「3500億ドル」の件、いよいよクライマックスに向かっているようです。各メディアによると、「3つの条件」を提示し、MOU修正案を米国側に送った、とのことです。今月末のAPEC会議で何かの結論を出すためにも、もう時間がないと思ったのかもしれません。ただ、米国側から何の返事もなく、いまは「待機中」とも。MBC(2日)によると、交渉中に韓国側の代表団が米国側に対して、「非公式的に、『私たちを踏みたければ踏んでみるといい。その足に穴が空くだろう』と言ってやった」・・という話まで出ています。本当にそう言ったのかは確認できませんが、その代表団のリーダーの一人だった人がそう公言しています。「強く言った」くらいにすればいい気もしますが。
3つの条件とは、まず、前から公式に確認済みだった「無制限通貨スワップ」。2つ目は、「元金が回収されるまで、韓国が収益の90%をもらう」こと。これ、米国側は、日本にも韓国にも、元金回収までは米国と相手国が50%ずつもらって、全額回収された後からは米国が90%をもらうという条件を出していると報じられています。最後に、「現金による投資は約5%」。これは合意(いまとなっては合意と呼ぶことすらも違和感がありますが)の直後から韓国側が強調していたことで、約95%はローンと保証によるもので、現金による直接投資は5%だけ、という内容です。メディアによっては、「金額は明らかにしていない」と報じるところもありますが、ソース記事の韓国日報(2日)によると、5%を例示したとのことです。また、記事によると、「日中韓FTAやCPTPPで補完しないといけない」という主張も出ているとのことですが、本当に米国に足に穴を開ける自信があるなら、他国を巻き込まないでほしいところです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国政府が、3週間前に了解覚書修正案を米国側に提示したことで確認されました。「韓国をふもうとするなら、その足に穴が空くだろう」という意味まで伝え、強硬な態度を見せています。米韓両国の意見が最も合わない部分は、対米投資金3500億ドルの調達方式です。最大5%だけを現金投資し、残りはローンと保証で埋めると理解していた韓国政府とは異なり、米国は現金支払いにこだわっており、交渉を終えることができないでいるわけです。交渉状況を打開するために、韓国政府は先月、米国に了解覚書修正案を新たに伝達したことが確認されました。大統領室は、「先月11日、米国を訪問した金正官 産業部長官を通じて、米国の商務長官に5枚分量の了解覚書修正案を伝達した」と明らかにしました。【大統領室スポークスマン「修正案を米国側に提案したのは事実ですが、まだ具体的な回答は、まだ少しできない状態であると申し上げます」】・・
・・両国の通貨スワップ締結が前提でなってこそ、現金投資を議論してみることができるという韓国政府の立場も含まれました。【李在明大統領(9月21日)「通貨スワップになっていない状態で、今、米国が要求する方法で、全額を現金で送金、投資しなければならない状況になれば、韓国は再びIMFを迎えることになるでしょう」】。ただし、政府が現金で直接投資できる具体的な金額は、修正案に摘示していないことが確認されました。韓国政府は、時間を気にして、国益に影響を与えるような妥協はしないという立場を明らかにしています(MBC)・・>>
<<・・2日、大統領室などによると、米側が先に韓国に送った投資了解覚書(MOU)には、対米投資の大部分を直接持分投資方式とし、投資収益が出れば米側が90%を持っていく内容が盛り込まれてた。投資期限もドナルド・トランプ米大統領の任期満了日である2029年1月19日であると伝えられた。先に日本が受け入れた対米投資方式を、韓国にもほぼ同じように要求したのだ。これに韓国政府は、①直接持分投資比率を5%に制限し、残りは融資と保証限度で額を合わせる代替案を提示したという。②元金回収前までは、投資収益の90%を韓国がもらう内容と、投資期限をもっと延長してほしいという要求も盛り込まれた、と伝えられた。韓国と日本とでは経済規模が異なり、米側の要求どおりに対米投資をする場合、国会で同意を得るのは難しいというのが韓国政府の論理だ。
米国側は、韓国政府が要求している③無制限通貨スワップ締結にも否定的であると伝えられた。政府の核心関係者は、「関税交渉に取り組む米国の態度を見ると、黄金の卵を産むガチョウでもちゃんと育てるつもりがないと見える」とし、「来年年末まで交渉が長期化する可能性もある」と話した。トランプ大統領の厳しい圧迫は、自国内の政治状況を意識した要素があるだけに、来年11月に米国中選挙まで続く可能性もあるという説明だ・・・・このことで、政府は長期戦も備えている。 25%高率関税で影響を受けた自動車業界支援案を検討する一方、貿易多様化も推進している。金民錫 国務総理はこの日、あるメディアの行事で「日中韓自由貿易協定(FTA)交渉再開議論も進行中」とし「環太平洋経済同伴者協定(CPTPP)加入も検討している」と話した(韓国日報)・・>>
明日は1日休みをいただきます。次の更新は5日(日曜日)の11時頃になります。また、よろしければ、本エントリーのコメント欄は、自民党総裁選用にもお使いください。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。