韓国メディア「米国、なぜアルゼンチンとは通貨スワップを結ぶのか」

例の対米投資「3500億ドル」の話題が続いている中、米国がアルゼンチンと通貨スワップを結びました。200億ドル規模で、アルゼンチンのペソ貨を直接購入するという異例の措置を行う、とも。アルゼンチンは中国と通貨スワップを結んでいるため、その影響力を意識してのものだとも言われています。で、韓国では複数のメディアが「なぜ韓国の要請には応じず、アルゼンチンと通貨スワップを結んだのか」という記事を載せています。朝鮮日報(10日)は、「韓国政府への対応とは、かなり異なる」としています。アルゼンチンは現在、経済全体の状況といい、通貨スワップの規模といい、いま韓国政府が米国側に要請している通貨スワップとは全然異なる性格のもの・・だと思われますが。

逆に、1日にも紹介したことがありますが、「通貨スワップについていろいろ誤解がある」という指摘も出ています。1日に紹介したのは「現在の通貨スワップ手数料は通貨スワップ金利(OIS)に25bp加算金利をつけた年4.5%で、3500億ドル全額を借りてきたと仮定した場合、年間金融費用、すなわち利息は150億ドル(約21兆ウォン、OIS+25bp)に達する」、「1000億ドルだけ借りるとしても、年45億ドル(約6兆3000億ウォン)」、「相互関税が(うまく合意できず)25%になったときの年間推定損失額7兆~9兆ウォンとほぼ同じ」という内容でした。今回も、3日の記事ですが、ノーカットニュースは(別の)専門家の指摘として、「通貨スワップというものを『ドルを容易に調達できる手段』とだけ考えるのは、間違っている」という記事も載せています。この指摘がもっとも的を射ている気がします。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・スコット・ベッセント米財務長官は9日、外国為替危機を経験しているアルゼンチン政府に200億ドル規模の通貨スワップ契約の提供を確定した、と明らかにした。ベッセントはワシントンDCを訪問したルイス・カプト・アルゼンチン経済長官と、この日まで4日間会談を持った後、自身のX(旧ツイッター)に「ドナルド・トランプ大統領の米国優先主義経済リーダーシップは公正な貿易、米国の投資を歓迎する同盟を強化することに専念している」としながら明らかにした。ハビエル・ミレイ アルゼンチン大統領はトランプと近い仲であり、ミレイを支援するために「ペソ貨の直接購入」という異例の手段まで使うことにした。

ベッセントはこの日、「アルゼンチンは深刻な流動性不足の瞬間に直面しており、(これを解決するために)迅速に措置が出せる国は米国だけだ」とし「私たちは行動するだろう。今日、アルゼンチンのペソ貨を直接買い取り、合計200億ドル規模の通貨スワップを最終確定した」と明らかにした。通貨スワップは、両国がお互いの通貨を一定期間所定の為替レートで交換できるようにした契約だ。韓国政府は3500億ドル対米投資を約定した関税交渉と関連して、反対給付としてで米側に通貨スワップを要求しているが、米国側はこれといった反応を見せていない。一方、南米の友人であるアルゼンチンに対しては、トランプとミレイの個人的な親しさをもとに、通貨スワップ締結が素早く締結されたわけだ。




ミレイは先月、ブエノスアイレス州地方選挙で大敗するなど、政治的に窮地に追い込まれた状態だ。ブルームバーグは「トランプとベッセントは、自分たちの政治同盟であるミレイが10月26日中間選挙で勝利するように助け、ミレイと競争している左派が権力を取り戻すという懸念により、不安になっている市場を安定させることが目標」とした・・・・ただし、共和党の一部でも、今回の措置をめぐって税金を外国政府支援に使用することが、トランプが標榜する「米国優先主義」基調と合わないという指摘も出ている(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・(※通貨スワップを米国側に続けて要請しているという内容の後に)しかし、通貨スワップも万能ではないという指摘が提起される。満期が1年以下と短く、満期時に元金と同時に利息も同時に償還しなければならないからだ。メリッツ証券のイ・スンフン研究員が推算した結果、米国と通貨スワップを締結すれば、予想される金利は5.5%前後だ。3500億ドルを4年間で返済すると仮定すれば、利息費用だけ724億ドル(約101兆4000億ウォン)に達する。

ここに、通貨スワップを常時使用すれば、全世界に「外貨が足りない国」という認識を与える可能性があり、不必要な外国為替市場の揺れを誘発する可能性も大きい。同研究員は「通貨スワップは金融安定に寄与する要因であるため、米国と通貨スワップを締結しようとする努力は、意味があるといえる」としながらも、「これを、『容易にドルを調達できる手段』とだけ認識し、頻繁に使用すると、副作用が大きくなることも認識しておく必要がある」と強調した。したがって、通貨スワップを締結しても3500億ドルを現金投資すれば、通貨スワップなしで現金投資する状況ほどではないものの、良い手にはならないと分析される(ノーカットニュース)・・>>

いつもは火曜日に1回更新、土曜日には休みをいただくことが多いですが、今週~来週はちょっと予定があって、「今日(金曜日)に1回更新、月曜日に休みをいただく」ことになりました。火曜日は普通に更新します。次の更新は、明日(土曜日)の11時頃になります。今日、石破総理がなにか私見を述べるという話もあります。もし必要なら、本エントリーのコメント欄をお使いください。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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