韓国政府、113万人1兆6千億円の債務を「帳消し」・・「ちゃんと返済してきた人たちは何なのか」という指摘も

昨日から「新しい跳躍基金」という名で、いわゆる「バッドバンク(公的資金で不良債権や不良資産を買い取る機関)」がスタートしました。大統領選挙とその直後に、本ブログでも取り上げたことがありますが、韓国政府が大規模な「債務の帳消し」を始めたことになります。なんとその規模、113万人16兆ウォン(約1兆6千万円)。「7年間5,000万ウォン以下の債務が返せないでいる人」なら、自分で申し込まなくても自動的に帳消しされるとのことで、前代未聞の大規模になるとのことです。所得や資産規模によって、後で審査が行われる場合もあるそうですし、他の政権でも似たようなことはありましたが、実際に行われた「蕩減(全額、または部分的な帳消し、今回の場合は基本的に全消しです)」は、そこまで大規模ではなかった、とも。

また、別の蕩減プロジェクトも動いているとのことで、ネットでは「ちゃんと返済してきた人たちは、なんだったのか」という意見が結構見られます。対象は個人・そして小商工人(自営業者など)です。気になるのは、毎日経済(1日)の報道によると、16兆4千億ウォンを蕩減する予定なのに、基金の資産は8400億ウォンだけです。しかも、その中の4千億ウォンは金融機関が出捐したものです。その基金、これから他のところから調達するのかもしれませんが、ちょっと足りなさすぎ・・な気がします。自動的に申請が済まされるなら、そこまで長期に渡って運営する目的の基金でもない気がしますが、それだと残りの金額はどうするのでしょうか。




まだなんとも言えませんが、結局は「銀行(金融機関)」が負担することになるのではないでしょうか。李在明大統領だけでなく、前の尹錫悦政権も共通的に取ってきた、「銀行は社会のために金を出すべきだ」という路線として。これ、尹大統領も「銀行は『彼らだけでパーティー』をやっている」としたり、銀行側にかなり厳しい態度を取ってきました。今回もまた、政府が出すわけにもいかないから、銀行側が『共に生きる社会のためになんとかしなさい』、というところではないでしょうか。とりあえず、李在明政権が前から話していた、任せるんだ~俺達に~徳政戦隊~な展開が、本格化してきました。いますぐなにかの影響が出るとは思えませんが、次、次に次の政権にとっては、そしてなにより「債務者たちのモラル」において、大きな影を落とすことになるでしょう。以下、<<~>>が引用部分です。

<<・・113万人16兆ウォンの借金を消してくれるというが・・「一生懸命返済した人は何だったというのだ」(※題)。新政権の、長期債務消却プログラムである「バッドバンク(新跳躍基金)が、1日、8400億ウォン規模で公式発足した。これを通じて約113万4000人の債務者が総16兆4000億ウォン規模の借金を蕩減されると見込まれる。対象にならなかった人たちのために、7年未満の延滞者に対してもこれに準ずる蕩減措置をすると明らかにした。この日、金融委員会と韓国資産管理公社(カムコ)はソウル信用回復委員会本社で新跳躍基金発足式を開催した(※引用部分にはありませんが、違法的な方法での債務、外国人の場合は含まれません。また、同じ内容の東亜日報の記事によると、別途の申し込み手続きは必要なく、対象者は自動的に恵沢を受けることになる、とのことです)・・




・・基金支援対象ではない延滞者のための支援案も、共に推進する。 5年以上延滞者については、新跳躍基金と同水準の特別債務調整(元金減免最大80%・分割償還最大10年)を3年間支援する。5年未満の延滞者も、現在の債務調整プログラムと同じ元金減免率(20~70%)と最長8年の分割償還を許容する。当該プログラムは債務額上限がなく、事実上、国内延滞者の大部分を調整対象とするものと見られる。政府は他にも、最大370万人に達する債務者が全額返済した場合に延滞記録をなくす「信用赦免」作業などに着手している。金融圏関係者は「相当数の債務者が複数政府支援プログラムの受益者になると予想され、道徳的にどうなのかの論議が続くだろうと見られる」と話した。

委員長は祝辞で、「債務調整を通じて借金の中に閉じ込められていた方々が、再び経済活動の主体に復帰すれば、雇用市場と消費にも活力を吹き込むことができるだろう」とした。続いて「新跳躍基金は、単純な債務の蕩減にとどまるのではなく、償還能力を失った方の再起支援などを通じて、韓国経済の好循環構造を回復し、韓国社会の信頼と共同体の連帯を強化する出発点になるだろう」と強調した。基金は、財政4000億ウォンに、金融機関からの出捐金4400億ウォンを加えた。銀行から3600億ウォン、与信業界から300億ウォン、保険業界400億ウォン、貯蓄銀行業界から100億ウォンなどだ。当初計画だった4000億ウォンより400億ウォン増加した規模だ。買取価格率が低すぎると負担を訴えてきた貸金業界は含まれなかった(毎日経済)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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