韓国政府、現代自動車の対米投資に問題提起?・・「政府の交渉力が弱体化する」

元ソースはウォール・ストリート・ジャーナルですが、韓国政府が現代自動車の対米投資に問題を提起した・・すなわち、現代自動車側に「こんな時期に対米投資を増やさないでほしい」と注意した、という記事がありました。JTBC(8日)など複数のメディアが報じています。元記事は、多分、トランプ大統領のやり方に問題提起をするためのもの、と思われます。探してみたら会員記事に「Hyundai Gets Cold Shoulder From Trump Despite Charm Offensive(現代、トランプの歓心を買おうとするも冷遇される)」という記事があったので、多分これでしょう。実際、韓国メディアも「大規模の投資をしているのに、なんでトランプ大統領はこうも冷たいのか」という「しくしく系」記事を載せていますが・・これ、もっとも気まずくなるのは韓国政府じゃないでしょうか。

なにかの戦略の一つとして企業側にそう伝えたならともかくとして、バレて記事になったなら、大きなミスでしょう。ロイターの数日前の記事に、米国内での車の生産が多い(全体生産量の割合で)企業に対して、さらなる関税軽減措置を考えているという内容がありました。記事には5つの企業名が載っていましたが、確か3つが米国企業で、2つがトヨタとホンダでした。記事は、トランプ関税による関税増加分を、ほぼプラマイゼロにできるのではないか、とも。これ、もし本当なら、日米首脳会談あたりでトランプ大統領が話す可能性も、なくはありません。本当だとしても、まだ発表には早すぎるかもしれませんが。仮定の話ですが・・日本でそんな話があって、その後の訪韓の際になにもないなら(あるわけないでしょうけど)、また各メディアが騒がしくなるのではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。




 

<<・・現代自動車グループが、米国市場に大規模な投資と支援を続けてきたが、トランプ政権の反応は冷淡だとウォールストリートジャーナル(WSJ)が現地時間7日報道しました。WSJは、現代自動車が迅速な貿易交渉解決に熱意を示し、対米投資を続けているが、韓国政府が交渉力の弱化を懸念して強く叱責したとも伝えられました。WSJによると、現代自動車は昨年11月、トランプ大統領再選直後に就任式に100万ドルを寄付し、今年3月には2028年までに210億ドル規模の対米投資計画を発表しました。しかし、これらの努力にもかかわらず、25%の自動車関税は避けられませんでした。先月には、ジョージア州合弁バッテリー工場建設現場で労働者300人以上が移民当局に逮捕されて解放されたりもしました・・

・・WSJはこの取り締まりを置いて、「この1年間で、トランプ大統領の歓心を買うために続けて苦労してきた現代車だが、その努力には、あまり成果が伴わなかった。それをはっきりと示すきびしい結果だった」と報じました。現代自動車はジョージア州事態の後にも260億ドル規模の追加投資を発表し、米国内の生産拡充意志を改めて明らかにしました。しかし、WSJは、事情をよく知っている情報筋の話を引用し、韓国政府がこのような現代車の歩みを、交渉力を弱める要因になると見て、現代車を強く叱責したと伝えました。大統領室は関連コメントの要請に応じなかった、とも伝えました。




WSJは、現代自動車が困難の中でも米国投資を増やす理由について、「他の主要市場での事業不振、特に中国市場での急激な没落が米国市場の重要性をさらに高めた」と分析しました。現代自動車は営業利益の半分以上を米国で上げており、米国市場を決してあきらめない状況だとWSJは分析しました(JTBC)・・>>

 

米国市場で現代・KIAの電気自動車の販売が好調だと言われていますが、「電気自動車補助金が終わる前の駆け込み需要」と指摘されています。前にも書いたことがありますが、いままでは、韓国製自動車は関税ゼロ(米韓FTA)、日本車は2.5%でした。これが、価格競争力において約5%差になっていた、と言われています。これだけでもかなり影響があって、関税合意の際には「せめて12.5%まで下げてほしかった」という主張が結構ありました。それが、いまでは、日本車は15%で、(関税交渉の合意の合意結果によっては15%になるでしょうけど)韓国車は25%になっています。先も書きましたが米国内生産の割合でさらに関税の軽減が行われ、「25%で耐える」強硬論が広がれば、さらに価格競争力の差は大きくなるでしょう。

ちなみに、EUもまた鉄鋼関税を50%に引き上げるという報道がありました。実は韓国の鉄鋼輸出において、1位がEU(2位が米国)です。メキシコもまた、貿易協定を結んだ国(日本は結んでいますが韓国はまだです)に対して相互関税を用意するという話があるし・・李在明政権の「実用」は、APECでの仲介外交の現実(米中会談も、そして万が一米朝会談があるとしても、それらはAPEC首脳会議をきっかけにしただけのもので李政権の仲介や仲裁による側面はない)とともに、重大な局面を迎えることになりそうです。それでも国内メディアの多くは何とかして褒め称えるでしょうけど・・

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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