李在明大統領が、海外メディアとのインタビュー(22日時点)で、「米国との関税交渉の妥結は、APECまでは難しい(もっと時間が必要だ)」と話しました。YTN(23日)、ニュース1(23日)などが報じています。つい昨日の午後まで「かなりの意見一致を見た」などの記事が複数出ていて、中には「両首脳の決断を待つだけ」という報道までありましたが、やはり、そううまくは行ってないのでしょうか。李大統領は「少なくとも通貨スワップは必要だ」と主張してきましたが、それも一つの理由ではないでしょうか。韓国では随分前から毎日のようにトップニュース扱いの、APEC首脳会議。何度も書いてきましたが、韓国では主に「実用外交の舞台(国益最大化)」、「仲介・仲裁外交(米中首脳会談、米朝首脳会談)」、「国際社会への復帰を示す」などと大きな話題になっています。
国際社会に示すというのは、尹錫悦前大統領によって「国際社会のいち員ではなくなった」という主張があるためです。他の国はそこまでは考えていないのではないか、な気もしますが。しかし、「議長国としての役割」をちゃんとするならそれは良いことですが、それ以外の実用とか仲介とか、いまのところ、「よくわからない」としか。まず「仲裁・仲介」ですが、米中首脳会談はAPECをきっかけに韓国を「場所」にしているだけですし、米朝首脳会談の可能性も低いままです。不思議なことに、まだまだ、大手を含めて複数の韓国メディア「米朝首脳会談の可能性がある」と報じています。そのための話し合いを米朝がやっている可能性はありますが、米朝首脳会談まで成立する可能性がはたしてどれくらい「ある」のでしょうか。
「実用」「国益」は範囲が広いのでなんとも言えませんが、やはり米韓首脳会談がうまくいかないとはじまらないし、そのためにも米韓関税交渉において「なにか」を用意するのではないか、と思っていましたが・・どうやら、そうもいかなかったようです。また、李在明大統領は、「米韓同盟のことで、中国との関係を管理するのが微妙になっている」とも話しました。ニュアンスからして、まるで米韓同盟が邪魔になっているというふうにも聞こえます。インタビューで李大統領は米韓関税交渉が結局はうまく妥結できるだろうと(これでも『合意済み』ということになっているのが不思議です)しながら、その理由を「米国は民主主義と自由市場経済を先導する国だから」と話しましたが・・そんなありふれたキーワードでなんとかなるとも思えません。どちらかというと、トランプ大統領は資本主義と自国優先主義を話しているのでは。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明大統領が米国CNNとのインタビューで、米国との関税交渉が妥結するまでは(※APECからさらに)時間がかかりそうだ、と述べました。北朝鮮の金正恩国務委員長に向けては、対話が問題解決の第一歩になるだろうと、手招きしました・・・・李大統領が昨日米国CNN放送とインタビューした内容が今日(23日)公開されました。李大統領はまず、今回の慶州APEC首脳会議をきっかけにドナルド・トランプ大統領が訪韓したとき、米韓貿易協定に署名できるかという質問に、時間がもう少しかかるようだと言いました。【李在明大統領「調整するにはかなり多くの時間と努力が必要だと思われます」】。
現在進行中の交渉で両国間に意見の違いがあると認めながらも、米国の合理性を信じているとし、結局、皆が納得できる合意ができるだろうとも強調しました・・・・韓国と米国は互いに同盟であり、常識と合理性を共有しているからだと説明しました。李大統領はまた、米国から多くの支援を受けてきただけに、可能な範囲内で米国の製造業再編努力を支援する意志があると述べました。CNNは、李大統領がインタビュー中、慎重に言葉を選び、懸案に直接言及しないように苦労したと分析しました。対米関税交渉と、一週間後に行われるAPEC期間、連鎖首脳会談を控えた点などを考慮したものだと解釈されます(YTN)・・>>
<<・・李在明大統領は23日、中韓関係と関連して「我々は異なる理念と政府体制を持っているが、中国を外すことはできない」と話した。李大統領はこの日公開されたCNNとのインタビューで「非常に重要な米国との同盟により、中国との関係を管理することが多少微妙になった」としながら、このように明らかにした。李大統領は「国家間の関係は、この国は私たちの友人であり、その国は私たちの友人ではないと言いきれるものではない」とし「それほど単純ではない。ずっと複雑で多層的だ」と強調した。李大統領は、膠着状態にある米韓関税交渉が、慶州アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議期間中に開かれる米韓首脳会談で妥結できる可能性については、「(異見を)調整するのにかなり多くの時間と努力が必要なようだ」としながらも「理性的に十分納得できる合理的な結果になるだろうと信じている」と話した。
続いて「米国が民主主義と自由市場体制の価値を先導する国家であるため、結局は合意点に到達するだろう」とし「結局、両国が受け入れることができる合理的な結果に到達できるだろう」と話した。一方、李大統領は慶州APECをきっかけに米朝首脳のサプライズ会同が再演されるのではないかという観測に対して「米朝が電撃的に会うなら全面的に歓迎し、積極的に支援するつもりだ」と話した。「もし米国と北朝鮮の両首脳が突然会うことになればそれは良いことだと思う」とし「トランプ大統領には世界平和を成し遂げてほしいと思う。ただし、李大統領は米朝首脳会談の可能性は低い」と見通した(ニュース1)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。