各メディアに「共通する」と言うほどではありませんが、そこそこ多くの韓国メディアは、「日米関税合意によって、米国は韓国に強硬な姿勢を示すしかない」と主張しています。そういう側面もあるでしょう。個人的に、米国は日本との合意をもって、「15%が最低ラインですよ」ということを示したんだと思っています。実際、一部の報道によると、米国とEUの関税交渉で急に進んだのも、EU側が「日本が15%なら」とし、15%を最恵国待遇と認めたからだ、という話もあります。もし米国としては、日本との合意よりさらに低い税率、または何かの特恵を他国に与えるなら、日本としては(EUもですが)「じゃ私たちは何だったんだ」ということになります。だから、米国としても日本との合意を気にしないわけにはいかないでしょう。
ただ、韓国メディアの報道は、どうしても「日米合意『のせいで』」というニュアンスです。ジョージア州工場関連ニュースで、「現地の法律を守らなかった側面に関してのニュースは、私が読んだ記事の中には『まったく』書いてなかった」と何度もお伝えしましたが、今回も同じ論調だと言えるでしょう。交渉して、合意して、それから「5%だけ現金で残りは保証とローン」としておいて、それを日米合意のせいだと言うのは、さすがに無理があります。YTN(29日)の記事もその一つで、「なんで米国は無理な要求をするのか」という前提で(まるで「米国も無理な要求だと分かっている」な書き方で、そもそもこの前提に無理があります)、その理由には日米合意があるから、日本が反発するかもしれないから、と分析しています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・今、アメリカがとんでもない無理な要求をしています。このような状況で、どのくらいの水準のお金が出ていくことになるのでしょうか。私たちの外国為替保有額に比べて・・・・私はもっと重要な部分の一つが、韓国が、さほど負担無しで1年に調達できるドルの金額です。なぜなら、ウォンが市場にあまりにも多く解き放たれて、ドル需要が高いと、ドル価値が高くなってウォンの通貨安に行き着くことになるではありませんか。私たちが、金融市場で、ドル為替レート的に、負担なく調達できるドルは、通常、200~300億ドルだと言われています。1取引日に、1億ドル程度になるのですが。それに比べると、3500億ドルをもしトランプ任期内に直接投資という形にするならば・・
・・おそらく、残ったトランプ大統領の任期3年以内に3500億ドルが入らなければならないでしょう。そうすれば、1年に、私たちがドルに変えて米国にやらなければならないお金が、1200億ドルになります。しかし、私がさっき言ったように、韓国が負担なく1年に調達できるドルは200億から300億と見られています。なら、その3~4倍になる金額になります。だから、金融市場がこういうことを知ってしまえば、外国為替市場に入っている投資家たちの立場からすると、ウォンが今後も通貨安になるしかないということを知って、あらかじめ反応するしかなくなります。そうすれば、短期的にウォンの通貨安が急に進む可能性があるのです・・
・・今、アメリカが私たちに求めるのは、本当にとんでもない要求だとしか見ることができません。トランプ大統領も、おそらく、これはとんでもないということを知らないかもしれませんが、スコット・ベセントのような人たちは、これが話にもならない要求だということを、ある程度は認知できているように見えます。それにもかかわらず、そのような要求を続ける背景は何でしょうか・・・・どうやら、日本との合意がとても大事なnだと思われます。なぜなら、日本とアメリカの間には、MOUが結ばれてはいますが、そのMOUは法的拘束力はありません。
すなわち、こんなことです。今後、私たちにもう少しアメリカが恵沢を与えるような決定をしてくれれば、日本側が、明らかにこれを持って反発する可能性があるわけです。なぜ韓国だけにそのように利益を与えるのか、と。そうなると、後続の交渉がねじれる可能性があります。どうやっても、米国の立場では、法的拘束力のないMOUを日本と結んでおいた状況で、韓国がまた別のベンチマークになってしまえば、日本にも、そして今後関税交渉を行う他の国々にも、望ましくない影響を及ぼす可能性があるため、その影響によって、アメリカの交渉力が、かなり弱体化される可能性がある、と私は見ています。
だから、そんな側面を気にして、韓国にとても強硬に押しているわけです。それが一つの理由でもあるわけで、もう一つは、韓国も日本と似た仕組みじゃないのか、と見ているようです。1年間に米国に対して出している貿易黒字も似ていて、韓国も日本と似ているのではないか、そんな思いで、強硬な姿勢になっているのではないか、そう考えられます(YTN)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。