家たちも、米国が望む方式の投資パッケージを現実にするには、外国為替市場の安全装置を確保することがカギだと口をそろえた。キムジンイル高麗大経済学科教授は「私たちの外国為替市場で3~4年間で3500億ドルを調達するということは話にならない」とし「だからこそ、むしろ25%の関税のほうが余裕があるという言葉まで出てくるわけだ」と指摘した。キムテファン ミョンジ大国際通商学科教授も、「韓国と日本は状況が異なり、韓国には何か新しい措置が必要だということを、米国側も認識する雰囲気だ」と話した。李在明大統領が国連総会演説のために米国ニューヨークを訪問したことをきっかけに、通商担当のハワード・ラトニック米国商務部長官ではなく、スコット・ベッセント米国財務省長官に会ったのも、通貨の問題が関税交渉を解き進めるための関心事項になっているためだという分析だ。
ただし、米国が具潤哲 副総理兼企画財政部長官の要求どおりに、ウォンとドルとの間の無制限のスワップを許容することは難しいと思われる。ドルと無制限に交換できるというのは、基軸通貨に準ずる地位を獲得するという意味だからだ。これに米国は欧州連合(EU)・イギリス・日本・カナダ・スイスとだけ無制限の通貨スワップを提供している。キムジンイル教授は「韓国に無制限のスワップを許せば、メキシコ・オーストラリアのような国々も、同じく米国と通貨スワップをしようとするだろう」とし「米国としても容易ではない決定になる」と説明した。
これに投資規模を長期間にわたって分割したり、通貨スワップ規模を一定程度に制限する方案が代案として浮上している。キムジンイル教授は「外国為替保有額をランダムに使うよりも、韓国が保有中の米国国債を担保にしてお金を融通する方法がある」とし「投資金を一度に投入せずに、使用される時点に合わせて少しずつ長期間投入する方式も考えてみることができる」と説明した。財界のある関係者は「どうせ投資限度は3500億ドルだから、無制限が難しいなら金融市場が安定できる水準にスワップを拡大できるだろう」と話した(ソウル経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。