急に国賓訪問という話が出てきて、エントリーしてみます。まず本題は、韓国李在明政権が、習近平主席の「国賓訪問」を積極的に進めている、とのことでして。本ブログ的に面白かったのはその理由で、「そうすることで、中国も李在明大統領を国賓として招待することになる」からです。で、そのためには首都ソウルまで習主席が来てくれないといけないそうです。国賓訪問は儀典なども相応のレベルがあるので、インフラ的にソウルでないと難しい、とのことでして。でも韓国日報(5日)によると、中国側は、慶州(交通状況にもよりますがソウルから車で3時間位でしょうか)でAPEC首脳会談が開かれるので、とりあえずトランプ大統領と米中首脳会談もAPECでやる可能性が高いので、習主席がソウルまで訪れるのは無理がある、という反応です(後のAPEC日程は他の閣僚か高官が引き継ぐ)。
で、記事引用の前にちょっとだけ、国賓訪問という言葉でまたあれを思い出したので、ちょっと綴ってみます。去年9月12日に本ブログでもお伝えしましたが、当時、尹錫喜大統領の国賓訪日を成就させよう、という動きがありました。たとえば、同日の中央日報は「日本側の政治家たちは、韓国と仲良くしたいと思っているけど、名分が弱い。だから、天皇陛下の『御言葉』をいただいて、それで政治家たちの負担を軽くしてあげよう」という趣旨です。「国賓訪問をすることになれば、天皇(※記事には天皇と書かれています)との出会いがなされ、この時オコトバと呼ばれる天皇の両国関係に対する発言が出てくる。天皇の話す歴史関連発言はその重みがまったく異なる・・・・一言で、形式や責任面では日本の外務省や政治家たちが半歩後ろに下がることができ、私たちとしては60周年にふさわしい結果物をほとんど得る形になるだろう」としています。
岸田総理の頃から、「関係改善」という言葉に反論すること自体が難しくなっていたので、個人的に、この件をずっと気にしていました。本件とは関係ありませんが、国賓訪問というキーワードを見て、ちょっと思い出しちゃったので、書いてみました。石破茂総理が10日になにか個人的な見解を発表するとかそんな記事もありますが、いまのところ国賓訪問などの話は出てこなくなったので、とりあえずは安心ですが、油断もできないでしょう。以下、本題にもどって、韓国日報の記事を<<~>>で引用します。
<<・・政府が推進中の習近平主席の「国賓訪韓」の成否が不透明な状況であると把握された。政府は来る31日から始まるアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議の時、習主席が訪韓することをきっかけに、ソウルで別途の国賓訪韓行事を行う方案を推進中だ。しかし、習主席のソウル訪問の可能性が低くなり、中韓の間で国賓訪問を議論する勢いも多少落ちているということだ。政府関係者は5日、「習主席の国賓訪韓について、現在まで具体的に決定された内容がない」と明らかにした。ただ、この関係者は「国賓訪韓に、中国側も肯定的な雰囲気だったが、米中首脳会談の場所がソウルではなく慶州に決まる可能性が高くなり、習主席のソウル訪問も確実に難しくなったのが事実」と説明した。国賓訪韓は、儀仗隊の査閲式と国賓晩餐など、超特大の儀典を伴う。
ソウルではなく地方都市で国賓訪韓行事が行われた前例も珍しい。中国最高指導者の国賓訪韓をソウルではなく慶州で行うのは、物理的に、そして外交的意味でも無理があるとされる理由だ。このため李在明政権は慶州APEC首脳会議に出席した時、習主席を再びソウルに迎え、別途の国賓訪韓行事を行う方案を中国側と協議中だった。成就できれば、朴槿恵政権の時だった2014年以後、11年ぶりの習主席の国賓訪韓となる。
しかし当初、ソウルで開かれるとされていた米中首脳会談が「慶州での開催」になる可能性が高いとされている。特に今回のAPEC首脳会議の最大イベント格であるドナルド・トランプ米大統領と習近平主席の出会いが慶州で行われる場合、中韓・米韓首脳会談も慶州の外では行いづらくなるだろう。ソウルで行わなければならない国賓訪韓の可能性がその分、低くなったのだ。それにもかかわらず、政府はいったん習主席国賓訪韓の期待をあきらめていない。ソウルが難しいとすれば、習慣を破って慶州または第3の都市で国賓行事を行うことができるかについての内部検討まで行われていると伝えられた。
政府が習主席の国賓訪問を希望することは、李在明大統領の「中国訪問」日程を念頭に置いたものと見られる。李大統領の最初の防中日程はまだ確定しなかった。だが、今年初めて米国ワシントンを訪問しただけに、来年、李大統領の主要外交イベントで中国を訪問する予定を描いていると伝えられる。さらに中国は来年のAPEC首脳会議の議長国だ。政府情報筋は「来年、APEC首脳会議に出席する際の李大統領の中国訪問を、『国賓訪問』形式に持っていくためには、今年、習主席の国賓訪韓が行われたほうがいい」と耳打ちした。来年、李大統領の国賓訪中の外交的名分を確保するためには、今年習主席の国賓訪韓が必要だという意味だ(韓国日報)・・>>
一つ前の、トランプ大統領の日帰りの話も、この習主席の国賓訪問の話も、まだ確定したわけではありません。ただ、現時点での情報だと、どうも「仲介外交」「仲裁外交」などを語るほどの内容には、なれそうにありません。そもそも米中ともに、「米中会談のためのきっかけが必要」だから訪韓することであり、それ以外はどうでもいいのでしょう。そもそも、APECがきっかけなのにAPECには参加しないという話まで出ているわけですから。特に、トランプ大統領としては、米韓首脳会談をやってからあまり経ってませんし。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。