韓国政府が進めている「営農型太陽光発電」、稲の収穫が(最大で)71%減少

韓国政府、李在明大統領は、いわゆる自然エネルギー政策を積極的に進めています。風力などを利用した発電・配電を、韓国を「U」の字でめぐる形で作る、いわゆる「エネルギー高速道路」などが、公約のときから有名でした。選挙のときには原発についても肯定的なスタンスでしたが、9月には(UAEバラカ原発の累積収益が赤字化したこと、チェコ原発の契約問題などがあったタイミングで)「原発よりは自然エネルギー」と公言しました。先の高速道路のようなものだとかなりの大規模になりますが、他に太陽光を使うとか風力を使うとかそんな話は他の国でも普通に議論されている内容なので、あまり本ブログでは紹介していませんが・・

東亜日報(13日)の報道によると、いまのところそう思わしい成果は出せないでいるようです。稲作などを利用して「一つの土地で農事と太陽光発電を同時に行う」、一部で太陽光二毛作とも言われている「営農型太陽光発電」というものがあります。政府レベルで積極的に進めていて(といっても始まったばかりですが)、いままで政府側は、稲の収穫は20%程度減少するけど、同時に発電ができるので結果的にはオーライ、とされていました。しかし、野党国会議員が調べた結果、稲の収穫が(地域によりますが最大で)70%以上減少している、とのことでして。個人的に「どういうシステムだ?」と思ってちょっと調べてみたら、なにか特別な装置や技術があるわけではなく、大きな太陽光発電用のパネルを作り、その下で稲作を行うことです。




なんというか、二毛作というよりは「合体の仕方」がちょっとあやしい・・といったところでしょうか。パネル配置を、農作物に合わせて最適化(高さや間隔など)する、とのことではありますが。とりあえず、野党議員による一部のデータとはいえ、その結果が、今回初めてデータ化されたことになります。政府事業となると、関連機材(太陽光発電パネルなど)が中国製ではないのか・・なところも気になりますが、それはデータがありません。ちなみに、日本にも営農型太陽光発電はありますが、制度が異なるそうです。日経BP(4月3日)新聞の記事なども参考すると、数年間のデータで23%程度減少した(発電できるので収益は増加)、という記事がありました。

「6年間のフィールド実験を実施した研究結果を発表した。水稲収量が23%減少する一方、総収益は5倍以上に達する可能性があると推算した。農業と太陽光発電を組み合わせたソーラーシェアリングは、作物栽培とエネルギー生産を同じ土地で行い、農家の収益向上にも寄与する。一方で太陽光パネルの設置による日射量減少による作物の収量低下が懸念される。特にイネのような穀物は、野菜などに比べて日射量減の影響を受けやすいとされる」、とのことです。営農型太陽光発電についての是非は別にして、同じことをやっているのかなり差が出ている・・といったとところです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・営農型太陽光による適正作物減収率(収穫量の減少率)は、平均20%水準だと知られているが、実際の、実証研究の結果、稲の場合は地域別に最大71%まで収穫量が減少した事例もあることがわかった。営農型太陽光発電は、農地に作物を栽培しながら太陽光発電を並行する事業で、李在明政権で積極的に推進している事業であるが、ややもすれば、食糧安全保障にまで影響を及ぼす可能性がある、という指摘が野党側から提起されている。13日、国会農林(略)会所属の「国民の力」党の趙昇桓 議員室が農林畜産食品部から受け取った資料を分析した結果によると、作物減収率は、稲を基準にして平均で15.7%ではあるが、韓国南東発電が巨昌郡に設置した太陽光発電設備下部の栽培では71%。慶南咸陽郡での稲の減収率は51%、慶南咸安郡で稲の減収率は40%に達するなど、適正減収率の20%を大きく下回ると把握された。

稲のほかにも、全南羅州市で栽培したニンニク(33%)、玉ねぎ(30%)など主要作物でも、生産減少がはっきりしているというのが、議員室側の指摘である・・・・また、営農型太陽光事業の事後管理システムが不十分だという指摘も出ている。農林畜産食品部が提出した「営農型太陽光ガイドライン案」によれば、設備の撤去の時には、農業人が判断してその責任を負う仕組みで、土壌汚染検査も年1回水準にとどまる。これに、事業終了後、撤去費用が農民に転嫁される可能性が高いが、政府レベルの事後管理基準や保証制導入計画は、設けられていない状況だ。一方、日本の場合は、営農型太陽光設置後の収穫量が前年比80%以下に減少すれば設備撤去命令を出す制度などを運営中だ。収穫量が一定レベル以下に減少する場合、設計改善、許可更新制限、取り消しなど段階別制裁装置を検討する必要があるというのが、議員室の指摘である(東亜日報)・・>>

いくらテスト段階とはいえ、記事の趣旨に比べて平均値が低すぎる気がしますが・・それについても議員視閲でちゃんと「分析」した数値なのか、発表値でそうなっているだけなのかは、記事に明記されていないのでわかりません。また、そもそも電気料が安くて問題になっている韓国ですが、こうして発電して、どれだけ収益が増えるというのか、そこも気になるところです。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。