米国、韓国政府の通貨スワップ要請に応じず・・両国はそれぞれ別の案で交渉中

米韓関税交渉(合意済みですが、その合意の合意のための交渉)において、結局、米国側は韓国政府が要請していた通貨スワップに応じませんでした。一昨日~昨日あたり、「米国が通貨スワップに応じた」という記事が無数に出ていましたが、「別のこと」を米国、韓国それぞれ相手側に提案している、と一気に各メディアの報道内容が変わりました。まだ各メディアが記事にしているだけで(公式発表ではありません)、決定事項ではありませんが、そのどれを読んでみても、共通するのは「米国側は、通貨スワップに応じなかった」という点です。ソース記事はハンギョレ新聞国民日報(両紙16日)などです。ただ、米国は通貨スワップに応じなかったものの、「3500億ドル投資は、ウォン貨のままでいい」と妙な条件を提示している、とのことです。

そのために別の金がかなるのかどうか(米国内でドルに変える必要があるので)など、具体的には分かっていません。あのトランプさんがウォン→ドルを無料でやるわけないと思いますが。一部のメディアは、アルゼンチンのペソ貨を直接購入したときのような、「異例の救済策」になるのでは、とも報じています。しかし、ハンギョレ新聞によると、確かにこれは米国側の配慮ではあるものの、もともと問題になっていたのは「3500億ドルの対米投資の現金(直接投資)の割合」であるため、その部分がどうなるかがもっと重要だ、と報じています。国民日報は、韓国政府は3500億ドルを10年かけて「長期分割投資」(年300億ドルまで)を提案している、と報じています。最終的にどういう案で決まるかは分かりませんが、米国が提案した「ウォンでいい」案に韓国政府が応じるつもりなら、こんな案を出す必要があるのかな、とちょっと疑問です。




さて、これらの案、どちらかが採用されないかもしれないし、両方採用されるかもしれません。なにせ、つい昨日の朝には「通貨スワップだあぁぁ」と騒ぎになっていたばかりなので、今回も最終的にどうなるかはわかりません(またこの話になったのは、昨日の朝と内容が変わったから、でもあります)。各メディアの記事を読んでみると、多くが「韓国の状況は、日本とは異なるということを米国が理解してくれた」と報じています。なにかあれば日本を超えたとかなんとか言っていたのに、こんなときは「日本のほうが上」と言われてそんなに嬉しいのか・・と、ちょっと笑ってしまいました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府は、3500億ドル規模の対米投資と関連して、「ウォン口座を作って投資する方式」を米国政府と協議中であると把握された・・・・新しい投資方式と関連して複数の政府情報筋は、「ウォンを入れる口座を作って米国に投資する案が話されている」とした。「ウォン口座投資」は、韓国政府が提案した「米韓通貨スワップ」について、米国側が出した逆提案だと思われる。通貨スワップは両国の中央銀行同士で自国通貨を約定した為替レートで相手国通貨と交換する方式だ。「ウォン口座投資」は、韓国が米国と合意した規模だけ、ウォンで口座に入金すれば、その金額に該当する規模のドルを現地に投資する方式と見られる。米国政府がこのような提案を出したのには、米国中央銀行である米国連邦準備制度(Fed)が通貨スワップに応じなかったのが決定的だったと見られる。




対米投資をウォンにすると、ドルの大規模流出による外国為替市場のリスクは避けることができるという点で、米国がこれまで要求してきた「全額ドル貨投資」よりは、我々にとって有利なのが事実だ。しかし、リスクが減ったとしても、政府のなやみは大きくなるしかない。政府の目標は、8月、関税交渉当時投資を約束した3500億ドルで現金投資の割合を最小化し、融資・保証の割合を最大限に増やすことにある。当初、政府は現金投資の割合を5%程度と考えたが、米国は全額現金投資を要求するほど、韓国側と隙間が大きかった。 「ウォンかドルか」ではなく、「現金投資の割合がどのくらいか」が交渉の鍵という意味だ。政府高位関係者も「ウォン口座投資方式」と関連して、「(米国の要求が既存より良くなったからといって)必ず私達がそれを受け入るというわけではない」と話したが、それも同じ理由だ(ハンギョレ新聞)・・>>

 

<<・・政府が、3500億ドル規模の対米投資パッケージ執行方式において、年間最大300億ドル規模の中・長期分散投資を提示したと把握された。韓国の外貨保有額と、輸出中心の経済を考慮すると、直接現金投資をするには10年にわたって行う方案もあり得るという趣旨だ。ドナルド・トランプ大統領の重なる「前払い」言及にもかかわらず、米国交渉チームは政府に「(日本とは異なる)韓国の立場を十分に理解している」という答えを送ってきたことが確認された。両国間の通貨スワップ締結交渉も、迂回の形で接点を探しており(※先の記事の内容)、米韓関税交渉が重大な局面を迎えている。

16日、取材を総合すれば、政府は両国の長官会談など交渉の場で、韓国が負担できる1年の対米現金直接投資額として200億~300億ドルラインを提示した。先月末基準の外貨保有額である4220億2000万ドルの4~7%水準だ。与党関係者は「1年に多くて300億ドル、普通200億ドル以上の現金を引き出すことはできない、という話を米国側に伝えた」とし「原材料が重要な輸出国家の立場で、それ以上は難しいという趣旨だ」と伝えた。政府高位関係者も、「政府は対米投資を一括支給しようとしたことはなく、交渉方向もそうは行っていない」と話した。企画財政部長官は13日、国会企画財政委員会国政監査で、追加調達なしに使える外貨保有額は1年に150億~200億ドル程度だと回答したことがある(国民日報)・・>>

 

21日あたりに高市早苗総裁の首班指名選挙があるし、その直前に米国の利下げがあるかもしれませんし(可能性が高いそうですが)、予定通りなら27日にトランプ大統領が訪日し、29日には韓国で米中首脳会談が、多分、開かれます。31日はレナのハロウィンです。大きなイベント続く10月・・とはあまり関係ありませんが、本ブログはこのまま、明日まで休みをいただくことになりました。今週、更新がいろいろ不安定で申し訳ありません。次の更新は、19日(日曜日)の11時頃になります。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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