韓国政府の国策事業「Kコンテンツ・ファンド」、平均収益率はマイナス、投資先は見つけられず

Kカルチャーファンド(またはコンテンツファンド)というのがあります。コンテンツを育てるために造成したファンドの総称です。李在明大統領は、これを「300兆ウォン規模にする」と公言しています。ですが、一応造成(結成)はしたものの、その半分が投資先を見つけることができないでいて、その理由は「収益率が低い(平均収益率がマイナス8%)」とのことでして。朝鮮日報(朝鮮BIZ、14日)など大手がやっとこの件を報じるようになりましたが、やはり問題の核心については報じられていません。記事を読んでいるとまるでファンド運営側(政府)の問題のようなイメージになっていますし、確かにそれも問題ではあるでしょうけど、それ以前の問題があります。要は、マネートゥデイというメディアが9月29日に報じていますが、「Kコンテンツ、いわば映画やドラマに投資をしても、そのコンテンツ自体が収益を創出できない」という現状です。制作費ばかりかかって、ある投資会社は「1ウォンも返してもらえなかった」などと話しています。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・鄭淵旭国民の力議員が14日、国会文化体育観光委員会国政監査、で文化体育観光部が推進中の「Kコンテンツ300兆産業育成」構想について、「資金運用実態もきちんと把握できない状況で、(※そんなことをしても)1年は効果があるかもしれないけど、結局は何の効果も得られないだろう 」と憂慮した。この日、鄭議員は、「Kカルチャーファンド」の未投資資金を指摘した。鄭議員が文体部から受け取った資料によると、2022年から2025年まで結成​​されたKコンテンツファンド規模2兆7000億ウォンのうち、1兆4000億ウォン(52%)が、投資先を見つけられないまま、縛られている。




彼は「来年度の予算が4560億ウォンに達する状況で、民間ファンドまで合わせると9000億ウォン水準になる」とし「(現在の投資金も)まだ適切に使用できない状況で、(今後結成される)投資金をどのように使うというのか」とし「投資金の整理が先行しなければならない」と主張した。Kカルチャーファンドの利回りも指摘した。鄭議員は「Kファンドが不振だった理由は、これまでの収益率が低調だったため」とし「最近5年間、Kコンテンツファンドの収益率は、グローバルコンテンツ部門の場合、最大マイナス16%、平均でみてもマイナス8%を記録した」と主張した。それと共に、「政府もきちんと投資できない状況なのに、予算を増やしても、投資してくれる民間出資者を見つけるのは難しいだろう」とした(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・このようにKコンテンツファンドの投資がきちんと行われていないのは、投資基準が厳しく、投資対象の発掘が容易ではないうえに、コンテンツ制作費用の上昇などで、収益を上げることも容易ではないからだと指摘されている。実際、国会予算政策処によると、Kコンテンツファンドのうち2019~2023年に清算した文化・映画アカウント9部門のファンド収益率はほとんどがマイナスだった。ある大型ベンチャーキャピタル(VC)代表は、「前に、映画とドラマに投資したが、精算の際に1ウォンも返してもらえなかった、とんでもない経験がある」とし「その後、文化コンテンツ投資はチェックしていない」と話した。




続いて、「最近はネットフリックスなどグローバルOTT(オンライン動画サービス)企業が、俳優・監督などの費用を上げたので、投資することがより難しくなったと聞いている」とし「ディープ・テックなど投資先が多いのに、問題の多い文化コンテンツにあえて投資する理由はない」と付け加えた。Kコンテンツファンドに、政府は毎年数千億ウォンの予算を支援しているが、本来の投資金がきちんと執行されていないのは、低い収益率(IRR)のためだという分析が多い。

さらに、政府がそういう市場失敗領域を補完するために、投資条件を過度に厳しく設定し、産業全般に資金が回らないという批判も提起される。当該領域のベンチャー投資家がKコンテンツ産業の潜在力を決定するだけに、構造的改善が必要であるという指摘が出ている。

28日、国会予算政策処によると、2019年から2023年までに清算されたマザーファンドが出資したKコンテンツファンド、9つの分野のファンドの収益率の中位値(以下、「収益率」)は、すべてマイナスを記録した。少数の「大当たり」ファンドを除けば、ほとんどが損失を記録したという意味だ。K-コンテンツファンドは政府予算に民間の資金を加えて助成するファンドで、コンテンツ・映画プロジェクトや関連スタートアップに投資する。

特に、一部の領域では、収益率がマイナス10%に達した。海外市場を意識して制作した映画・ドラマなどに投資する「グローバルコンテンツ」領域はマイナス16.2%、制作初期段階の映画・ドラマなどに投資する「制作初期」領域はマイナス9.6%の収益率を記録した。他に文化産業(マイナス8.7%)、ゲーム(マイナス7.9%)、融合コンテンツ・企画開発(マイナス6.8%)などもマイナス収益率を見せた。最も収益率が高い公演芸術領域も、収益率はマイナス0.9%に過ぎなかった。業界関係者は、「昨年の収益率が、これよりは小幅増加したが、他の領域と比べると、まだまだ低いのが事実だ」と話した(マネートゥデイ)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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