日本でも高市政権の政策がいろいろ話題になっていますが、安保分野においては、明らかに日本より韓国で話題になっています。その中でも特に記事が多いのが、原子力潜水艦(韓国で言う核推進潜水艦)保有です。すでに維新の会との連立で次世代動力の潜水艦に関する話が公式に出ているし、小泉進次郎防衛相も「原子力潜水艦も選択肢」と話しています。この件が話題になるのは・・そうですね、「相手が日本だから」と言ってしまえばそれだけですが、記事曰く、米国が日本の原子力潜水艦保有には賛成するスタンスで、オーカスであるオーストラリアにはすでに保有を認めているけど、韓国の原子力潜水艦保有には反対しているからです。中央日報(26日)がまた結構長い記事を載せ、「韓国が米国を介して日本と安保協力をするのは、日本が『専守防衛』であることが前提だ」と主張しています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日本が原子力潜水艦を欲しがっている。しかも潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で武装した潜水艦を。平和憲法を直して「普通国家」に生まれ変わりたがっている。もし日本がSLBMを持つなら、彼らが望んでいた普通国家を完成させるわけだ。発端は日本初の女性首相になったた高市早苗新任総理だ。彼女は20日、第2野党である日本維新の会と連立政権構成に合意し、政治・経済・国防など12の分野の主要政策を公開した。国防部門で「次世代推進力を備えたVLS(垂直発射装置)搭載潜水艦保有政策を推進する」としている。次世代推進力は、核推進方式を迂回的に表現しただけだ・・
・・簡単に整理すれば、日本は有事の際に中国または北朝鮮を弾道ミサイルで打撃できる原子力潜水艦を保有する、ということだ。日本内部で同じ意見が出たことはあるが、政府レベルで原子力潜水艦の導入を国防政策に公式に組み込んだのは今回が初めてだ・・・・小泉進次郎新任防衛相も22日、就任記者会見で「次世代推進力(※『次世代動力』)」を備えた新型潜水艦保有政策について「すべての選択肢を考慮する」「政党間の約束は重いと思う」と話した・・・・日本はまた原子力潜水艦を通じてインド・太平洋安全保障でより主導的な役割を引き受けようとしている。原子力潜水艦は長く潜航し、遠くまで行くことができる。日本は領海を離れ、海上領有権紛争地域である東シナ海・南シナ海や西太平洋など主要戦略海域で哨戒作戦を繰り広げることができる。
台湾の有事の際、すぐにその海域に出動した後、精密打撃任務や海上封鎖任務を遂行するのには原子力潜水艦がもっとも向いている。これは米国のインド・太平洋戦略に寄与する措置だ・・・・日本の原子力潜水艦プログラムは米国の「後援」を受ける可能性が高い。日本はオーカス(AUKUS)のオーストラリアの次に、原子力潜水艦保有が可能になると思われる。米国のシンクタンクであるヘリテージ財団は、米国海軍潜水艦戦力の量的不足に直面した状態で、米国が中国牽制を遂行するためには、オーカス国家との協力の必要性を述べた・・・・2023年1月12日当時、マイケル・ギルデー米国海軍参謀総長は、オンライン・フォーラムで「日本が原子力潜水艦を建造しようとする決定は、数年間、政治的、財政的に国家的次元の支援が求められる大きな一歩だ」とし「そのようなプロジェクトには適切な人員・訓練・プラットフォームなどが必要だ」と話した。彼はオーカスを取り上げたが、日本がオーカスと似た形で原子力潜水艦を確保できると示唆した。
日本は核拡散禁止条約(NPT)に加入したが、NPT自体は核推進技術を直接禁止していない。米国との原子力協定では「軍事的目的のためにも利用しない」と出ているが、これも迂回する方法がないわけではない。両国が協定を直すという手もある・・・・(※韓国が米国との原子力協定を改正できるなら)米国は韓国の原子力潜水艦保有を「祝福」してくれるのだろうか。当面は濃縮と再処理を原子力発電所関連に限定する可能性が高い。さらに、韓国が日本よりも早く原子力潜水艦を持つことを、米国が快く思わない可能性もある。韓国の原子力潜水艦保有に対して米国の当局者は一貫して反対してきた。
2023年3月15日、アンソニー・ワイヤ、当時米国国務省の国際安保・非拡散副次官補は、「韓国にもオーストラリアのように原子力潜水艦を許容する可能性があるのか」という質問に、「米国は米海軍の核推進技術を追加共有する意思がないと、最初から明らかにしている」と答えた。同年11月24日、ドーブ・ザカイム元米国防省次官は・・「朝鮮半島周辺の海底地形を勘案する際、騒音が小さい在来式ディーゼル潜水艦を選ぶ作戦上の理由がある」とも述べた・・(※他にも何人かの高官・元高官が反対している、という話の後に)彼らの発言は、日本の原子力潜水艦保有を前提としない仮定に基づいていた。また、経済的対価で取引をするドナルド・トランプ大統領だ。 「韓国は韓国自らを守ってほしい」というトランプ大統領の立場をよく掘り下げれば、機会はある。
ただし、米国を説得するには、日本との連帯が必要かもしれない。米国がオーカスの東北アジア版「コージャス(KorJUS)」を組む可能性もある。ところが、日本は原子力潜水艦で普通国家に変貌しようとする。韓国が米国を媒介に日本と安保協力に乗り出した背景には、専守防御の日本がある。しばらくは日韓は北朝鮮と中国を抑制するという戦略目標を共有するだろうが、その後には互いを牽制しなければならない状況が来る可能性がある(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。