次期米国防次官補「米韓同盟は中国への抑制力として機能できる」・・トランプ大統領は韓国で何を話すのか

さて、3500億ドル対米投資が話題になりすぎであまり目にしなくなりましたが、いわゆる在韓米軍の「現代化」、すなわち役割拡大関連ニュースです。韓国は在韓米軍の存在を「韓国の専守防衛のため(北朝鮮以外、例えば中国関連の問題では動かない)」としていますが、条約などにそうちゃんと書かれているわけでもなく、最近、対中国の動きをもっと強化すべきだという話が続いています。これを「役割拡大」「現代化」などと表現します。個人的に、トランプ大統領が今月末APEC首脳会議のために訪韓し、何かの形で米韓首脳会談が開かれるなら、関税など貿易関連以外で真っ先に出てくるのがこの案件ではないだろうか、と思っています。

しかし、APEC関連記事が数多く出ているけど、「北朝鮮問題など安保関連も議論されるだろう」とか、防衛費増強とか、そういうレベルのものはあっても、在韓米軍関連の記事は不思議なほど少ないのが現状です。そんな中、米国防総省のインド太平洋安全保障担当次官補(指名を受けていて、まだ就任はしていません)であるジョーン・ノさんが、また在韓米軍の役割拡大について言及しました。ジョーン・ノさんは韓国系米国人ですが、韓国側が期待していたものとは真逆の発言が出てきたわけです。ジョーン・ノさんは、中国は脅威であり、日本、韓国など同盟の役割が大事であると述べましたが、その中で「対中国抑制力としての米韓同盟」の姿なども述べました。これ、実は在韓米軍の司令官も「朝鮮半島は、衛星写真で見ると日本と中国の間の空母のように見える」と話すなど、多くの高官が同じ趣旨を話しています。




李在明政権としては、3501億ドルレベルでいやな発言だったとも言えます。すでに米国政府から公式に「現代化」を要求したというニュースもありましたが・・李在明大統領からすると、明らかに「実用」でも「国益」でもない動きになります。ソース記事は朝鮮日報(8日)ですが、複数のメディアなどはもっと強い論調でジョーン・ノさんの発言を批判しており、たとえばYTNは「トランプ大統領から、韓国軍に『中国に向けて最前線に立て』と新しい命令を出したのか」という題で報じています。最近の世論を反映する題です。こちらを引用したかったけど、いざ本文の内容はあまり変わらないし(笑)、短いので、朝鮮日報にしました。さて、これもまた、李大統領として避けて通れない案件。ひょっとすると、APECで会談無しのほうがいいのかもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・米国国防部のインド・太平洋次官補に指名されたジョン・ノ東アジア担当副次官報は、インド太平洋地域安全保障に対する最大の脅威として中国を指摘し、これを抑制するための日本・韓国など同盟国の役割を強調した。特に韓国に対しては「主に、米韓同盟の対北朝鮮用の在来式抑制に集中しなければならないが、多くの能力が対中抑制にも寄与できる」とした。ノ指名者は7日、米連邦上院軍事委員会の認可聴聞会に提出した回答で、インド太地域の安保優先順位について「依然として最も深刻な軍事的脅威で残っている中国を抑制することに重点を置かなければならない」とし「南シナ海でのますます積極的な行動、台湾に対する強勢的深刻な懸念を呼び起こしている」と話した。




続いて「中国の核兵器拡充はアジアで地域で覇権を確立し、究極的にアメリカの世界的優位に挑戦しようとする戦略的野望によって推進されている」とし「こうした核拡張は包括的軍近代化プログラムの一環であり、大規模な従来の軍備拡充と組み合わせて中国が自国の地政学的的目標を示しているものだ」とした。ノ指名者は、中国の脅威に対応するために、韓国、日本、オーストラリアなど同盟国およびパートナーの自己防衛力増強と防衛費増額が必須だと強調した。彼は「認可されれば、中国の攻撃を抑えることができる実質的な戦闘力を備えた軍隊を西太平洋に配置することに重点を置いた政策を勧告する」と述べた。

また「同様に重要なのは、日本、オーストラリア、韓国など同盟国が自国の国防支出を大幅に増額し、独自に作戦できる能力を強化するとともに、米軍との相互運用性を維持することで、私たちの同盟関係を真の負担分担同盟に転換する」とした。

 

特に韓国に対しては「主に米韓同盟の対北朝鮮用の在来式抑制力に集中しなければならないが、多くの力量が対中国抑制にも寄与できる」とし「(韓国軍の)長距離火力、統合防空及びミサイル防御、宇宙戦、電子戦のような力量は(中国と北朝鮮)両方の脅威に対抗して地域内の抑制を強化するのに意味がある」とし、中国の軍事リスクが現実化する場合、地域内の米軍はもちろん韓国軍も一定部分の役割を果たさなければならないという点を強調したものと解釈される。

先立って中国は今年初め暫定措置域(PMZ)に無断で構造物を設置した。これを調査しようとする韓国側海洋調査船を中国海警とともに現れた中国の人たちが武力で遮ったりした。これにノ指名者は「(※朝鮮半島の)西海で中国の活動は韓国を脅かそうとする目的があるようだ」とし「承認されれば、こうした活動を検討し、適切な対応を提案するため、米政府の同僚、韓国側カウンターパートと協力していく」と話した(朝鮮日報)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。