韓国政府、自力救済でAPECを盛り上げ・・トランプ大統領・習近平主席、共に韓国を国賓訪問

一つ前のエントリーでもお伝えしましたが、韓国としてはもっとも重要とされてきた(世界的な観点からすると、米中首脳会談のほうがずっと大事でしょうけど)米韓関税交渉の妥結は、APECすなわちトランプ大統領の訪韓までは妥結できそうにありません。大統領のインタビュー内容が伝えられてからは、各閣僚たちの発言もかなりトーンダウンしており、「安保分野(防衛費など)ではある程度、話が進んでいるが、関税交渉はまだで、韓国としては安保分野だけでもなにか発表できればと願っている」などと報じられています。どういうことかといいますと、韓国としては、米韓首脳会談の「成果」として、なにか発表できる「ネタ」が必要です。

だから、貿易、関税関連で発表できる内容がなくても、安保関連でなにか発表できる内容がほしい、言い換えれば「安保分野だけでも話を進めて、なにか発表させてくれ」と願う、そんな立場です。でも、米国側からすると、貿易部門で妥結できないと、安保関連だけ発表しても(発表できる段階まで話を進めても)意味がないと思っているようです。ソウル経済(24日)などが報じています。米国としては、「だから、早く関税交渉で合意しようぜ」という、ある種の圧力をかけているわけです。率直に言って、米韓関税交渉がうまくいかず、米中首脳会談もサプライズな成果は期待できそうにないし、米朝首脳会談も今のところ可能性はほとんどありません。この時点で韓国政府やメディアなどがAPEC首脳会議に期待していたものは、ほとんど消失しました。




そこで、「セルフ」盛り上げに頑張っているようです。なんと、トランプ大統領と習近平主席、両首脳が国賓訪問することになりました。前にも記事を引用したことがありますが、国賓訪問行事はソウルで行われます。ソウル以外の地域で開かれるのは初めてです。これは、両首脳がソウルまで移動するほどの時間的余裕がないということでしょう。ちなみに、日帰りが有力とされていたトランプ大統領ですが、1泊することになりました。これもまた、韓国側の「国賓招待」に応じた形になります(国賓訪問は晩餐会などがあるので日帰りでは無理です)。よりによって米国と中国の首脳をほぼ同時に国賓招待するのも、ちょっとどうかな、な気もしますが・・

とりあえず、李大統領としては、「日帰りエンド」は回避できました。トゥルー・・というかハッピーエンドになるかどうかはわかりませんが。中国首脳が来韓するのは言うまでもなく米中首脳会談が目当てですが、次のAPEC議長国ということもあって、ひょっとすると「次のAPECのとき(今回の答礼として)中国が李大統領を国賓招待する」というシナリオも可能かもしれません。米韓、中韓首脳会談も公式に決まったので、いまのところ「こうなったらセルフで盛り上げてやる」大作戦は、そこそこ上手く行ってると言えるでしょう。ただ、ホワイトハウスが米韓首脳会談を発表する際、慶州で開かれるのに「釜山で開かれる」と、場所をミスったそうで、これまたちょっとしたニュースになっています。




空港が釜山にあるからそう言っただけだという話もあるし、そもそも米国側は今回のAPECに関心がないからだ、という話もあります。ちなみに、トランプ大統領はAPEC本会議には参加しません。あと、高市早苗総理との日韓首脳会談は、いまのところ時間を調整しているけど、できれば開催したい、とのことです。李大統領「これからもシャトル外交を」・高市総理「韓国海苔好きです」な会話が見てみたい気もしますが、最初の挨拶だし、もし会談するといっても無難な展開で、大した話は出てこないでしょう。日米首脳会談もスケジュールが超きついはずなのに、日韓首脳会談の議題まで事前調整できるとは思えませんし。以下、<<~>>で引用してみます。あと、明日はまた1日休みをいただきます。次の更新は、26日(日曜日)の11時頃になります。

 

<<・・李在明大統領が29日、ドナルド・トランプ米大統領との米韓首脳会談に続き、11月1日に習近平中国主席と中韓首脳会談を、相次いで開催する。アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議を迎え、米国と中国首脳の連鎖国賓訪韓とともに、李大統領はこれより先に26日から1泊2日の日程でマレーシアで開かれるASEAN首脳会議にも参加する。魏聖洛 国家安保室長は24日、龍山大統領室で記者懇談会を開き、「ASEAN首脳会議を皮切りにAPEC首脳会議につながる多国間首脳会議の、『外交スーパーウィーク』が始まる」と説明した。実際、今回の日程は事実上、李在明政府外交ラインの最大の分岐点であり、国益中心の実利外交は本格的にテストを受けることになるだろう・・

・・現在、懸案となっている米韓関税後続交渉と関連して、魏聖洛 安保室長は、「安全保障分野では一定の了解がなされたのが事実である。しかし、今回の首脳会談をきっかけに(関税交渉関連でも)なにかが出せるかどうかは確かではない」と話した。それと共に、「関税交渉でも努力する一方、安全保障だけでも(関税交渉関連とは別々に)出せるように努めている」と説明した。続いて「もし関税交渉がうまくいかなかった場合、米国が何を好むかは確かではないが、既存の立場通りならば、米国は(関税と安全保障を)一気に発表することを好むだろうと思われる」とした(ソウル経済)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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