「呼び方は同じイージス艦でも、日本と韓国のイージス艦は、米軍との連携や能力に差がある」という話、随分前からあった気もしますが、最近になってまた同じことがあったようです。どういう機能のことなのかまでちゃんと報じられるのは珍しい気がして、エントリーしてみます。共同交戦能力(Cooperative Engagement Capability)、略してCECというものがあります。私もそう詳しいわけではありませんが、交戦において精度のデータリンクなどを行う、韓国側の情報だと「分散・展開されている各戦力ユニットの検出装置と戦闘体系能力などを相互効果的に連携するための新しい情報・監視・偵察体系と、既存のC4I体系をつなげる新しい統合体系」だそうで、将来、米海軍と連携して戦うためには必要な「核心交戦機能」(ソース記事原文ママ)だそうです。
これが、日本とオーストラリアのイージス艦には装着(米国側から輸出許可が出ている)されているけど、韓国のイージス艦にはまだなく、新しいイージス艦建造のために許可を得ようとしたけど、今回も米海軍が応じなかった、とのことです。MBC(20日)や聯合ニュースなど大手を含め、多くのメディアが報じています。同じ頃(19日)、ファイナンシャルニュースのファイナンシャルとはあまり関係ないニュースによりますと、日本のイージス艦はトマホークの装着のために米国へ向かった、とも。最近、例の「3500億ドル」のこともあって、ネットのコメント欄などはかなり荒れています。
「北朝鮮対策として」この機能の輸出を申請していた、とのことですが・・最近、中国まで含めてのインド太平洋対策として「在韓米軍の役割拡大」が議論されています。何度も取り上げた内容ですが、いままで韓国側は「在韓米軍は韓国の専守防衛のためにある」すなわち北朝鮮以外の問題で動くことはない、としていました。ただ、別に条約などに具体的に書かれているわけではありません。米国側はこういう韓国政府のスタンスを変えるため、何度も問題を提起してきましたが、韓国政府のスタンスに変化があるという話は、まだありません。韓国メディアは「現代化」や「役割拡大」などと表現しています。結局は、「在韓米軍が中国関連で動くようにはしたくない」というのが韓国政府の本音でしょう。そんな中、イージス艦の共同交戦能力がどうとか言うのも、無理がある気がします。ちなみに、トマホーク装着の件、記事に「北朝鮮が射程に入る」ではなく「朝鮮半島全域が射程に入る」と書かれているところが、「何を心配しているのか」を表しているような気もします(笑)。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国海軍が米国側にイージス艦の核心体系の一つである「共同交戦能力」導入を打診したが、米海軍側が応じなかったことが確認されました。一方、私たちとは異なり、日本とオーストラリアには「共同交戦能力」搭載を許可しており、議論が起きています。海軍は昨年、米海軍側に、北朝鮮リスクに対応するためイージス艦の確保などを推進中だとし、共同交戦能力の輸出可能性を検討してほしいと要請したといいます。しかし、米海軍は「米国政府の輸出統制及び技術移転政策は、韓国に対する共同交戦能力の輸出を支援していない」と、応じなかった、とのことです。これに先立ち、日本とオーストラリアはイージス艦に米国の共同交戦能力を搭載しているにもかかわらず、米国が韓国には輸出に応じなかったことになります(MBC)・・>>
<<・・日本が海上自衛隊イージス駆逐艦にトマホーク巡航ミサイルを装着するための本格的な作業に着手した。日本駆逐艦にトマホークが導入・配置されると、朝鮮半島全域はもちろん中国本土の一部も射程圏内に入る。日本安保政策の大転換であり、これまで積極的に備えていなかった「長距離反撃能力」の確保に乗り出したものだとされている。これは北東アジア安保環境に重大な変化をもたらすきっかけになる見通しだ。19日、軍と外交情報筋たちによると、日本では1日、海上自衛隊イージス駆逐艦「ちょうかい」艦がトマホークを装着するため米国に出航した。同日、米国CNNも現在カリフォルニア州サンディエゴに向かっているちょうかい艦は、今後1年間トマホークを発射するための艦船改造と乗組員訓練を受けることになると報道した。
日本は2024年1月、米国とトマホーク最新型「ブロック5」200機と以前モデルである「ブロック4」200基を合わせた最大400基を段階的に導入することで購買契約を締結した。当初2026年から導入予定だったが、導入時期を今年2025年に1年早めた。米ミリタリー専門メディア・ザ・ウォーゾーン(TWZ)も、「最終的に海上自衛隊は現在配備されている8隻のイージス駆逐艦全てにトマホークを搭載する予定」とし「2026年夏頃実射撃試験を実施する予定で、これを通じて艦船の作戦遂行準備状態と運用要員たちの熟練さを検証することになるだろう」と報じた。米国は主に軍事介入に突入する開戦初期、射程距離1600~2500キロに達するトマホークを、相手側の重要目標物を先制精密打撃して無力化させるための主要戦力の手段として活用してきた(ファイナンシャルニュース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。